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ある晴れた日に

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43部分:妙なる調和その四


妙なる調和その四

「まあいいさ。それより皆、わかってるよな」
「今度はいきなり何だよ」
「わかってるかって言われてわかったらエスパーだぜ」
 野茂と坂上はこう突っ込みを入れる。
「で、何だよ今度は」
「何かあったか?」
「ベストドレッサー賞狙ってくぜ」
 不敵に笑って皆に言ってきた。
「あるんだろ?皆のファッションチェック」
「ああ、それね」
「そういえばあったわね」
 静華と凛がそれを聞いて言い合う。
「で、それで優勝したいわけね」
「あんたが」
「俺はもう決まってるんだよ」
 何の根拠もない言葉であったが本人は気付いていない。気付こうともしない。
「ぶっちぎりの優勝がな。それよりだよ」
「それより?」
「この一年G組の完全勝利だよ」
 彼が狙っているのはこれだった。
「皆ジャージ以外の服をちゃんと持って来てるよな」
「ああ、まあな」
「一応ね」
「林間学校だけじゃないからな」 
 またしても自信に満ちた言葉だった。根拠は相変わらず皆無だが。
「色々とあるからな、このレクレーション」
「色々あったっけ」
「初耳だよ」
 桐生と竹山が今度野本に言った人間だった。
「ファッションチェックだけじゃなかったの?」
「皆大体ジャージでいると思うけれど」
「それでもだよ」
 今度は居直る野本だった。
「気合入れてくぜ。いいな」
「わかったことにしておくな」
 正道の返事はしれっとしたものだった。
「じゃあまあ頑張れ」
「何だよ、ノリが悪いな」
「御前本気で優勝するつもりか?」
 彼は真剣な顔で野本に問うてきた。
「まさかと思うが」
「俺は真面目とか努力は嫌いだけれどな。嘘はもっと嫌いなんだよ」
「つまり馬鹿正直ってわけか」
「うるせえ、正直だけにしとけっ」
 最早彼から馬鹿を取り除くことはできなくなっていた。そうさせたのは彼自身である。
「俺は馬鹿じゃねえぞ」
「それでどうするんだ?」
 また野本に対して問う。
「御前は」
「!?何をだよ」
「御前係だろ」
「あれっ、俺何かなってたか?」
「レクレーションのメイン委員だよ」
 加山が彼に答えた。
「クラス委員のサポートでね」
「そんなのなってたのかよ」
「昨日も言ったよ」
「あん!?記憶にねえな」
 全く聞いていなかったのだった。
「そうだったのかよ」
「わかってると思うけど頼むよ」
「何かわからねえがわかった」
 酷い返事だった。
「そうさせてもらうぜ」
「仕事さえしてくれればいいからね」
「よし、じゃあとにかくだ」
 自分の仕事を他所に自分の興味に考えを全力で向ける。
「優勝だ、いいな」
「はいはい」
 そんな話をしつつバスを降り荷物を出していく。ここでまた未晴が正道に声をかけてきた。
「やっぱりギターは持ってるのね」
「ああ」 
 そのギターを容器に入れて背負いながらその未晴に応える。
 
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