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龍馬の言葉

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第三章

「そんな連中が日本に来たら大変ぜよ」
「多くの血が流れますね」
「それでソ連はじゃな」
「はい、革命を世界に起こし」
 そしてというのだ。
「世界を全て共産主義の国にする」
「それが望みか」
「そうなのです」
「まずい国と考えが出て来たのう」
 龍馬は深刻な顔になり着ている着物の中で腕を組んで言った。
「そんな連中は何でもするぜよ」
「自分達に賛同しない者は容赦なく殺す様な者達は」
「どんな謀略でも使うしじゃ」
「どんな悪事もまた」
「平気でするわ」
 龍馬は人界にいた時に学んだことから言った。
「それこそな」
「はい、そうした者達が日本にもです」
「来ちょるか」
「そうです」
 まさにというのだ。
「今は」
「折角露西亜との戦に勝ったのにのう」
「しかしです」
「今度はソ連か」
「露西亜の後に出来ました」
「しかもそんな碌でもない考えを持ってか」
 共産主義についてあくまでこう言った龍馬だった。
「それじゃあ日本もな」
「私が生きていた時は」
「気をつけちょるか」
「そうしています」
「そうあるべきぜよ」
 絶対にとだ、龍馬は山縣に言った。
「話を聞く限りじゃな」
「共産主義はですね」
「下手な宗教よりも危ないわ」
 そうしたものだというのだ。
「ちゅうかどんな宗教もあかんて言うてるんじゃろ」
「そして僧侶等はです」
「皆殺しか」
「そうしています」
「そんなの日本に入って国を牛耳ったらじゃ」
「どれだけの血が流れるか」
「自分達に賛同せん奴は片っ端から殺すんじゃな」
 それこそというのだ。
「碌なことにならんぜよ」
「ですから今必死に入らない様にしていて」
「入ってもじゃな」
「抑えています」
 そうしているというのだ、日本では。山縣は龍馬にこのことを話して龍馬も深い憂慮を抱いていた。
 龍馬の憂慮通り日本にも共産主義が次第に入り何かと動く様になってきていた、このことは暫くはそれ程でもなかったが。
 日本が二度目の世界大戦に敗れてだ、それが大いに変わってしまった。
 龍馬は武市と岡田に深刻な顔で言った。
「まずいぜよ」
「負けたからではないのう」
「他のことでじゃな」
「そうぜよ、共産主義者がぜよ」
「ああ、日本に広まってきたな」
「それもかなりの勢いでな」
「奴等はソ連の手先ぜよ」
 龍馬は二人に確信を以て話した。
「その共産主義者達が蔓延ってはぜよ」
「日本も共産主義になるな」
 武市も深刻な顔で龍馬に応えた。
「そうなるな」
「それぜよ、あんな思想が日本を支配したらじゃ」
「日本はソ連みたいな国家になるな」
「日本じゃなくなるぜよ」
「国土はともかくとしてな」
「もう何もかんもが塗り変えられたな」
「別の国になるのう」
「そうなるわ、ソ連を見るぜよ」
 共産主義の本家と言っていいこの国をというのだ。 
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