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消えた仙人

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第三章

 その状況を見てだ、郁はすぐに氷の術を放とうと構えた、だがその前に。
 王は構えた郁に笑って話した。
「ああ、ここはな」
「自分だけで、でしか」
「やれるわ」
「自分の術は僕ちんより弱いでしが」
 これは格闘家という職業と彼の知力の関係だ、格闘家は星の者で術を使えても専門職よりは威力が落ちるし学者としてかなりの者である郁と比べると王は知力は並でしかないのだ。決して低くはないにしても。知力は術の強さに大きく影響するのだ。
「やり方があるでしな」
「これでな」
 ここでもだ、王は没羽箭を出した。それは一見すると普通の石だが投げても数が減らずとてつもない威力を持っている神具なのだ。
「この連中全員倒すわ」
「ではここはでしか」
「ちょっと見ていてくれるか」
「いいでし、自分がそう言うならでし」
「任せてくれるな」
「僕ちんは自分をよく知ってるでし」
 王という人物をというのだ。
「絶対に出来ることしか言わないでし」
「そやからな」
「そうでし、任せるでし」
 郁はこう言って構えを解いた、王を完全に信頼している証だった。
 王はすぐに石を投げたが一つではなかった、無数の石を恐ろしい速さであらゆる方向に投げた。そしてただ投げただけでなく。
 石に氷や水の術を入れていた、炎属性のモンスター達に抜群の効果があるものだ。その力を石に入れて投げたのだ。
 石は全てとんでもない方向に向かっていてモンスター達は避けようとしなかった。だがその石達は洞窟の床や横の壁、天井に当たって跳ね返ったり左右や斜め、真下石によっては上に曲がってだった。
 そうしてモンスター達を百発百中で貫き一撃で倒していった。戦いは一瞬で終わりモンスター達は石になった。
 それだ、王は金塊になったモンスター達を見て言った。
「まあざっとこんなもんや」
「見事でしな、ただ石を投げるだけでなく」
「氷や水の力を入れてな」
「モンスター達に強くしてな」
 炎属性の彼等にというのだ。
「そしてや」
「そのうえで、でしな」
「床や壁に弾かせたりな」
「変化球にしてでしな」
「したった、流石にモンスター達もよけられんかったな」
「そうでしな、ではでしな」
「先に進もうか」
 王は郁に笑ってこうも言った、そしてだった。
 二人は洞窟をさらに進んでいった、そうして一番奥に着くと。
 そこに仙人の服を着たサイクロプスの老人がいた、王は彼を見るとすぐに声をかけた。
「爺さん探したで」
「探した?」
「そや、探したで」
 自分達に振り向いた老人にさらに言った、見れば胸まである髭もサイクロプス族特有の単眼の上にある睫毛も真っ白だ。
「ここまでな」
「はて。わしを探すとな」
「そや、爺さん街を出てな」
「うむ、ここにおる」
 仙人は自分から答えた。
「この洞窟にな」
「それはわかってるんやな」
「それがどうかしたのか」
「爺さんに捜索依頼出ててな」
「ギルドにも依頼が出ていたでし」
 郁も仙人に話した。
「それで、でし」
「お前さん達がわしを探していてか」
「ここまで来たでしよ」
「そうだったか、しかしじゃ」
「しかし?」
「何処に行くか家族に行っておったぞ」
 仙人はこう答えた。 
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