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MS Operative Theory

作者:ユリス
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技術解説
  MS、MAの冷却問題②

——MSの高速処理CPUと冷却——

 U.C.0100年代に入って改めて問題視されるようになった熱源の一つに、コンピューター、特に演算装置であるCPUが挙げられる。CPUの熱問題は旧世紀のシリコン・コンピューターの時代から対策が講じられてきたが、処理能力の高速化が更なる高熱を発するという悪循環に陥っており、この傾向はミノフスキー粒子の影響を受けにくい光集積回路の実用化以降も光は見られない。

 もともとMSやMAの機体/火器完成はコンピューターに因るところが大きい。特に、機体各部のセンサーで得た映像をリアルタイムでコンピューター処理、CG化した映像を球形ディスプレイの内側に投影する全天周囲モニターの実用化によって、MSのコンピューターへの依存率はさらに向上している。つまり、MSに搭載されるコンピューターの高性能化により、コンピューター自体が大きな熱源になったのである。全天周囲モニターを採用した初の量産型MSであるRMS-106(ハイザック)に、過剰とも思える熱対策が施されたこともコンピューターの高性能化が原因である。また「フォーミュラー計画」で実用化されたニューロン(バイオ)・コンピューターは、高い性能を持つ反面、極端に熱に弱く、MS本体の冷却以上にコンピューターの冷却は重要な問題となっている。


——MS/MAの主要な冷却システム——

 MSの冷却方法は必ずしも高度な技術ではなく、旧世紀と同じ空冷や液冷、放射などを発展、効率化させたものを利用している。ただし宇宙と地上では使用可能、または効果的な冷却方法が異なっている。さらに宇宙用に開発された機体でもコロニー内での戦闘を前提として設計されていることが多いため、通常では複数の冷却システムを搭載する。ただし、宇宙/水中戦専用MAなどでは特定の冷却機構のみを搭載する場合もある。

■動力パイプ———伝熱・冷却剤循環パイプ

 MS-06(ザクⅡ)で実用化された電気系を兼用した冷却パイプ。装甲蓄熱の補助として機体各部に熱を分散させるほか、冷却液・ガスの循環システムとしての機能も併せ持つ。パイプを機体外に露出させるため、ラジエーター機能も有している。

■エアインテーク———大気圏内用の吸気・吸水口

 地球連邦軍系MSの外見的な特徴でもある吸気口で、基本的に大気圏内用冷却装置である。ここから取り込んだ空気で核融合炉/ジェネレーターを冷却するほか、熱核ジェットの吸気口としても使用される。水陸両用MSでは冷却/熱核ハイドロ・ジェット用の取水口も兼ねている。

■装甲———蓄熱装置としての効果

 ザクⅡで本格的に採用された宇宙用の冷却方法で、発生した熱を各部の装甲板に伝え蓄熱する。溜まった熱は放射によってある程度は排出できるが、基本的には帰還後に強制冷却しなくてはならない。大気圏内では装甲板をヒートシンクとして利用する。

■放熱板———宇宙地上両用のラジエーターパネル

 ハイザックなどで採用された宇宙・地上両用のラジエーターパネル。地上では空気冷却、宇宙では放射によって放熱する。装甲への蓄熱と異なり、放熱効果を高めるため、内部に作動流体を循環させることで放熱効果を高めていると考えられる。装甲ではないため、耐弾性は低い。

■推進剤———機体外に熱を棄てる冷却剤

 推進剤を冷却剤として使用する方法。帯熱した推進剤を噴射することで機体を冷却する。MS-05(ザクⅠ)の時点で採用された古典的な冷却方法である。帯熱した物質を機体外に廃棄するため冷却効果に優れるが、推進剤を節約すると効果が落ちるという問題点もある。


——武装の冷却方法——

■手持ち火器の冷却方法

 ビーム系手持ち火器は、実体弾兵器とは比較にならないほどのエネルギーが投入される。特に粒子加速/収束リングが配置される砲身や、メガ粒子砲を発生させる機関部には高い負荷が掛かるため、U.C.0080年代中期頃までは専用の大容量冷却タンクや冷却バレルを装備するケースが見られた。交換用バレルを装備するケースが見られた。交換用バレルを搭載した試験機も存在したとされる。

▼MNG-110

 MS-14Fs(ゲルググM指揮官機)が装備したビーム・ライフルであるMNG-110には、ストック部分に冷却剤タンクが取り付けられていた。これにより、速射モードでも長時間の射撃が可能であった。

▼X-04

 AGX-04(ガーベラ・テトラ)用のビーム・マシンガンX-04には、冷却剤タンクと砲身冷却ジャケット、機関部用強制冷却装置が設置されていた。これらの装備により、射撃中の砲身の焼け付きや機関部の停止が大幅に抑えられた。

■固定火器の冷却方法

 固定/内蔵火器の発熱を放置することは、武装だけで無く搭載するMSやMAにも悪影響を与える可能性がある。内蔵式メガ粒子砲は機体側で冷却するしかないが、キャノン砲やビーム・キャノンなど砲身が露出しているタイプは、サーマル・ジャケットを装備することで熱問題をクリアしているケースが散見される。

▼ジム・キャノンⅡ用ビーム・キャノン

 ガンキャノン用の240mmキャノンと同様、砲身部分にサーマル・ジャケットを装着している。これにより、高速での速射が可能となり、支援能力と制圧能力が大幅に向上することとなった。

▼ヒルドルブ用30サンチ砲

 YMT-05(ヒルドルブ)が搭載していた30サンチ砲も砲身の変形を防ぐため、サーマル・ジャケットを装備している。これにより砲身長30口径の巨砲でも、安定した連続射撃が可能であった。




補足事項

——機体色による放熱問題——

 前述したとおり、宇宙空間では機体の冷却が難しいため、光を反射しにくい黒系や濃い色は宇宙用には向いていない(旧世紀の宇宙服が白で統一されているのにはこうした理由がある)。だが組織や個人のイメージ・カラー、隠匿性の確保などの理由で、あえて濃い色を採用するケースもある。


——特殊な冷却方法——

 第五世代MSに代表される小型MSは、表面積が小さいために充分な冷却性能を発揮できないといわれる。その中でも「フォーミュラー計画」で開発されたF91は、腹部ラジエーターや肩部放熱板、頭部の解放機構などを徹底した熱対策が採用されている。これは機体の管制を司るバイオ・コンピューターが熱に弱いことが原因と考えられる。

■バイオ・コンピューターと冷却問題

 バイコンピューターは、神経組織を燃した構造が熱に対して脆弱であるという欠点を持つ。F90Ⅱでは試験的にバイオ・コンピューターを採用すると共に、腹部に巨大なラジエーターを搭載していた。

■リミッター解除と「分身」

 F91はニュータイプ級のパイロットが登場した場合、バイオ・コンピューターのリミッターが解除される。しかし、その場合、機体もオーバーロード状態となる。この際、熱を帯びたと塗装膜を剥離することで機体を冷却、バイオ・コンピューターを保護する。この剥離した塗料は「質量を持った残像」としてその場に残り、敵機のセンサーや視覚を欺く「分身」として機能する。


——超巨大砲の冷却機構——

 艦隊や都市レベルのターゲットを攻撃するソーラ・レイやコロニー・レーザーは、出力や宇宙という運用環境の都合上、発生した熱の処理が問題となるため連射が難しい。ソーラ・システムのように使い捨てに近い兵器もあるが、たいていは内蔵または外装式の冷却ガスや冷却液によって強制冷却が行われる。ジオン公国軍の超大型核融合プラズマ・ガン、QCX-76A(ヨルムンガンド)は砲本体と外部に冷却装置が設置されており、連続射撃が可能だった。

■ヨルムンガンドの冷却方法

 砲身は冷却フィン、燃焼区画とブーストインジェクターは冷却パネル空送られた液体金属で冷却される。帯熱した液体金属は冷却パネルへと戻り、放射により放熱。再び各部へと循環される。 
 

 
後書き
技術解説 了


次回 MS武装解説 携帯火器(実弾編) 
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