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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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バラモス城

<バラモス城>

世界の平和を取り戻す為、アルル一行はラーミアを使い、ネクロゴンドの奥地に聳えるバラモス城へと乗り込んだ。
バラモス城は入り組んだ造りになっており、なかなか先へと進めない…
尚かつ敵も強力で、進撃スピードは上がらないのだ!


「やはり本拠地だけあって敵も強いわね!」
「うふふ…アルルはもうギブアップ?私はまだまだいけるわよ!」
『ライオンヘッド』に苦戦しているアルルの呟きに、素早さを駆使して強烈な一撃を『エビルマージ』に与え、トドメを刺すハツキがサラリと答える。

「あははは、バカを言わないで!1対1で戦うと苦労するってだけの事よ!今の私にはみんなが居るのだから、怖い物など何もないわ!」
装備を一新した彼女等にとって、此処の敵は強敵であっても撃破出来ない相手ではない。
ましてアルルにしてみれば、仲間と共に戦える事が何よりの強みなのだ!

ハツキの加勢もあり、ライオンヘッドにトドメを刺したアルルは、少し離れた所で戦っている他の仲間を見据える。
2体の『動く石像』を相手に、カンダタとモニカがそれぞれ攻撃を仕掛けている。
カンダタは『バトルアックス』で、モニカは『誘惑の剣』で…
そしてウルフとマリーが魔法を使い、後ろで2人を援護するのだ。


「リュカ、何でリュカは戦わない?」
戦闘をしているアルル達より、離れた位置で何もしていない者達へ、少女ラーミアが不思議に思い問いかける。
リュカ・ビアンカ・ティミー・ラーミア・ミニモンのグループだ…

「あのね、僕達はすっごく弱いから戦わないんだよ。下手に戦うと、直ぐにやられちゃうから危ないんだよ」
リュカは少女ラーミアに優しく嘘吐く。
それを聞いたビアンカとティミーが堪らず笑い出す。

「はぁ~リュカは弱いのかぁ……おいミニモン、リュカは弱いのか?」
彼女なりに疑問に思ったのか、側にいたミニモンの耳を無造作に掴み、敬意の欠片も無く確認する。
「いたたたたた、離しやがれこのバカが!……リュカ達が弱い?嘘に決まってんだろ、このアホウドリ!」
「ラーミア、バカじゃない!ミニモンむかつく!ミニモン、ラーミアに謝れ!」
ミニモンの罵声に腹を立てた少女ラーミアは、額に青筋を立てながらミニモンの羽と尻尾を力任せに引っ張り、謝罪を要求する。

ラーミア内でこのパーティーの序列は、リュカ→ビアンカ→マリー→その他大勢→僅差で自分→カンダタ→ミニモンである!
大好きなリュカがトップで、リュカが大切にするビアンカが第2位…
マリーは色々優しく教えてくれるので第3位に位置し、その他は同等かちょっと上的な考え。
カンダタに対しては、リュカの扱いを参考にしており、ミニモンは論外なのだ。


戦闘を終えたアルル達が、和気藹々と(一部マジ喧嘩)している仲間の元に戻って来る。
「今度は何の騒ぎを起こしてるんですリュカさん!?」
少女ラーミアとミニモンを見たアルルが、ジト目でリュカに問いかける。
「何で僕を睨むの?どう見たって僕は関わってないよね?」
「ラーミアの事はリュカさんに一任してあるんですから、全責任はリュカさんにあります」
アルルの言葉に、リュカは「やれやれ」と言った表情で苦笑する。

そして、互いの頬を左右に引っ張りあっている2人を制止し、少女ラーミアを抱き上げ事態を落ち着かせた。
「2人とも喧嘩は止めなさい…」
「ラーミア悪くない!ミニモン、ラーミアをバカにした…それが悪い!」
「あぁそうだよ!全部俺が悪いんだよ!…くそー、お前等全員死んじまえ!」
少女ラーミアの一言に、半ベソをかきながらミニモンが叫び、その場から逃げ出してしまう。
「あ、こら!勝手に行動するんじゃない!」
慌ててリュカは声をかけたが、時既に遅くミニモンは通路の奥へと行ってしまった…


皆で急ぎミニモンを追う事に!
すると奥からミニモンの悲鳴が聞こえてきた。
慌てて角を曲がるとそこは袋小路で、ミニモンは3体の『動く石像』に囲まれ震え上がっていた!

即座に動いたにはカンダタ…
バトルアックスを振り上げ、動く石像に一撃を喰らわす。
(ズギンッ!)
鈍い音と共に、カンダタのバトルアックスが砕け散ってしまった!
その間にも、動く石像はミニモンに攻撃を仕掛けてくる…
カンダタはミニモンを抱き、その場で蹲り庇う!
誰もがカンダタとミニモンの無惨な姿を予想した瞬間、一番後方にいたリュカが、何時の間にかアルル達を抜かし、3体の動く石像を一瞬で破壊してしまったのだ!

リュカは何事も無かったかの様に身形を整えると、何事も無かったかの様にカンダタ・ミニモンを立たせ、何事も無かったかの様に笑顔を振りまく。
そして屈み、ミニモンへ注意を促す。
「ミニモン…勝手な行動をしてはダメだ!もうお前は、僕等の仲間なんだから、他のモンスターには攻撃されるんだぞ!」
ベソをかいているミニモンの後頭部に、軽く拳骨を落とす(コツンと)と優しく抱き上げ、頭を撫でる。

「………ごめんなさい」
ただそれだけ…一言だけ謝り、顔をリュカの胸に埋め、声を出さずに泣き続けた。
リュカは苦笑いしながらもミニモンを撫で続ける…そしてカンダタに視線を移し、目で礼を述べる。
カンダタも理解し、照れくさそうに頭を掻き俯いた。


「でもカンダタの武器が無くなっちゃったね」
何かに気付いたマリーが、急に状況を確認し始めた。
「そうだな…ま、しょうがねぇさ!体は丈夫だし、みんなの盾代わりにはなれるだろうから、気にすんなよ!」
アルルが、一旦町へ戻り武器の購入を提案しようとした瞬間、カンダタがこのままバラモス城攻略続行を進言した。
「で、でも…」
「大丈夫だって…拳でだって戦えるんだしよ!」
気を使うアルル…気遣い無用と突っぱねるカンダタ…

そんな2人のやり取りを無視し、マリーがリュカに目で合図を送る。
そして無駄に明るい声で通路奥を指差した。
「見て!あそこに宝箱があるわ!お父さん、あの宝箱は危険ですかね!?」
「ん!?………あぁ!アレね…うん…凄いアイテムの臭いがするね!うん!」

またしても言い出した『臭い』発言…
確率100%にも関わらず、皆が信用しきれないリュカの発言。
きっと普段の行いが問題なのだろう…



 
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