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異生神妖魔学園

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みのりの華麗なる日常 後編

みのりを尾行しているうちに何事もないまま街に到着した。


紺子「今のところ変な動きはなしか……」

辰美「紺子様、はぐれないように手を繋ぎましょうか?」

紺子「いらねぇよ」

竜奈「だが絶対何かやらかすと思うんだが………」


尾行を続ける3人。視線は完全にみのりの方へ向けているにも関わらず、みのりは紺子たちの存在に気づく気配はない。となると紺子が使った妖術は。


紺子(大成功じゃないですか!やったー!!)


と、心の中で嬉しそうに叫ぶ紺子であった。そんな中竜奈がある2人に目を向ける。


竜奈「……ん?何だあの2人は?」

紺・辰「「?」」

竜奈「親子………なのか?にしては父親の方はやたら背が低く見えるが……」


偶然見つけた親子らしき2人。片方は銀髪の幼い女の子で、父親らしき男の腕をつかんでくっついている。その父親らしきもう片方の男は髭を生やしており、いかにも中年のようにも見えた。
すると紺子があることに気づく。父親の方は紺子たちと同じ人外か?何か動物の体の一部のようなものが生えているではないか。


紺子「あいつの種族何だ?なんかコウモリの翼とワニの尻尾生えてんぞ?」


さらに彼が着ている服にも目を向ける。ところがその瞬間、どういうわけか思わず吹いてしまった。


紺・竜「「ブフォッ!?」」

辰美「ど、どうしたのですかお二方!?」

竜奈「辰美…………あれを見ろ」

辰美「あれ?って何ですかあれ!?」


男のファッションはなんとも目に余るものだった。竜奈なら武道の授業を受けているのでわかるだろうが、革ジャンの下に四字熟語が書かれたTシャツを着込んでいた。
書かれていた四字熟語は『威風堂々』。ラインハルトが着ていた文字入りTシャツ並のひどさである。


竜奈「何なんだあのファッションのひどさは!?ラインハルト先生みたいじゃないか!」

辰美「そ、想像の斜め上を行く破壊力ですわ……!」

紺子「もはやどこから突っ込んでいいかわかんねぇ……!」


開いた口が塞がらず、ただ唖然と見つめることしかできなかった。
そんな親子にある男が近づいてきた。彼を見た3人はさらに驚くことに。なぜなら彼は《《紺子たちがよく知っている男だったからだ》》。


紺子「って、あれって!?」

辰美「コーティア先生!?」


そう、親子に近づいてきたのは美術担当のコーティア。どうやらコーティアも街に来ていたようで、両手の袋には大量の衣服やら食料やら入っていた。
となると髭の男と銀髪の女の子は親子ではない。つまりコーティアが父親となる。


竜奈「コーティア先生、子供いたのか………!?」


兄弟か?いや、年の差が大きすぎる。そもそもあんな髭を生やした男がコーティアの息子とは言いがたい。


紺子「けど…あの女の子だけ人間の気配がするんだが……」

辰美「え!?どういうことですか!?」


紺子たちの目的はどこへ行ったのやら。本来の目的はみのりを尾行すること。髭の男、女の子、そしてコーティアを見た3人はもう目的などすっかり忘れてしまっていた。
みのりもコーティアたちに気づいたのか、彼らに近づき、コーティアに話しかけた。


みのり「コーティア先生、こんな所で何を?」

コーティア「ん?おや、西田ではないか。奇遇だな。お前も街に用があったのか?」

みのり「ええ、お散歩しに」

コーティア「そうか。我は息子と娘のために買い物を終えて帰ろうかと思っていたところだ」


そう口にしながらも、コーティアはみのりに対して警戒していた。


コーティア(散歩……?あ、たぶんうちの娘のことだ。何かしでかすに違いない…………)

みのり「え!?コーティア先生、息子と娘がいたんですか!?」

コーティア「義理だがな」

髭の男「はぁ……何でみんな俺のファッションセンスがわからないんだ……?」

みのり「!?」


ため息をついた男の『威風堂々』と書かれたTシャツを見るみのり。当然紺子たち同様あまりのひどさに唖然としてしまった。


みのり「え、えっと……この息子さん………ファッションが奇抜すぎません?」

コーティア「やっぱり西田もそう思うか…見ろ玄徳、ドン引きされてるぞ?」

玄徳「え、誰が?俺が?何を?これを?マジで言ってんのか?」

みのり「ドン引きしま……………って、キャアアアアア!!幼女たんが!幼女たんがここに―――――」

コーティア「おい」


玄徳と呼ばれる男にくっついている女の子に目を向けるなり興奮し、抱きつこうとしたところを片手でみのりの顔をつかみ、アイアンクローをかけた。



ギシギシギシギシギシッ



みのり「イダダダダダダダダダ!!こ、コーティア先生何するんですかァァァ!?」

コーティア「どうやら悪い予感が当たったようだ………すまない玄徳、シャルロット。後で我が西田を説教しておく」


ところがその瞬間、みのりの猫耳がピョコンと動いたかと思いきや、コーティアのアイアンクローをかけている腕をつかみ、顔から引き離した。
コーティア以外に義理の息子と娘が驚く中、みのりはすかさずコーティアを背負い投げ。彼を地に伏してしまった。


紺子「何ィ!?おい嘘だろ!?」

竜奈「あんなきれいな背負い投げ、見たことがない……」

辰美「ロリコンってそこまでの力を持ってるんですか……!?」


驚いていたのは紺子たちも同じだった。
背負い投げを決めたみのりはシャルロットと呼ばれる女の子に近づく。


みのり「シャルロットたん!?あなたシャルロットたんって言うの!?」

シャルロット「え……えっと……はい」

みのり「なんて…なんてかわいらしい幼女がいるのかしら……街で銀髪ロリ幼女に出会えるなんて……♡しかもこれは天使の予感………♡」

シャルロット「え?え?」

みのり「これでも私、天使萌えなの♡」


その発言からしてもはや嫌な予感しかしない。シャルロットに手を出したらすぐに強行手段に出てでも止めようと思っている紺子たち。


紺子「そろそろ準備するわ」

辰美「え?」

みのり「困惑している幼女もいいけど、私が好きなのは…………天使のような純真無垢な笑顔を見せてくれる幼女がいい…………!幼女最高ォォォォ!!!銀髪ロリたん最高ォォォォ!!!♡♡♡♡」

玄徳(普通に考えたら犯罪だよなこれ)


これには玄徳もどう止めればいいかわからない。
だが紺子に頼んで妖術を解かれた竜奈が忍び寄ってきていたことをシャルロットに夢中のみのりは全く気づいていなかった。


玄徳(ん?誰だあの和服の女は?猫又に近づいてきてるが、まさか………)


この後の展開を察したのか、あえて口に出さない玄徳であった。


シャルロット「こ、怖い……なんだか怖いよ………」


怯えるシャルロットと笑顔のみのり。そしてみのりに音もなく近づいてくる竜奈。


みのり「ぐへへへへ、シャルロットたん♡怖がらなくていいのよ?私が笑顔にして―――――」



グギィッ



みのり「ヒギャアアアアアアアアアアアアアアア!!!!う、腕ェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!」

シャルロット「!?」

竜奈「そこまでにしてもらおうかみのり先生。それ以上は犯罪だぞ」


野次馬が見ているのも気にかけず、竜奈はすかさず関節技をかけた。絶叫したみのりに竜奈はさらにドスの効いた声で脅しをかける。


みのり「こ、この声……竜奈ちゃん!?き、奇遇ですね…こんな場所で会うなんて……」

竜奈「ああ、奇遇だな?尾行しといて正解だった」

みのり「尾行!?」

コーティア「イッタタタタ……何がどうなって………って何だ!?なぜ西田が!?」


ようやく意識を取り戻したコーティアだが、どういうわけか竜奈が自分たちの目の前におり、みのりに関節技をかけているではないか。
そして竜奈以外気づいていないだろうが、術がかかった紺子と辰美もこの場にいた。


竜奈「どうもコーティア先生。私たち今みのり先生の私生活を知るために尾行してたんですよ」

コーティア「って御神!?お前までなぜここに!?」

玄徳「だが、私たち…だと?他にもいるのか?」

竜奈「ああ」


だが紺子と辰美はまだ術がかかったままである。解かなければこの場にいる意味がない。


辰美「これいつまで続くんですか?」

コーティア「ん?何か術をかけたのか?」

紺子「あ、そうだった」


半透明の紺子と辰美は姿を消す時同様霧に包まれ、コーティアたちの前に紺子と辰美が姿を現した。


コーティア「出雲と魚岬もいたのか。なんとも素晴らしい妖術だ」

紺子「とりあえずコーティア先生、あとで質問しますが……まずはちょっとこのロリコン先生を何とかしておきますね」

みのり「あえ!?こ、紺子ちゃん!?なんだか怖い顔してるけど!?」

竜奈「紺子、あとはお前に任せる」


竜奈のみのりにかけている関節技が解かれるや否や、紺子はすかさずみのりに襲いかかった。


紺子「オラァ!!」



キーンッ!!



みのり「ヒギィ!?」

紺子「ここでッ!!」



ズドゴンッ



みのり「ゴボッ!?」

紺子「学園長の護身術がッ!!」



ダシャアッ



みのり「ゴヘェ!?」

紺子「役立つ時が来るなんてなッ!!」



ゴシャアッ!!!!!



みのり「仝∠¶∞℃Ω◎£※▲α〆■δ∀⇔∝Å∴∋∥〒Φゞ∬∩¥±★≡‡¢♂∃⊥♀ε∧μ●♯⊿♭%+♪◆〓々ゝ!!!!?」


まず金的蹴りを繰り出し、股間を押さえたところをすかさず追い討ちとして腹めがけて肘打ち。さらに少し後ずさってラリアットを食らわせ、とどめに顎めがけてアッパーカットを決めた。
声にならない断末魔をあげながら吹き飛ばされ、宙を舞ったみのりはそのまま地へと倒れ伏し、ピクリとも動かなくなった。紺子以外全員唖然、呆然。もちろん玄徳とシャルロットもポカンとした表情だった。


辰美「え、あの……紺子様?」

紺子「ん?」

竜奈「今のはさすがにやりすぎじゃ……」

紺子「ああ、これか。この技は学園長に伝授された護身術でな、自分なりにアレンジしてみたんだ」

竜奈(何やってるんだ学園長!?)


普通ならここでジャーナリストの深海のように惨たらしい死に方をしているが、どういうわけか気絶で済んでいた。
そんなみのりに目も向けず、紺子はコーティアに問いかける。


紺子「んでコーティア先生、質問だけど…………このファッションセンスのかけらもない奴と……この人間の女の子は誰?」

コーティア「あー、そうだったな……とりあえず皆公園に行こう。そこで質問に答える」


野次馬たちには目もくれず、気絶したみのりを引きずりながら公園に案内されたのだった。 
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