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ドリトル先生と桜島

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第十一幕その十二

「結構怪しいものがあるのは確かだよ、そしてね」
「そして?」
「そしてっていうと」
「暗殺は突発的な通り魔みたいなものでないのなら」
 それならというのです。
「まず黒幕がね」
「いるのね」
「どんな事件でも」
「そうなんだね」
「そして龍馬さん暗殺はね」
 この事件はといいますと。
「通り魔的な事件か」
「違うよね」
「どうにも」
「そんな気がするね」
「この事件は」
「まず違うね」 
 先生は皆に考えるお顔でお話しました。
「それでわざわざ宿屋に押し入ってね」
「龍馬さんを暗殺するか」
「中岡慎太郎さん共々」
「そう考えるとね」
「ないよね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「僕もそれはないと考えているから」
「それじゃあだね」
「計画的で」
「黒幕がいるね」
「うん、突発的な事件とはね」
 その様にはというのです。
「やっぱり思えないね」
「通り魔みたいな」
「いきなりとかね」
「確かにないよね」
「計画的なものだね」
「そして西郷さんが黒幕の可能性はね」
 どうしてもというのです。
「否定出来ないよ」
「そうであって欲しくないけれど」
「可能性はあるんだね」
「それも高いかも」
「そうなんだね」
「そうした時代だったしね」
 幕末はというのです。
「新選組も暗殺多かったしね」
「そうだよね」
「芹沢鴨さんという伊東甲子太郎さんといい」
「身内同士での暗殺多かったね」
「外にもそうだったしね」
「あの人達もそうでね」
 それでというのです。
「志士の人達もだよ、龍馬さんは暗殺される側で」
「する側じゃなかったね」
「あの人は」
「そうした人じゃないね」
「けれど幼馴染みで親しかった武市半平太さんがね」
 この人がというのです。
「やっぱり龍馬さんの幼馴染みの岡田以蔵さんを使って」
「ああ、武市さんね」
「武市さんは有名だよね」
「あの人は」
「何かとね」
「そう、暗殺に手を染めていて」 
 それでというのです。
「沢山の人を暗殺しているからね」
「そんな時代だったから」
「西郷さんもなんだ」
「その中にいたんだね」
「そうだよ、だから若し西郷さんが龍馬さん暗殺の黒幕でも」
 例えそうであってもというのです。
「そうした時代だった」
「そういうことだね」
「結局は」
「仕方ないことだったんだね」
「そうだよ、いいか悪いかは別にしてね」
 こうお話してでした。
 先生は直新陰流の道場も後にしました。地質調査の中の一幕でした。 
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