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万華鏡

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第九話 春の鍋その二


「お肉は何を入れるのか」
「そうみたいね。私ははじめて作ったけれど」
「それでもなのね」
「牛にしようか鶏にしようか」
 その他にもまだあった。それはというと。
「豚肉もあるしシーフードカレーもあるし」
「そうそう、色々とね」
「野菜カレーって手もあるし」
 カレーといえばこの国と言っていいインドではどちらかというとこちらが主流だ。言うまでもなくビーフカレーはこの国には存在しない。
「牛肉でもすじ肉とかあるし」
「あのカレーはスライスしたお肉だったわね」
「給食のカレーの感じにしたの」
 四角いカレー肉ではなくそちらの牛肉にしたというのだ。
「ハヤシライスみたいな感じでね」
「そうしたの」
「そう、そうしたの」
 こう言ったのである。
「色々考えて」
「ハヤシライスね」
「あれもいいわよね」
「カレーと同じだけね」
 里香はハヤシライスにかなり高い評価を出した。
「美味しいわよね」
「お肉も多いし玉葱もたっぷりで」
「あれも確かにいいわね」
「今回はカレーを選んだけれど」
 景子はカレーかハヤシかでは迷わなかった。最初からはじめての洋食系の料理はカレーにしようと決めていたふしがある。
 問題は何カレーにするか、それだったのだ。
「牛肉でもね」
「スライスしたものね」
「それにしたのよ。それがよかったみたいね」
「そうね。私もそう思うわ」
 里香はにこりとした笑顔で景子の言葉に応えた。
「スライスした方が火もよく通るし」
「それもあるわよね」
「それにかなり入ってたけれど」
 その肉がだというのだ。
「あれどうしてなの?」
「安かったから」 
「それであれだけ入れたの」
「オーストラリア産の牛が安売りだったのよ」
 この国の牛はかなり多く入ってきている、牛肉の自由化で一番得をしたのはアメリカではなくこの国だったということだ。
「それで買ったのよ」
「成程ねえ」
「オーストラリアの牛肉は安いけれどね」
 景子は少し苦笑いをしてそのオーストラリアの牛肉について話す。
「硬いのよね」
「そうよね。あそこの牛肉は」
「だからじっくり煮る様にしてるのよ」
「それ正解よ。お肉は煮れば煮る程柔らかくなるから」
「そうそう、肉じゃがでもすき焼きでもね」
 ここでも和食が出るのが景子だ。
「そうなるわよね」
「お肉は煮れば煮るだけ柔らかくなって味が出るのよね」
「海の幸とはまた逆でね」
「そこが重要なポイントよね」
「ええ、それに香辛料も」 
 里香はこのことも指摘した。
「香辛料もないとね」
「そっちは胡椒よね」
「胡椒がないとお肉は駄目でしょ」
 大航海時代が何故あそこまで力を入れられたか、無論他のものも重要視されていたがとりわけ胡椒が求めれてのことであるのは歴史にある通りだ。
「やっぱり」
「ええ、それは和食でもね」
「お肉には胡椒よね」
「和食でお野菜と一緒に炊くのなら」
 肉じゃがや筑前煮、鍋の場合である。 
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