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ドリトル先生と桜島

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第八幕その十二

「あるんだよ」
「その国の言葉を読み書き出来て喋れて」
「それでもだね」
「方言は色々あって」
「わからない言葉もあるんだ」
「そうなんだ、ちなみにね」  
 先生はさらに言いました。
「幕末京都で薩摩藩の人達の話はわからなくて」
「機密は保持出来たんだ」
「そのお陰で」
「そうだったのね」
「その意味はあったみたいだよ」
 実際にというのです。
「長州藩や土佐藩の人達の言葉とも違うしね」
「それ大きいね」
「ことを為すにあたって」
「とてもね」
 こう皆にお話します。
「よかったみたいだよ」
「そう思うと役に立ったんだね」
「昔の薩摩弁は」
「そうだね」
「そうだね、しかし僕もこの耳でははじめて聞いたけれど」
 それでもともです、先生は言いました。
「凄い言葉だね」
「そうだね」
「何を言ってる全くわからなくて」
「日本語とさえ思えないわ」
「そんな言葉だよ」
「だから戦争中にも使われたよ」
 この時もというのです。
「第二次世界大戦の時にね」
「ああ、あの戦争でもなんだ」
「イギリスが随分日本にもドイツもやられた戦争ね」
「イギリスは何とか勝ったけれどね」
「日本にもね」
「あの戦争で日本はアメリカ軍に情報を解読されていることがわかって」
 それでというのです。
「咄嗟に昔の薩摩弁に代えたんだ」
「そんなこともあったんだ」
「情報を解読されているから」
「それで昔の薩摩弁に代えて」
「対処したんだ」
「そうしたらアメリカ軍もわからなくて」
 それでというのです。
「やっと昔の薩摩弁だったわかった時は」
「その時は?」
「どうなったの?」
「一体」
「作戦が終わっていたんだ」
 昔の薩摩弁でやり取りしていたそれがというのです。
「そんなことがあったんだ」
「それは凄いね」
「戦争の暗号にも使われるなんて」
「物凄いね」
「そうしたお話もある位の言葉で」
 それでというのです。
「実際に聞くとね」
「物凄いね」
「本当にね」
「何が何かわからないよ」
「日本語かどうかさえもね」
「そうだね、もう使える人は殆どいないけれど」
 それでもと言う先生でした。
「何らかの形で記録してね」
「残しておきたいね」
「方言も文化だしね」
「貴重な言語だから」
「そうしていくべきだね」
 こうお話してでした。
 先生は鹿児島に戻りました、そして今度は鹿屋に向かうのでした。 
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