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頑固親父と茶色猫

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第三章

 実際に暫く安静にしていたがその間だった。
 チャは祖父の傍にいた、その彼と祖父を見て孫はまた言った。
「チャは今でもか」
「ずっとここで寝てる」
 祖父は枕元を見て孫に答えた、チャは丸くなって寝ている。
「最近はな」
「本当に祖父ちゃんの傍を離れないな」
「この通りな」
「だから何で祖父ちゃんなんだ」
 孫は首を傾げさせた。
「一体」
「だからわかるか」
「幾ら何でもずっと一緒にいるからな」
 それでというのだ。
「不思議に思うさ」
「そうか」
「本当に何でなんだ」
 首を傾げさせて言った。
「祖父ちゃんと一緒なんだ」
「だから俺が知るか」
「そう言うんだな、若しかしてな」
「何だ」
「いや、そんな頑固で不愛想でもな」
 祖父はというのだ。
「祖父ちゃん何も言わないだろ」
「来るなとかか」
「絶対にな」
「それでか」
「チャは一緒にいるのか」
 こう言うのだった。
「そうなのかな」
「俺が何も言わないからか」
「そうか?」
 こう言うのだった。
「若しかしてな」
「そうなんだな」
「俺今思ったけれどな」
「ならそれでいい」
 祖父は孫に答えた。
「こいつがそうしたいならな」
「やっぱり来るなって言わないんだな」
「言う気がないからな」
 それでというのだ。
「俺は言わない」
「そうなんだな」
「全く、何も言わないのなら家族全員そうだろ」
「けれど俺達はあっち行けとか言う時もあるから」
 何かをしている時はだ。
「祖父ちゃんは全く言わないからな」
「それでか」
「チャにとっていいんだろうな」
「そうか」
「俺が思うにな」
「そうか、じゃあこれからも言わないでおく」
 祖父は孫の言葉を受けて彼にこう返した。
「俺はな」
「そうするんだな」
「ああ、言うのも面倒臭いしな」 
「ニャ~~~」
 ここでそのチャが祖父の膝の上に来た、そして。
 その上で丸くなったが祖父は何も言わなかった、撫ではしないがそうした。するとチャは祖父の膝の上で喉を鳴らしはじめた。
 雄馬はその様子を見て祖父に笑顔で言った。
「これからも一人と一匹なんだな」
「そうだな」
「ああ、仲良くしていけよ」
「俺はそのつもりはないからな」 
 祖父はこの時も頑固な顔だった、だが。
 チャをどけることはしなかった、ただ彼が動こうとするとチャは自然と膝の上からどいた、そんな二人だった。


頑固親父と茶色猫   完


                    2020・11・21 
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