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歪んだ世界の中で

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第十一話 テスト勉強その十五

「そうしようね」
「いつも誰でも」
「そうしたらいいからね」
「ですね。住んでいる場所が違っても」
「僕達は友達だからね」
「だからこそですね」
「うん、友達だから」
 まさにそれ故にだと。二人で話して誓い合うのだった。
 こうした話をしてだった。二人で学校に入った。その二人を見てもだ。
 もう誰もひそひそと話をすることはなくなていた。それを感じ取ってだ。
 希望は笑顔でだ。真人に言った。
「これまではね」
「そうですね。僕達を見れば必ず誰かが」
「笑ってね。陰口を言っていたけれど」
「それがなくなりましたね」
「全然違うよ」
 そうなったことがだ。まさにだというのだ。
「何か別の世界にいるみたいだよ」
「僕もです。けれどそれは」
「それは?」
「自然とそうなったものではなく」
 そうではなくだというのだ。
「遠井君が自分でそうしたものですよ」
「僕自身がなんだ」
「そうです。遠井君は今とても努力しています」
「そしてその努力が」
「遠井君を変えて。そうして」
「周りの視線や声を変えたんだね」
「はい、そうしました」
 他ならぬだ。彼自身がだというのだ。
「そして僕もなんでしょうか」
「僕が自分自身でそうできているのならね」
「僕もですね」
「そうだよ。むしろね」
「むしろ?」
「友井君の場合は皆が友井君のよさがわかったのかな」
 そうではないかというのだ。真人の場合はだ。
「それで皆言わなくなったんだよ」
「そうなのですか」
「うん。そう思うよ」
「僕のよさが皆に」
「友井君いつも僕に言ってくれたじゃない」
 その真人を見ての言葉だ。今二人は校庭を左右に見ながら歩いている。緑に覆われたアスファルトの中を。その中を進みながら話しているのだ。 
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