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八条学園騒動記

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第七百五十話 練習中にまた話をしてその八

「投げ続けた、だがな」
「二〇〇〇勝はなかったか」
「はっきりとわかっていないが」
 そうであるがというのだ。
「しかしな」
「それでもか」
「大体六〇〇勝か」
「それでも凄いな」
「当時でそうだったからな」
 それだけの勝利数を挙げたからだというのだ。
「凄い人だったことはだ」
「事実だな」
「紛れもなくな」
 このことはというのだ。
「そうだ、ただな」
「ただ?」
「これだけのピッチャーが差別されていてな」
 タムタムは当時のアメリカの黒人差別について思った。
「メジャーに参加出来なかったことはな」
「残念だな」
「ああ、そうした時代だったと言えばそれまでだが」
「長い間メジャーで活躍出来なくてか」
「残念だ、だがこうも考えられる」
「どういう考えだ」
「当時アフリカ系はまだよかった」 
 アフリカ系アメリカ人はというのだ、この時代では何でもない存在になっている。どの国も人種や民族の混血が進んでいるからだ。
「アメリカ人として差別されていた」
「差別されていてもか」
「アフリカ系は何処から来たか」
 タムタムはこうも言った。
「言うまでもないな」
「アフリカだな」
 フランツはすぐに答えた。
「だからアフリカ系だな」
「その黒い肌も特徴だがな」
「アフリカから来たな」
「今はネイティブ系の国家も多くある」
 連合にはだ、イロコイ族等の国家が独立して存在しているのだ。
「しかし当時はネイディブはな」
「アメリカから最初からいた人達はか」
「アメリカ人ではなかった」 
 そうみなされていなかったというのだ。
「アメリカ人はアメリカ以外の国から来た人達だった」
「ルーツがか」
「だからアフリカ系の人達もな」
「アメリカ人だったか」
「差別はされていたが」
 そうであったがというのだ。
「あくまでアメリカ人の中でのことだ」
「同じアメリカ人か」
「そうだ、様々な人種や文化を持つ国で当時からもそうだったが」 
 建国当初からのことだ、それがアメリカという国なのだ。
「しかしな」
「それでもか」
「そこにネイティブはいなかった」
 絶対にというのだ。
「むしろ徹底的にだ」
「殲滅していたな」
 このことはフランツも知っていることだ。
「そうだったな」
「そうだ、騎兵隊を送り込んでな」
 ネイティブのそれぞれの部族の勢力圏にである。
「攻め滅ぼしてな」
「そうしていたな」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「騎兵隊にはアフリカ系の部隊もあった」
「ネイティブを攻撃する軍にだな」
「ガンマンやカウボーイもな」
「西部劇での主役だな」
「騎兵隊と並ぶな、彼等にもだ」
「アフリカ系は多かったか」
「そうだった、特にカウボーイは三人に一人がだ」
 結構な割合であったことは言うまでもない。 
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