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許されない罪、救われる心

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10部分:第二話 部活からその二


第二話 部活からその二

「それで入部の挨拶するんだって」
「どんな感じかしらね」
「可愛い娘らしいし」
「あっ、そうなんだ」
 如月とは正反対にであった。彼女達の顔も声も明るい。
「頭がよくて顔もいいって」
「いい感じよね」
「そうよね」
 こう話してだった。そのうえで部活に向かうのだった。如月はそんな彼女達を見送ってだ。一人部室で面白くない顔をしていた。
「何だっていうのよ、本当に」
 こう呟いてだ。そのうえで行くのだった。
 憮然としながら部活をするグラウンドに向かう。するともう長月達が待っていた。
「ああ、来たな」
「聞いてる?」
「あいつ今日かららしいわよ」
「ええ、聞いてるわ」
 如月は嫌な顔で三人に返した。
「さっき。聞いたから」
「ちっ、嫌な奴が来るよな」
「そうよね」
「本当にね」
 そんな話をしながらはじまりを待っていた。そうして。
 部活のはじまりにだ。まず部長が声をかけた。
「皆集まって」
「はい」
「わかりました」
 皆それに頷いてだった。そのうえでグラウンドの片隅に集まる。皆の前に立つ部長はだ。その横に神無を置いていたのだった。
「やっぱりいるわね」
「そうね」
 文月と霜月はその神無を見て顔を顰めさせる。
「本当に入部するのね」
「だから何でうちに来るのよ」
「全くだよ」
 それに長月も頷く。
「何であいつがよ」
「けれどね。今はな」
「どうしようもないわね」
「だからシカトしようぜ」
 長月は二人に言った。
「あいつはな」
「そうね、そうしてやりましょう」
「何があってもね」
 二人も長月のその言葉に頷く。そうしてだった。
 神無は部長から紹介されていた。その横でにこにことしている。
「一年生で転校してきたばかりの椎葉神無さんよ」
「はじめまして」
 転校初日のクラスでのそれと同じ挨拶だった。
「椎葉神無です」
「ちぇっ」
「本当に嫌な奴」
 文月は霜月は聞こえないようにしてだが言った。
「何だっていうのよ」
「全く」
「頭が凄くいいらしいから」
「いえ、そんな」
 神無は部長のその言葉に謙遜で返す。
「別に」
「謙遜しなくていいのよ。とりあえずはね」
「はい」
「初心者よね」
「はい、そうです」
 にこにことしている部長の問いに答えていた。
「本当に今までしたことは」
「なかったわね。それでもね」
「それでも、ですか」
「ええ、気にすることはないから」
 神無に優しい笑顔で言うのだった。部長は温厚でしかも優しい人柄で知られている。間違っても意地悪やいじめをしない人間だ。
 
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