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ドリトル先生と不思議な自衛官

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第八幕その十一

「それでだよ」
「剃っていたんだ」
「髷も刀も小さくして」
 そうもしてというのです。
「武張った感じをなくしたんだ」
「戦国時代のそれをなんだ」
「そうなんだ」
「それで皆お髭なかったんだ」
「武士の人達もそうでね」
「農民や町人の人達もだね」
「皆髷にしてね」
 そうしてというのです。
「そのうえでだよ」
「お髭を剃っていたんだね」
「お髭は明治からだけれど」
 生やす様になったのはです。
「明治の最初の頃は生やしていない人もね」
「多かったんだ」
「そして東郷さんもね」
「後で生やしたんだね」
「そうだよ、若い頃からずっとではね」
 お髭を生やしていたことはというのです。
「なかったんだ」
「そうだったんだね」
「明治帝だって」 
 言わずと知れた明治の頃の日本の国家元首であられたこの方もというのです。
「即位された頃はね」
「お髭がなかったんだね」
「それを生やす様にされたんだ」
「後になって」
「あの方も生やしておられていたけれどね」
 お髭をというのです。
「そうだったんだ」
「成程ね、ただね」
 ここで王子は先生にこんなことを言いました。
「明治帝のお写真は少ないね」
「ああ、そうだね」 
 先生も確かにと答えました。
「言われてみればね」
「そうだよね」
「実はあの方お写真を撮られることがお嫌いだったんだ」
「あれかな、写真を撮られると魂を抜かれる」
「昔はそう言われていたね」
「それでなんだ」
「あの方はお嫌いだったんだ」 
 お写真を撮られることがというのです。
「これがね」
「やっぱりそうだったんだね」
「そしてね」
 それにというのです。
「西郷隆盛さんもね」
「あの人の写真も少ないね」
「そうだね」
「同じ理由だね」
「うん、けれどね」
「お写真あるにはあるね」
「そう、けれどね」
 ここで先生は王子に真剣なお顔でお話しました。
「東京の上野の西郷さんの銅像や肖像画のね」
「あのお顔は似ていないそうだね」
「実際に西郷さんのお写真を見るとね」
「似ていないんだ」
「うん、若い頃の志士の人達が集まった集合写真に西郷さんもいるけれど」 
 それでもというのです。 
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