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遺跡に残されたもの

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第一章

               遺跡に残されたもの
 エルネスト=ダリーオとトニオ=セプルベダはこの時ダーリオの神託でニカラグアのオコタルに来ていた。だがすぐにだった。
 ダリーオは街に入ってすぐにセプルベダと共に素性を隠して冒険者と身分を偽ってそのうえでだった。
 二人で神託でありそうな依頼を探した、だがこれといって神託でありそうな神託はなかった。それでだった。
 ダリーオはどうかという顔になってセプルベダに話した。
「この街かその近くでの神託やが」
「それでもやな」
「ギルドにある依頼ではな」
「これやってもんがなかったな」
「どうもな」
 セプルベダにどうかという顔でさらに話した。
「ギルドには」
「ほなどないする」
「ここはな」
 ダリーオは腕を組んで考えた、魔族独特の薄紫の肌を持っている知的な整いを見せた顔でセブルベダに話した。
「市役所に行こうか」
「そうしてか」
「素性を出したうえでな」
 自分達が星の者達であることをというのだ。
「そうしてな」
「そのうえでやな」
「神託でありそうな話があったら」
「そこに行くな」
「そうしよな」
 こんなことを話して今度は市役所に行った、ここでは素性を明かして何かあるかと聞いたがここにもだった。
 これはという話はなかった、それで帰ろうとすると市役所の役人の一人が彼等にこんなことを申し出た。
「あの、街の第一高校のバーバラ=アントニオ先生がです」
「その人がかいな」
「はい、街の外れにあるです」
 そこにというのだ。
「遺跡を調べに行かれますが」
「街の外れの」
「はい、古い神殿で神々を祀っていた」
 そうした遺跡だというのだ。
「あまりにも古く今も祀られている神々でも」
「遺跡になってるか」
「そうです、その遺跡にです」
「先生が一人で行くんか」
「先生は考古学者でもありまして」
「遺跡を調べることもやな」
「されますので、若しお二人がよければ」
 ダリーオ達が気が向けばというのだ。
「同行されては」
「わかった」
 ダリーオは役人の言葉に頷いた、それでセプルベダと共にその先生のところに赴いた。先生は勤務している高校にいた。それは還暦がそろそろカウントダウンに入ってきている小柄な鳥人の女であった。ズボンとシャツの動きやすい恰好だ。
 その先生が身分を隠して旅の冒険者と名乗る二人に会ってこう言った。
「じゃあ宜しくです」
「遺跡にですね」
 ダリーオは年上である先生に対して礼儀正しい態度で応えた。
「護衛として」
「お願いします、ただ遺跡は」
 先生は今から行くその遺跡のことを二人に話した。
「これまで何度も行っていて安全とです」
「わかっていますか」
「そうした場所なので」
 だからだというのだ。
「特にです」
「心配もですね」
「していないですが一人での調査は」
「何があるかわからへんですよ」
 ここでだ、セプルベダも先生に言った。
「やっぱり」
「それでこれまでの調査では」
 遺跡へのそれでとだ、先生はセプルベダにも答えた。
「何人かで行っていまして」
「それがいいです、何かとです」
 まさにとだ、ダリーオも先生に答えた。 
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