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魔法少女リリカルなのは -Second Transmigration-

作者:navi
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第16話 逃走、のち邂逅

 
前書き

開けましておめでとうございます。

遅くなりましたが16話になります

ではどうぞ~
 

 

えーっと、どうも。陽翔です。
今、かなり面倒な状態に陥ってます。それは何かというと……


「ジュエルシードを、渡して」


……フェイトは俺にバルディッシュを向けて言ってきた。
さて、なんでこんな事になったのかというと





以下回想


俺はスパーダと夕飯の買い出しに行った。お目当ては特売の肉や野菜等で、主婦達の荒波に揉まれつつも、なんとか手に入れる事ができた。


「てか……あの大人数の中を進って、かなり力がいるよな……」

『うむ。しかし、悠里の言っていたことも一理あるな。「人混みの中を上手くすり抜けれるようになれ」、というのは後々役に経つだろう』


悠里曰わく、居合いと抜刀は下半身、特に足腰が一番大事だそうだ。でも、攻撃を避けたりする場合には別の動きになるので、上手く先を読んで動くことが重要……
なのだが……


「これ……練習になってるのか?買い出し行ってもセールなんてゲリラ的でどこからやるなんて分かったもんじゃないだろ」

『それこそやはり先読みだろう。あとは……からかっているかだ』

「……ぜってー、後者だ」

『フ……。しかし、敢えて遠いスーパーに行くのだから、筋トレにはなるだろう?』

「……まーな」


事実、筋トレにはなってる。おかげで重いもの運ぶの楽だし。
そんな風に話をしながら帰ると


『ム……?マスター、微弱な魔力反応だ』

「なに……?魔導師か?」

『いや、恐らくジュエルシードの発動前だろう。近くだから回収して行ってはどうだ?』

「そうだな」


発動なんかしたらたまんないし。
俺はスパーダのナビの下、ジュエルシードの反応のあった場所へ向かう。角を曲がって、細い路地を入ると……


「これか……」

『念のため封印処理をしておこう。……よし、これでいいだろう』


スパーダが封印処理を終えたのを聞いて、俺はジュエルシードに手を伸ばす。それを手にとってスパーダに収納しようとした時、


「待って」


後ろから声が聞こえた。俺は振り向こうとしたが、先程まで感じなかった敵意を感じ取ってそれをやめる。
顔を動かして後ろを見ると、後ろに漆黒の戦斧を俺へと向ける1人の少女が目に入った。


「ジュエルシードを、渡して」

(……真剣で?)


金髪の少女、フェイトが言ったのを見てそう思った。
いや、なんて言うか……真剣で、なんで、このタイミングで遭遇してしまうのかね?


(どうするマスター?話し合いが通じるとは思えないが……)

(大人しく渡すのがいいよな。そうと決まればさっさと……)

「そこの2人、何をしてるんだ?」

「……え(`・ω・´)?」


別の声が聞こえたので、チラリと見てみると、そこには警官が立っていた。


(ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!)


いくらなんでもこの状況はマズい。フェイトがバルディッシュを構えてるだけでも誤解を招くのに、警官が入るなんて最悪だ。


「む……?そっちの女の子が持っているのは……」

(イヤァァァァ!!?)


一番気づいて欲しくないところに警官は気づいてしまい、俺は心で叫び声を上げる。万事休すかと思ったその時、


「バルディッシュ…」

『ランサーセット』

「…………はい?」


不吉な言葉を拾った俺は恐る恐る振り向き、ふと、上を見上げる。そこには電気を帯びた球体が1つ。


「まさか……」


考えたくはないが、1つしか思い浮かばない。フェイトは魔法を使えない人間に使うとは思えないが……


『プラズマランサー』

「ファi……」

「バカたれェェェェェェェ!!」
「!?」


俺は慌ててフェイトを掴み、肩に担いて路地を走り出す。


「俺の周りで!傷害事件なんて起こすんじゃねぇぇぇぇぇぇ!!」

ピシャァァァァン!!

「ギャァァァァァァ!?」


走ってる後ろで雷の鳴る音とお巡りさんの悲鳴が聞こえたが、構わず俺は走り続けた。途中にある塀と壁をジャンプで飛び越えて、角を素早く曲がる。
某アサシンのゲームの伝説と最強アサシンも真っ青な動きで、両手には買い物袋を提げて疾走する。
お巡りさん、本当にごめんなさい!!


『これでマスターも共犯者になったな』

「うるせぇぇぇぇぇぇ!!」


やりたくてやったわけじゃねぇよ!
なんでこうなんだよ畜生が!!
増援が来ないことを祈りつつ、俺は足の早めてその場を去った。





「ゼェー…ゼェー…ゼェー…」


それから少しして、俺は公園のベンチに腰掛けて休んでいた。幸いにも、警官はあの1人だけで増援はなかった。


「あの、大丈夫……?」

「……に見える?」

「……ごめんなさい」


そう言ってフェイトはショボン……とうなだれた。
どうやら警察官と知らなかったらしく、それをさっき説明した時は慌ててた。……意外とうっかり者なのか?


「まぁいいや。……ちょっと手、出してみて」

「…?」


フェイトは両手を俺に差し出すと、俺はその掌にジュエルシードを置いた。それを見たフェイトは顔は驚きに満ちていた。


「これ……!」

「あげるよ。俺は別に欲しい訳じゃないから」

「でも……」

「た・だ・し!……もう絶対に、一般人にはデバイスを向けるなよ?それが条件だ」

「……それだけで、いいの?」

「(カチッ)……んなこと言うとやめるぞ」

「ごめんなさい!絶対にやりません!!」


フェイトはすぐさま謝って訂正してきた。
うん、なんというか……すごい必死に。
しかも、涙目だからすんごい可愛い……


「わ、わかった……わかったから、そんな顔しないで」

「本当に……?」

「本当」

「……ありがとう」


フェイトは俺の言葉を聞くと、両手に持ったジュエルシードを大事そうに握り締めて、笑顔で俺に礼を言った。
うん、やっぱり笑顔も可愛い。


「じゃ、俺はこれで……」

「あ、あの!」

「?」

「えっと……名前、聞いてもいい、かな……?」

「え……?陽翔。鳴海陽翔。名字が鳴海で、名前が陽翔」

「陽翔……。私はフェイト。フェイト・テスタロッサ。ありがとう。陽翔」

「いいって。またね、フェイト」


俺はフェイトに小さく手を振ってその場を去る。少し歩いてから、スパーダが話しかけてきた。


『いいのかマスター?彼女とはいずれ敵対するのだぞ?』

「まだ決まった訳じゃないだろ。それに、別に悠里は管理局につくなんて言ってなかったし」

『確かに。……しかし、1つ困った事があるな』

「なに?」

『マスター……悠里が指定した時間だが……もう過ぎてるぞ』

「………………え?」


俺、死んだかも……





フェイトside

陽翔と別れてすぐ、アルフから連絡が入る。あっちは見つけられなかったみたいだけど、私が発動前の物を見つけたと言ったら喜んでいた。


『さっすがフェイト!1日で2つなんて順調じゃないか♪』

「うん。……もう一つは陽翔のおかげだね」

『ジュエルシードを渡してくれた奴ね……珍しい人もいるんだね~。……それにしても、問題はこっちの白い奴か……』


そう言ってアルフは私が戦った女の子を見る。
少し大変だけど、あの子は戦い方を知らないみたいだから、多分大丈夫だと思う。


『そうと決まったら、早くご飯にしようか!しっかり休まないとね』

「うん。それじゃあね」


アルフとの連絡わ終えて、隠れ家へと帰る前にもう一度ジュエルシードを確認してみる。
1つは戦って取ったもの、もう1つは男の子が譲って貰ったもの。


「そういえば、同い年の子で話たの、初めてだったな……」


ふと、今日出会った2人の顔が浮かぶ。女の子と男の子、どちらも似ている感じだったけど、何故か思い浮かぶのは、2人目の男の子だった。


「陽翔、か……」


その男の子の名前を自然と呟くと、私は隠れ家へと歩き出した。





悠里side


「……で、買い物行ったはいいけど、フェイトと遭遇してしまったと」

「はい……」


……見事に歴史が食い違ってきたな。たしか、もう1つはアルフが見つけるはずだったし。
だが、どちらにしろ、フェイトが手に入れた事に変わりはないし……多分大丈夫だ。


「スパーダ……あと、何分……」

「あと3分だ。堪えろマスター」

「キツいんだよ……これ……」


調理をしている後ろで、陽翔は空気椅子の真っ最中だ。罰ゲームだから仕方ないよね。


「3……2……1……0」

「だっは~!!」


奇声を上げてハルは倒れこんだ。大の字になって居間に体を広げる。疲れきった足はプルプルと痙攣していた。


「というかさ、流石に今回は不可抗力だったから、これなくてもいいと思うんだよ、悠里」

「それはそれ、これはこれだ。……けど、今回のはとりあえず収穫だったな」

「は……?」

「フェイトといきなり接触するより、些細な事でいいから、本人と接触してた方がいいだろ?」

「………あ」

「というわけで、フェイトはおまえに任せる」

「…………ハァ(゜Д゜)!?」


俺の言葉にハルは口を大きく空けて叫んだ。よっぽど驚いたのか、かなり慌てているようだ。


「イヤイヤイヤ!待てよ、お前本気!?あんな薄気味悪い城のお母さまに会って来いっての!?俺キレちまうぞ?!」

「その辺は任せる。……それにだ、そうならないように今まで修行したんだろ?」


『武術とは、健全な肉体と強靭な精神の融合なり』
とはよく言ったもので、どれだけ力が優れていようが、精神が弱ければ簡単に崩れてしまう。
それは前世で俺がイヤと言うほど経験したし、それを目の前で見てきた。
だからこそ、ハルにはそうならないように修行してきたのだから。


「心配すんな。今のハルなら問題ないだろ」

「……断ってもやらせる気の癖に」

「ま~ね」

「ハァ……わかった、やるだけやるよ」


溜め息を吐いてハルは了承した。
ともあれ、これでフェイト側の事も把握できる。あとはイレギュラーが起きないことを祈るかね……
 
 

 
後書き

というわけで16話でした。

年末の仕事が忙しかったため更新が遅れてしまい申し訳ありません。

今年もどうぞよろしくお願いします。

ではまた次回で

ではでは~ 
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