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塩のない街

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第三章

 二人は警視の道案内を植えてウイントフックから南東に二百キロ程度行った山岳地に入った。その山岳地はモンスターも多く二人は数多くの戦闘も経た。警視の職業は立場通り警官ではなく魔法戦士でしかもレベルが高く二人を戦闘でも的確にサポートしてくれた。
 そして敵のアジトのすぐ傍まで来た、アジトは高い山そのものだった、ビークは並の者が近寄ることすらないその山を見て警視に言った。
「山やとな」
「ビーク様ならですね」
「様付けはええ」
「そうですか、ではビークさんで」
「それで頼む、とにかくな」
「山ならですね」
「山賊のおいらのもんや」
 まさに適地だというのだ。
「はじめて入る山でも的確に戦えるわ」
「では」
「大いに暴れさせてもらうで」
「わかりました」
「行こうか」
 ママニも言ってだ、そうしてだった。
 二人は山に入った、そうして。
 早速巨人軍の者達を倒していった、山に慣れているうえに様々な術を使うビークに。
 巨人軍の者達は完全に遅れを取っていた、その中でママニはビークに話した。
「どうもな」
「どないした?」
「今回巨人軍は周りくどいことしてきたな」
 こうビークに言うのだった。
「お塩を抑えるとか」
「それか」
「食いもの全体抑えるとかせんでな」
「それは気付かれにくいからでしょう」
 警視がここで言ってきた、警視も二人を助けて勇敢に戦っている。
「お塩ですと」
「それでか」
「はい、お塩は身体に必要ですが」
「水や食いもの程にはか」
「重要視されません、ですから」
「それを抑える様にしたか」
「あえて買い占めて」
 ウィントフックに送られるそれをというのだ。
「そうして市民の体調を落とし」
「塩分ギリギリやった」
 ビークもこのことを言う、山の中を素早く動き回り巨人軍の者達を倒しつつ。テロリスト達は完全に不意を衝かれたうえで山岳戦を得意とする猛者に襲われ完全に倒されるがままになってしまっている。
「それで街の雰囲気も暗くなってた」
「落ち込んでいましたね」
「警戒する気も落ちててな」
「テロをするにはですね」
「絶好の状況になってた」
「その様にする為にです」
「あえてやな」
「はい、お塩を狙ったのでしょう」
「そうしたことか」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「彼等もそうしたのでしょう」
「狡猾ではあるな」
「まことに」
「狡猾はテロリストの特徴や」
 他の特徴は独善的であり自己中心的であることだ、他人のことなぞ一切考えないのがこうした連中なのだ。
「悪知恵だけ働く」
「そしてそれ故に」
「そうしてきたな、ほなな」
「この度はですね」
「やったるわ」
 ビークは強い声で言った。 
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