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ドリトル先生と幸せになる犬

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第十幕その六

「君をもう一度うちにって言ってね」
「前のママとパパが?」
「そうだよ、何なら会うかい?」
 先生はふわりに微笑んでこうも言いました。
「そうしてくるかい?玄関にいるよ」
「前のママとパパが」
「そこで君は全部わかるよ」
 そうなるというのです。
「そして決めることになるよ」
「私が決めるの」
「もっと言えば決まってるよ」
「決まってるの?」
「君の中で既にね」
「そうなの」
「だから行って来るといいよ」
 ふわりを言葉で送り出そうともしました。
「君の親御さんのところにね」
「わかったわ」
 ふわりは先生のお言葉に頷きました、そしてです。
 ふわりは玄関の方に向かいました、すると一家の奥さんと息子さんは落ち着いていましたし動物の皆もです。
 先生にです、それぞれ言いました。
「そうだね、もう決まってるね」
「ふわりにとってもね」
「先生の言うことわかったわ」
「だから僕達もここでいればいいね」
「落ち着いてね」
「うん、ただね」
 先生は皆に笑顔でお話しました。
「ふわりが決めていることを行動に移す場面をね」
「見るのね」
「そうするんだね」
「これから」
「覗くことは駄目だけれど」
 紳士である先生はこのことはしない様にしています。
 ですがこの時はなのでした。
「見るべきものを見る為にね」
「その為にだね」
「僕達は玄関の方を見るんだね」
「こっそりと」
「そうするんだね」
「そうしてみようか」
 皆に提案するのでした。
「これから」
「そうですね」
「それもいいですね」
 一家の奥さんと息子さんも先生の提案に頷きました。
「ふわりの決定を見る」
「そうしても」
「そうです、答えはわかっていても」
 それでもとです、先生はさらにお話しました。
「見ると尚更いいので」
「だからですね」
「ここはですね」
「皆で玄関の方を観ましょう」
 こうお話してでした。
 先生達は玄関の方を見ました、するとです。
 ご主人は玄関の右から左に開く扉を開いてそれを挟んで若い男女とお話していました、その男女こそです。
「あの人達がです」
「ふわりの前の飼い主達です」
 奥さんと息子さんが先生にお話しました。
「百田さんといいまして」
「私達の親戚なんです」
「ふわりを捨てた人達です」
「散々可愛がっていたのに」
「そうですか、奥さんですね」
 茶色の長い髪の毛を束ねて左肩かた垂らしたピンクのブラウスにクリーム色のロングスカートの若い女性を見ました。見ればその手には生まれたばかりの赤ちゃんがいて。
 整った顔立ちをしています、ですがそのお顔をです。
 鬼の様にさせてです、国崎家のご主人に色々喚いていました。 
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