| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

【完結】RE: ハイスクール D×D +夜天の書(TS転生オリ主最強、アンチもあるよ?)

作者:羽田京
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第4章 ???×夜天の書
  第19話 魔法少女リリカルはやて

 ベルカ自治区の聖王教会本部。
 その内部にある執務室にて。
 若いながらも高い地位についている教会騎士。
 と、新進気鋭の若き管理局員が会話をしていた。


「提督就任おめでとう」
「ありがとうな。子供のころからの夢がようやっと叶ったわ」


 教会騎士の少女が、管理局員の少女に、労いの言葉をかける。
 地位は、教会騎士の方が高かったが、二人とも気にせず親しげに話していた。


「17才での就任は、最年少記録だと聞いたわよ?」
「そうやね。クロノの記録を塗り替えてやって爽快な気分や」


――若き美少女管理局員、提督就任の最年少記録を更新 


 管理局の中では、いま話題になっている。
 その少女は、管理外世界の出身でありながら、膨大な魔力をもっていた。
 幼少時に、たまたまロストロギア事件に巻き込まれ、現地で魔法と関り。
 その後、ミッドチルダに移住。
 時空管理局の提督を目指して、すぐに士官学校に入学。
 卒業後は、エリート魔道師として名を馳せている。


「クロノくんとは、まだ仲直りしていないの?」
「あたりまえや。お養父さ――おじさんのことを悪く言うのは許せへん」

「『お養父さん』でいいのよ?相変わらずのファザコンっぷりね」
「ふん。ファザコンで何が悪い」
「あらら。開き直ったわね」


 提督という地位がある。
 その名の通り、「船」の指揮官であり、一佐以上の階級が任に就くことが多い。
 ここでいう「船」とは、次元航行船を指す。
 数多ある次元世界を行き来できる能力をもつ宇宙船。
 といえば、いいだろうか。


「でも、なんで貴女は、クロノくんと仲が悪いのかしら。
 おじさまとクロノくんのお父さんは、上司と部下だったんでしょ?」

「『闇の書最後の事件』は知っているやろ?」

「ええ、もちろん。ものすごく話題になっていたし。
 解決したのは、おじさまだっわよね」
「アルカンシェルで闇の書を葬ったのがお養父さん。
 で、クロノのお父さんは、アルカンシェルで闇の書ごと殉職したんや……」

「なるほどね。因縁があるわけか」
「そらな。クロノのお父さんのことは、悪いことしたと思うし、同情もする。
 けれども、お養父さんの判断は、決して間違いやない。
 まったく。過去のことをぐちぐち女々しい奴やで。リンディさんを見習ってほしいわ」

「貴女をみていると、管理外世界出身者とは、とても思えないわね」
「でもな。なぜか、地球出身者は、高ランク魔道師が多いみたいや」


――――第97管理外世界「地球」 


 教会騎士と話をしている少女は、「地球」の出身だった。
 彼女の養父も、「地球」の出身者であり、偶然出会ったという。
 愚痴とも惚気ともつかぬ言葉を続ける目の前の少女を見ながら、教会騎士の少女――カリム・グラシアという名前――は嘆息する。


「――――って、カリム、聴いている?」
「はいはい、聞いていますよ。その話はもう終わりかしら」

「うーん。まだ言い足りないけれど……」
「本当にファザコンよね、貴女。
 でも、おじさまは、どうして貴女を魔法と関わらせたのかしら?
 管理外世界で、魔法と無縁の暮らしをした方が、安全だと私は思うのだけれど」

「ああ、それはな。ジュエルシードっていうロストロギアのせいや」


――――願いを叶える蒼き宝石『ジュエルシード』


 と、呼ばれるロストロギア。
 しかし。
 願いを歪めて叶える26個のジュエルシードは、たったひとつで、次元世界を崩壊させかねない。
 その危険物が、偶然、地球に撒き散らされた。
 そのジュエルシード収集にて、現地協力者となったのが。
 類まれなる魔法の才能をもつ『二人』の少女だった。


 わずか8歳。
 魔法初心者ながらも、めきめきと頭角をあらわす二人。
 彼女たちは、ひと月と経たないうちに、管理局の武装隊を越える実力を持つに至る。
 事件の解決にも、大いに貢献した。
 その片割れである、ファザコン少女は、その実かなりの大物なのだ。


「9歳で士官学校に入学。
 卒業後そのまま執務官試験に合格。
 順調に出世を重ねていき、最短記録で提督に就任――ってどこの完璧超人よ」

「もちろん、わたしのことやで。すごいやろ」

「はいはい。実際すごいからね。
 管理外世界出身とは、とても思えないわよ。
 確か、同じ世界出身の貴女のお友達も、色々と武勇伝を聞くわ。
 S+ランク砲撃魔道師で、通称『管理局の白い魔王』だって」

「なのはちゃん、やね。
 その呼び方は、何度聞いても面白いな。ぴったりすぎや。
 まあ。本人に言うとOHANASHIされるから、カリムも気いつけてや」


――――高町なのは


 ジュエルシードを追い、現地に赴いたユーノ・スクライアからデバイスを受け取った少女。
 もうひとりの現地協力者である。
 同じ町に住んでおり、同じ学校に通う友達だったという。
 管理外世界とは、魔法文明がない世界である。
 当然、彼女も、魔法を知らずに過ごしていた。
 

 しかし、高町なのはは、管理外世界出身だとは思えないほど、魔法の天才だった。
 それまで、魔法とは無縁の生活を送っていたとは信じられない。
 と、共に闘ったユーノは証言している。


 なのはは、現在、管理局員となり、戦技教導隊に所属するエースオブエースとして有名である。
 もっとも、『管理局の白い魔王』として、畏怖されている、というのが正しいかもしれないが。


「わかったわ。『歩くロストロギア』さん?」
「わたしは、全然構わへんよ。
 かっこいいから、気に入っているねん」


――――歩くロストロギア


 今こうして会話している若き管理局員がもつ物騒な通称である。
 膨大な魔力量を使った力押しによって、犯罪組織をことごとく潰してきた管理局の最終兵器。
 通常なら十数人必要な儀式魔法、広域せん滅魔法を一人で行使。
 立ちはだかる者を全て薙ぎ払う様は、火力信者たちの憧れだ。


 その背景には、史実との差異があった。
 彼女は、リンフォース・ツヴァイやヴォルケンリッターに魔力供給をしていない。
 その結果、総魔力量は、大幅に上昇している。


 実は、史実における「高町なのは重症事件」も彼女が未然に防いでいた。
 当時、少女は、高町なのはと一緒に作戦行動をしていた。
 任務も終わり、ステルス搭載型のガジェットが、なのはを背後から貫く――はずだった。


 だがしかし。
 近くで広域せん滅魔法を景気よく連射していた『歩くロストロギア』によって、ガジェットは、ステルスを纏ったままぶちのめされていた。
 総合SSSランク魔道師の名は、伊達ではない。


「貴女と高町さんと言えば、ハラオウンさんも有名よね」


――――フェイト・T・ハラオウンとその使い魔アルフ


 ジュエルシードを巡って、管理世界出身の少女とその使い魔と戦った。
 その少女、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは、当時フェイト・テスタロッサという名前の少女だった。
 しかし、彼女もまた、魔法の天才だったのである。
 時空管理局が現地に到着するまでの時間。
 フェイトとなのはたちは、幾度も戦った。


 しかし、フェイトにとって不幸なことに。
 将来提督になる少女と暮らす保護者は、たまたま引退した時空管理局員だった。
 なのはたちは、彼とその使い魔たちの指導のもと力をつける。
 ジュエルシードも、保護者たちが確保してしまった。


 そのせいで、フェイトとその使い魔――アルフという名前の狼――は、苦戦していた。
 きっと、一つも集めることは、できなかっただろう――本来なら。


「貴女と、高町さん、ハラオウンさんの三人組は、いまやスターですものね。
 管理外世界で偶然出会って交友を深める英雄たち――って、どこの物語よ」
「お?それ、昨日発売された雑誌の見出しやね。
 読んでいてくれて、嬉しいわ。でも、ちょっと違う。
 正しくは『美少女の英雄たち』や」

「はいはい……まあ、間違ってはいないけれど、内面がねえ。
 一番、美少女の称号が似合うのは、ハラオウンさんじゃないかしら?」
「あーそれは言えとるなあ。
 フェイトちゃんは、まさに美少女!って感じや。最近は、大人な美女になりつつあるし。
 あと、けしからん身体しとる」


――――フェイト・T・ハラオウンは純粋で素直な性格である


 保護者である元時空管理局員は、事件の真相を見抜いていた。
 現地で活動する少女――フェイトは、母親に言われて集めているに過ぎない。
 黒幕は、母親だろう、と。


 そう考えた彼は、一計を案じた。
 特殊な封印を施したジュエルシードのうち一つを、わざとフェイトに取らせたのだ。
 その封印は、彼の探査魔法にのみ反応する微弱な魔力を発しており。
 次元を隔てようと、居場所を感知できた。


 だが、博打の要素もある。
 たった一つでも、ジュエルシードは次元震を起こせるのだ。
 フェイトが全てを集める方針にみえたので、すぐさま行動を起こすとは考えづらかった。
 が。万一に備えて、使い魔の一人に、常時の監視と転移魔法の準備をさせていた。


 結果として、心配は杞憂に終わる。
 黒幕の居場所を突きとめるまでに、さほど時間はかからなかった。


「おじさまは、提督就任に対して賛成しているの?危ない仕事はさせたくなさそうだったけれど」
「それが最大の問題やねん。お養父さんは、過保護やからね」

「貴女のことを溺愛しているものね。
 思春期の少女としては、うっとうしく感じないのかしら」
「いや、まったく思わんよ。わたしのことを心配してくれる親心や。素直に嬉しいわ。
 プレシア・テスタロッサのことを考えると、フェイトちゃんの前では、あまり大っぴらには惚気られへんけどね」


――――プレシア・テストロッサ事件。通称PT事件。 


 フェイトの母親、プレシア・テスタロッサが、事件の主犯者だった。
 時空管理局から応援がくると、すぐさま彼は、位置情報を提供。
 敵の本拠地、「時の庭園」で、プレシアと決戦になった。


 プレシアは、慌ててジュエルシードを起動させようとする。
 しかし、転移による奇襲を受けたことで、失敗した。
 その結果、彼女は、史実のように、アルハザードに旅立つことはできず。 

 ――――史実通り9個のジュエルシードとアリシアとともに彼女は虚数空間に落ちた。



「それに、養姉さんたちは、わたしのこと後押ししてくれているしな」
「おじさまと二人のお義姉さん、か。義理とは思えないほど、本当に家族仲がいいわね」
「自慢の家族や」


 一瞬の迷いもなく断言する親友をみて、カリムは苦笑してしまう。
 家族を心から愛していることが分かるからだ。
 まあ。少々度が過ぎている気がしないでもないが。


 17才にもなって『結婚相手はお養父さん』と公言するのは、さすがにどうかと思う。
 養父のグレアム氏は、さぞかし大変だろう。
 家族の自慢話が延々と続きそうになるのを、遮って本題をきりだす。


「――預言が変わった?」
「そうよ。前にいった預言を覚えているかしら」
「ええーっと……」


 『天が夜空で満ちるとき
  地は雲で覆われ
  人中に担い手立たん』


「――って感じやね。でも、結局意味は分からないままだったんやろ?」
「ええ、そうよ。けれどもね。預言の内容が変化したのよ」


 眉根を寄せる少女に向かって、カリムは相談を始める。
 この少女。実は頭もよく、ベルカ式魔法にも精通している才媛なのだ。
 預言の内容が変わった。
 それ自体は問題ないのだが、その内容が余りにも物騒だった。


「現状の説明は以上です。貴女に調査を依頼します」


 頼れる親友に向けて、カリムは、言い放つ。
 時空管理局の少将カリム・グラシアとして命令を下した。


「ハッ。ハヤテ・Y・グレアム一佐、委細了解しました!」


 かつて、八神はやてと呼ばれた少女は、ハヤテ・ヤガミ・グレアムと名を変えて暮らしていた。
 史実よりも昇進スピードが早い裏には、親ばかなどこぞの英雄の暗躍があった――らしい。


 闇の書――本当の名を夜天の書――が、現れず。
 呪いで足が麻痺することもなかった少女。
 事故で両親を亡くしたが、新しい家族を得た彼女は。
 本来の歴史と異なる人生を送ることになった


 どちらが幸せだったのだろうか。
 答えを知る者はどこにもいない。けれども、



「早く帰って、グレアム養父さんと、ロッテ義姉さん、アリア義姉さんに夕飯を作らないと……わたししか料理できないもんなあ」


――――笑顔で夕飯の献立を立てる姿は、決して嘘ではないだろう。





「早いものだ。あんなに小さな子供だったあの子が、提督になるとはな。
 私を尊敬していることは、嬉しいが。危険なことはして欲しくはないものだ。
 いや、親の勝手な都合を押しつけてはいかんな」


 八神はやての両親は、彼女が4歳のときに、事故で亡くなった。
 親戚もおらず、児童養護施設に送られそうになった彼女を、たまたま現場に居合わせたイギリス人が引き取りを申し出た。


「偶然の出会いとはいえ、私も突拍子もない行動をしたものだ。
 けれども、あのときの出会いがあるからこそ、いまの私がいる。
 あの子のお陰で、私は人生に生きる道を見出したのだから……」


 苦笑しながら、昔を思い出す。
 彼は、休養のために、保養地として名高い海鳴市に来ていた。
 たまたま交通事故の現場に居合わせた彼は、4歳だった少女を酷く気にかけていた。
 理由は彼にも分からない。
 けれども、何故かその少女が気に掛って仕方がなかったのだ。


 彼女に引き取り手がおらず、児童養護施設に送られると聞いた時。
 彼――ギル・グレアムは、後見人として名乗り出たのである。
 彼は、もともとイギリスの名家出身であり、たまたま縁があって管理局員になったという経歴を持つ。
 身元がしっかりしていることもあり、後見人として、養育することになった。
 養子縁組をするかどうかは、彼女の意思に任せる、として。
 その少女の名は――八神はやてといった。

「もし、運命というものがあるのなら。
 私とあの子の出会いも、運命だったのかもしれない。
 あの子は、私の希望そのものだから。
 ただただ偽物の英雄として朽ちていくだけだった私に、希望を与えてくれた」


 ミッドチルダの屋敷で、ギル・グレアムは、昔を思い出していた。
 八神はやてを引き取ったのは、偶然に過ぎない。
 なぜ彼女を引き取ろうと思ったのかは、自分でもよくわからない。
 けれども、どうしようもない衝動に突き動かされたのだ。


 人一人の人生を背負うのだ。
 衝動的に決めたこととはいえ、全力で成長を見守ろうと決めていた。
 部下を手にかけ。望まぬ英雄に祭り上げられ。管理局を辞した。
 地球で、使い魔たちと余生を過ごそうと思っていた矢先のことだ。


 仕事一筋で、結婚もせず、使い魔の二人が、娘代わりだった。
 管理局を辞め、地球に戻ったものの、何をすればいいのか分からない。
 とりあえず、使い魔たちの薦めに従い、世界各地を巡る旅をしていた。
 その最中に、はやてと出会い――残りの人生を、この娘のために、使おうと決心した。


 その結果が――親ばかの誕生だった。


「はいはい。お父様は、はやてのことになると本当に饒舌になるんだから。
 その話は、もう100回くらい聞いたわよ」
「アリアの言うとおりよ……。娘自慢も大概にして欲しいわね」


 その後、3時間に渡って延々と娘自慢を聞かされ使い魔たち。
 その憔悴した姿を見つけたはやてが、慌てて病院に運ぼうとしたのは、余談である。





 これは、ハヤテ・Y・グレアムが、まだ八神はやてだった頃の話。


 9歳の誕生日に、彼女は、別の世界で、5歳くらいから9歳まで暮らす夢を見た。
 その夢の中では、両親が生きており、彼女は幸せに暮らしていた。
 けれども、ちょうど9歳の誕生日を控えた夜に、謎の化け物に両親が殺された。
 両親に庇われ、一度は助かったが、次の瞬間には、化け物と目が合ってしまう。
 そのとき、青白い光が部屋の中を満たし――目が覚めた。


 起きたときは酷く取り乱し、訳も分からず泣き喚いてしまったことを覚えている。


 それは、夢の中で、今は亡き両親と幸せに暮らしていたからだろうか。

 それとも、目の前で、両親が殺される瞬間を見てしまったからだろうか。


 泣きじゃくる彼女にさえ、理由は分からない。


 ただただ、感情に任せて泣き叫んだ。
 驚いた養父――ギル・グレアムは、一晩中、側に居て黙って背中を撫でてくれた。
 不器用な彼は、どうしていいかわからず、彼女が泣き止むまでずっと側にいることを選んだ。


 けれども。
 下手な慰めよりも、家族の温もりを肌で感じて、それが嬉しくてますます泣いた。
 それは――とても恥ずかしいけれども、とても大切な家族との思い出。





 幼少のころより、引き取られてから、わたしは、実の娘のように育てられていた。
 しかし。学校に入り、身の回りのことを理解できるようになって、自身が本当の娘ではないことを知った。
 自分の名前が、「八神はやて」で、グレアム姓を名乗ってない理由を知ってしまったのだ。
 実は、本当の家族ではない、と知ったときの衝撃は、いまでも覚えている。
 いままで当然だと思っていた日常が、突然崩れたように感じた。


 わたしの苦悩を知っているのか、いないのか。
 養父や、義姉的存在の二人は、接し方を変えることなく日々を過ごすようにしていた。
 後で聞いた話では、彼らも苦悩していたようだ。


 けれども、無理やり言い含めるよりも、ゆっくりと一緒に過ごす時間を通じて、お互いの理解を深めていけばいい、と彼らは考えた。
 グレアム姓を名乗るかどうかについても、わたしの意思を尊重したい一心からに過ぎなかったのだから。


 事実、いままで通りの生活が続くことで、わたしの強張った心は、徐々に氷解して行った。
 そして、9歳の誕生日の日。不思議な夢を見て、泣きじゃくった日。
 すすり泣くわたしの背を撫でてくれる手の温かさ。
 猫の状態になって(二人の義姉は、養父の使い魔で本当の姿は猫である)身を寄せてくれた義姉たち。


 このとき、やっと、ここは自分が居てもいい場所なんだ、と理解できた。
 ああ。この人たちは、わたしの家族なんだ、と理屈ではなく、心で理解した。
 こうして、養父に、グレアム姓を名乗ることを伝え、ハヤテ・Y・グレアムは誕生したのである。


(その日を境に、わたしたちは、本当の家族になった)


 昔のことを思い出しながらも、慣れた手つきで料理を作り続ける。
 今日は、提督就任のお祝いを家族ですることになっている。
 お祝いだから外で食べよう、と言われたが、わたしの希望で、自宅で、家族だけのお祝いをすることになった。


 お祝いされる本人が料理を作るのは、おかしい。などと、カリムには言われた。
 だが、自分の作った料理を食べて、笑顔でおいしい、と言ってもらえた瞬間が、何よりもわたしの喜びだった。
 だからこそ、腕によりをかけて仕上げて見せた――ただ、少々作りすぎたかもしれない。
 きっと驚くだろうなあ、と思いながら家族を呼ぶ。


「夕飯が出来たで。ほな、食器を準備してや」


――――世界が平和でありますように 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧