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【完結】RE: ハイスクール D×D +夜天の書(TS転生オリ主最強、アンチもあるよ?)

作者:羽田京
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第2章 見習い悪魔と不死鳥のハーレム団
  第13話 永遠力暴風雪


「なんというか。これは予想外ね」

 レーティングゲームが、始まってから1時間弱。
 下馬評では、ライザー・フェニックスの優位が報じられていたが――あっけないほどに、リアス・グレモリーが圧倒的に優勢であった。


「勝っている分には良いではないか。グレモリー先輩とボクにとっては、負けられない試合なのだからね」

「なんだかなあ。俺たちが出る幕がなさそうだな」
「怪我がないようで、一安心です」

(烈火の将たちも、うまく援護に徹している。こちらの実力を曝す必要がなくて助かるな)





 まず、体育館の裏側から進撃していた木場祐斗たち。
 木場祐斗とシグナムの剣士タッグは、攻撃に秀でる前衛だ。
 シャマルが、そんな二人をうまくサポートするという――奇襲に長けたチームである。


「木場くん、次の廊下を右に行ったすぐに二人いるわ」
「わかりました」

「はあああああっ!」
「なっ……奇襲だと」

『ライザー・フェニックス様の「戦車」1名リタイア』

「後ろにいったわよ。気をつけて」
「背後が甘いぞ。紫電一閃」
「どこを狙ってやがる、次はこっちの――」
「貰った!」
「しまっ――」

『ライザー・フェニックス様の「兵士」1名リタイア』

「一瞬の隙をついたよい一撃だったな」
「シグナムさんのお陰ですよ」


 シャマルが策敵を担当し、後方支援と指揮をとる。
 指示に従う木場祐斗が、素早さを活かして、敵に先制攻撃を仕掛ける。
 シグナムは、彼に合わせて、位置取りを変えつつ、敵を誘導していく。
 誘導された敵は、木場祐斗と1対1の状況に持ちこまれ、切り捨てられる。
 敵が揃う前に進撃していき――『兵士』3名、『戦車』1名を撃破した。


(木場の実力をどうみる、シグナム)
(あの合宿で腕をあげたようです。こちらも援護しやすいですし、彼は鍛えがいがあります)
(鍛練と称して模擬戦をするつもりだな?ほどほどにしておいてやれよ)


 次に、正面玄関から突入した塔城子猫たち。
 防御寄りだが、攻防のバランスがとれた塔城子猫は、真っ向勝負に強い。
 同じく攻守のバランスがとれたヴィータが、彼女を援護する。
 ザフィーラは、彼女たちに邪魔が入らないように、防御に徹する――正攻法に強いチームだ。

「喰らいな。テートリヒ・シュラアアーク!」
「ぐうっ、動け動け!固まるとまとめて撃破されるぞ」
「貰いました!」

『ライザー・フェニックス様の「騎士」1名、リタイア』

「くっ、舐めるな!」
「手出しはさせん。守りは任せろ」

「よし。分断したぞ。子猫っ!」
「よっ、とっ!まだまだ!」
「こんなところで……」
「きゃあっ」

『ライザー・フェニックス様の「兵士」2名、リタイア』


 ヴィータが突撃し、侵入路を確保する。
 塔城子猫が後に続き、ザフィーラが、彼女を守る。
 敵をヴィータが分断していき、塔城子猫が各個撃破していく。
 ザフィーラは、状況に応じて両者を援護する。
 堅実だが確実に進み――『兵士』3名、『騎士』1名、『僧侶』1名、『戦車』1名を叩きのめした。

 
(怪我はないかい?ザフィーラ、ヴィータ姉)
(無傷です、主)
(大したことない奴ばっかりだな。子猫の方が、よっぽど強ええぜ)





 二つのチームは、新校舎内部で合流し、敵本陣の生徒会室を前に、ライザー・フェニックスの残った眷属と相対している。
 空から響いてくる爆音は、先ほど鳴りやんだ。


『ライザー・フェニックス様の「女王」1名、リタイア。リアス・グレモリー様の「女王」1名、リタイア』

「頼みの女王も落ちた――相討ちのようだがね。さて、こちらの勝利は、明らかだ。降参したらどうだい?」


 木場祐斗が、敵を挑発する。
 相手は、『兵士』2名、『騎士』1名、『僧侶』1名の残り4人。
 実力、人数ともに劣勢だと分かっている彼女たちは、一切の油断なく構えている。
 

 圧倒的優位にも関わらず、彼女たちと対峙している理由は――『王』たるライザー・フェニックスの動向がわからないためだ。
 先ほど、『女王』ユールベーナが落ちたにも関わらず、動揺が微塵もみられない。
 迂闊に仕掛ければ、逆撃を喰う可能性もある。
 こちらの優位は、揺らがないのだから、慎重に行くべきだ。


(――とでも、思っているのだろうね)

(マスター、サーチャーから反応がありました。ライザー・フェニックスがこちらの本陣に向かってきています)
(やはりそうきたか。原作にもあった展開だが、いまの状況では、『王』を狙って一発逆転するしか手がないからね)


 『女王』同士の空中戦が相討ちに終わったことで、リインフォースは、本陣に戻ってきている。
 兵藤一誠は、あまりに味方が圧倒的すぎて、「嬉しいけれど、修行した成果の見せ場がないのはなぁ」と、複雑そうな表情をしていた。
 リアス・グレモリーも、この結果は予想外らしい。
 ゲーム開始時の緊迫は薄れ、笑みを浮かべている――そのときだった。


 ズドンッ、ガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ


 何かがぶち当たった音がすると、全てのガラスが飛び散った。
 入って来たのは――全身火だるまの男。


 予想外の展開に一瞬、呆気にとられる――知っていた2名を除いて。
 ボクは、リインフォースに目をやると、リアス・グレモリーたち三人を庇った。
 部室を炎が渦巻き、空気が乾いていく。


「マズイッ。屋上に急ぐぞ!!」

(部屋の中に居たら肺が焼けてしまう。悪ければ、酸欠になりかねん)
(騎士甲冑を展開している我々は、平気です。が、生身では辛いでしょう)





――――屋上に倒れる今代の赤龍帝『兵藤一誠』


 屋上に現れたライザー・フェニックスは、リアス・グレモリーに一騎打ちを申し込んだ。
『王』が『王』を打ちとる。まさに起死回生の一手だろう――相手が了承すればだが。


(何を寝ぼけたことを)


 と、高をくくっていたら、彼女は、申し出を受けてしまい――原作でもそうだったような気がする――あわてて、詰め寄る。
 ライザー・フェニックスも、罠が成功した、とでもいうように嘲笑を浮かべている。
 しかし、彼女は、こっそりと理由を説明してくれた。


 不死性をもち、炎で広範囲を攻撃できるライザー・フェニックスとは、集団で戦うと却って損害が大きい――と、彼女は考えたらしい。
 たしかに、有効な攻略法がない以上は、精神的な消耗を狙って一対一で、長時間に渡り戦う戦法には、一定の理があるだろう。
 生徒会室前の残敵は始末してあり、木場祐斗と塔城子猫たちもこちらに向かいつつある。
 もちろん、『王』のリアス・グレモリーの順番は、最後にすると彼女は言っていた。
 

――――総勢11名との一騎打ち


 この展開は、予想外だったらしく、ヤツは難色を示したものの――


『じゃあ、皆で袋叩きにしようか』


 ――というボクの一言で了承した。結果、先陣をきった兵藤一誠は敗れた。
 『禁手化』することで、いいところまで行ったが、三分ほどしかこの状態を維持できずに攻めきれなかった。不死性に加えて地力の差があったことも一因だろう。
 一騎討ち前の約束通り、兵藤一誠は、リタイアを宣言。
 ライザー・フェニックスは、『フェニックスの涙』を邪魔されずに服用した。


『部長……かっこ悪いところをみせてすみませんでした。俺は、もっともっと強くなって見せます。次こそは部長を守れるくらいにッ!!』


 去り際の彼の一言に、リアス・グレモリーは、心打たれたらしい。
 涙ながらに、彼の名前を呼んでいた。
 みているこっちが、むずがゆくなる様な寸劇だった。
 若干空気だったライザー・フェニックスに、思わず同情してしまうくらいに。


「次は、お前の番だな、小娘。もう一度、言ってやる。リタイアすれば、『いまここで』苦しい思いをしなくてすむぞ?」


 次は、ボクと一騎打ちすることになっている。
 消耗させた後の、止め役として期待されていたようだが、一蹴した。
 秘策なら用意してある。あとは、実践するのみ。


「どうせ、『あとで』酷い仕打ちを受けるのだろ?それに――焼き鳥に頭を下げるなんて、お断りだよ」


 焼き鳥の挑発に、挑発で返す。
 激昂するかと思ったが、相手は冷静さを保っている。
 これまでの一方的な戦いで、油断という文字は、吹き飛んだのだろう。


(油断を捨てたコイツは、思ったよりも手ごわいな。三流悪役かと思っていたが)

「いくよ、シュベルトクロイツ」
『Jawohl.』

(だが、この勝負。ボクの勝ちだ)


――――見せてやろう。この日のために構成したボクのオリジナル魔法、その名も――


「――くらえっ、エターナルフォースブリザード!!」
『Eternal Force Blizzard』

「相手は、死ぬ」





 ボクの眼前には、氷漬けになったライザー・フェニックスがいる。
 絶えず高温の炎を身にまとうことが可能な、彼は、余裕の表情で技を受け――氷の彫像になった。
 不死性を持つフェニックス家の長男ならば、すぐにでも内側から炎を燃やしでてくるだろう――と誰もが思っていたはずだ。
 しかしながら、しばしの時間が経過しても、変化はなし。
 5分ほど経ってから、光に包まれて消えた。


『ライザー・フェニックス様、リタイアです。よって、リアス・グレモリー様の勝利となります』
 

 ざわめきと、驚きの声が聞こえた。勝利したはずの、リアス・グレモリーでさえ、どこか茫然としている。


「ねえ、はやて。あの氷属性の魔法は、一体何なの?」
「ただの氷結魔法では、効果がないだろう?それくらいは、ボクも知っていたからね。あの魔法は、ボクのとっておきなのさ。詳細は、企業秘密だ」

「エターナルフォースブリザード……なんて恐ろしい魔法なの」
「人に向けて使うのは、初めてですが、これほどとは。マスターのオリジナル魔法は素晴らしいですね――名前があれですが」


 実は、これは、前世の記憶をもとにしている。相手を凍らせる魔法で、何か強いものはないかと思案したとき、ふと頭の中に思い浮かんだのだ。


『エターナルフォースブリザード――相手は死ぬ』


 かっこいい技名とシンプルな効果。まさしく、最強の魔法だろう。
 ただし、使うと、全身に鳥肌が立ち、羞恥心が湧いてくるのが難点だ。
 大規模な魔法にありがちな、反動だろう。
 ただ、技名を叫んだとき、リインフォースが毎回のように微妙な顔をする。
 なぜだ。納得できない。こんなに格好いいのに。
 
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