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髑髏天使

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第五十七話 挨拶その六


「あの娘達も喫茶店の娘だから」
「接客ができるか」
「できるわ」
 まさにそうだというのだ。
「だから。任せてね」
「となると仕事は」
「分担になるわね」
「そうだな。はっきりとな」
「牧村君ができないことは私がして」
 若奈は笑顔で話していく。
「それで私ができないことはね」
「俺がしていく」
「そうなるわね」
「そうあるべきか」
 牧村は若奈の話を聞いてこんな風にも述べた。
「仕事は」
「一人でできる仕事もあるけれど」
 若奈はこう前置きしてから話した。
「けれど。皆でする仕事だとね」
「互いに助け合ってか」
「それでやっていけばいいと思うわ」
 こうだ。牧村に笑顔で話すのだった。
「皆でね」
「そうだな。人間の仕事はな」
「人間って?」
「いや、何でもない」
 髑髏天使の匂いを自分で出してしまったと察してだった。
 すぐに言葉を止めてだ。それを打ち消した。
 そしてそのうえでだ。また若奈に話した。
「とりあえず今からは」
「準備体操をしてからね」
「走るか」
「ええ。そうしましょう」
「そして走ってからだな」
「本格的なトレーニングね」
 いつものメニューだった。彼は日々そうして身体を鍛えている。それは最後の戦いの前の今もだ。そうして鍛えているのである。
「いつも通りね」
「それをする」
「じゃあ。一緒にね」
「これからもだな」
 牧村は不意に遠くを見て話した。
「トレーニングをしていくか」
「部活四年までやるわよね」
 髑髏天使のことを知らない若奈はこう彼に返した。
「そうするわよね」
「そのつもりだ」
「だったらそうなると思うけれど」
「身体を鍛えることはしていく」
 戦いが終わってもだ。そうしていくというのだ。
「これからもな」
「ええ、頑張ってね」
「それに付き合ってくれるか」
「そうするわ」
 若奈は彼に笑顔で答えた。そうするというのだ。
「二人でやっていきましょう」
「いつも付き合ってくれて悪いな」
「何言ってるのよ。私達ずっとこうだったじゃない」 
 だからだ。それはいいという若奈だった。
「それでそんなこと言ってもね」
「他人行儀か」
「そうよ。だから言わなくていいから」
 若奈は笑顔のままで牧村に話す。
「これからもだしね」
「そうだな。これからもな」
「二人で頑張りましょう」
 そしてだ。若奈は牧村にこうも話した。
「スポーツ以外のこともね」
「そうするか」
 こんな話をする二人だった。こうして牧村は若奈とも挨拶をした。それからだ。
 彼は家に戻った。そこで夕食を食べる。今日の食事は親子丼だ。それを食べながらだった。
 未久がだ。こう兄に話すのだった。
「御兄ちゃん今日だけれど」
「今日か」
「ちょっと雰囲気違わない?」
 こうだ。兄に言ったのである。
「何かね。あったの?」
「別にない」
 それはないというのである。 
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