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龍馬の言葉

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第四章

「ロシアとは別の何か遥かに酷い」
「異様な国になっとるのう」
「そうなるぜよ」
 日本もというのだ。
「だからぜよ」
「日本は踏ん張らんといかんのう」
「戦争から立ち直ることは簡単ぜよ」
 龍馬はこのことは問題ないとした。
「それは何でもなるぜよ」
「それでもじゃな」
「共産主義にどうするか」
「それが問題じゃな」
「そうぜよ、どうなるか」
「というかのう」
 岡田も言ってきた。
「あの連中言うてることおかしいのう」
「共産主義者の連中じゃな」
「そうじゃ、嘘言うてるじゃろ」
 こう言うのだった。
「それも嘘ばかりじゃ」
「おう、それはわしも思うちょった」
 武市は岡田にも応えて言った。
「あの連中日本が侵略しとったとか言うちょるな」
「清との戦もロシアとの戦ものう」
「あれはどっちもせんとじゃ」
「日本がどうなっとったか」
「そうした戦じゃったわ」
「それを日本が野心を持って攻めたって言うちょる」
「あれはおかしいぜよ」
 武市もこう言うのだった。
「経済とか社会とかも色々言うちょるが」
「全部出鱈目じゃろ」
「自分達に都合のいい様に言うとる」
「そういうものじゃな」
「わしもそう思うぜよ」
 二人の言う通りだとだ、龍馬も答えた。
「あれはのう」
「そうじゃな」
「あの教えはのう」
「全くぜよ、あれはぜよ」
 まさにというのだ。
「そうした考えぜよ」
「何が日本は攻めちょったじゃ」
 岡田は忌々し気に言い捨てた。
「あの時戦わんかったら日本はどうなっちょった思うとる」
「あの考えが学者や学校の先生やらに物凄い勢いで広まっちょる」
 龍馬は人の世を見つつ憂いに満ちた声で言った。
「害が出来るだけ少なかったらええがのう」
「日本が共産主義の国になったら最悪じゃしな」
「わし等もどうにかしたいがのう」
「何か神さんや仏さん達が必死になっちょる」 
 日本を護る彼等がというのだ。
「あの方々に期待するか」
「そうじゃな、わし等は」
「出番が来た時に動くぜよ」
 武市と岡田はこう龍馬に応えた、幕末に生きた者達は誰もが戦争の後の日本がどうなるのか深い憂いを覚えていた。
 だが日本が幸いにして最後まで共産主義国家にならなかった、史上稀に見る発展を遂げただけでなく。
 共産主義国にも何とかならずに済んだ、そしてソ連が崩壊し共産主義に染まりその思想を吹聴していた連中は急激に力を失い。
 寿命でどんどん死んでいった、日本はこうした状況になったが。
 ここで龍馬にまた声がかかった、今度はこうした仕事だった。
「地獄にか」
「うむ、行ってくれるか」
 ある仏に言われたのだった。
「今度はな」
「人の世じゃなくか」
「最近地獄によく来る種類の者達がいる」
「あれか、共産主義者だった連中か」
「そうだ、ただ純粋な共産主義者は落ちていない」
 地獄にはというのだ。
「問題は嘘を言い卑怯千万な振る舞いをした者達だ」
「ああ、日本は攻めただの言うてた連中じゃな」
「そうだ、革命だといい人を殺し世を騒がし他者を貶めた者達じゃ」
「日本のああした連中はそうした奴ばっかりじゃったのう」
「彼等は今死んで次々とだ」
 まさにというのだ。 
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