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空に星が輝く様に

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30部分:第三話 入学その六


第三話 入学その六

「もうよ。御前と一緒のクラスなのはよ」
「いいじゃない、別に」
「いいのか?それで」
「私はいいわよ」
 女の方はにこりと笑って言うのだった。
「それでね」
「そうかよ。じゃあ勝手にそう思っていてくれ」
「何でもないみたいな返答ね」
「だから飽きたんだよ」
 そうだというのである。
「これで何年連続なんだよ」
「さあ」
「さあ?じゃねえよ。何かの呪いかよ」
「呪いでもいい呪いね」
「悪いから呪いなんだよ。本当にどうなってんだよ」
「賑やかな奴等だな」
 陽太郎はその二人、狭山と津島を見ながら呟いた。そうして次に見えたのは。
 見えたというよりぶつかってしまった。前にいたその大男にだ。
「ぐっ・・・・・・」
「あっ、御免」
 彼より遥かに上から重低音がしてきた。見上げると角刈りの大男がいた。
「うっかりしてたよ」
「うわ、でかいな」
 これが彼に対するはじめの言葉だった。とにかく大きかった。
「一年だよな」
「そうだよ。一年三組の赤瀬」
 彼は自分から名乗ってきた。
「赤瀬炎男っていうんだ。宜しくね」
「あ、ああ」
 起き上がりながらそのうえで応える彼だった。
「宜しくな。俺は斉宮陽太郎」
「斉宮君っていうんだね」
「そうさ。そうか、赤瀬っていうのか」
「うん」
「それにしても本当にでかいな」
 また言う彼だった。
「二メートルあるんじゃないか?」
「そこまではないよ」
 また上から声が聞こえてきた。
「それはね」
「そうか。ないのか」
「ないから」
 今度は下から声がしてきた。
「赤瀬、身長一メートル九十五だからまだ二メートルじゃない」
「成長期だからわからないんじゃないのか?」
「それでもないから」
 下からの声は女の子のものだった。
「それは言っておくから」
「そうなんだ。そういえば」 
 その声の主をみる。彼女は。
 覚えている顔だった。入試の時と合格発表の時に見たあの胸の大きな女の子、今朝も見たあの娘と一緒にいた小さな女の子だった。彼女がいたのだ。
 そしてその彼女がだ。また彼に言ってきた。
「同じクラスね」
「ああ、そうだよな」
 その椎名に応える陽太郎だった。
「一緒のクラスになったんだ」
「私椎名愛海」
 彼女から名乗って来た。
「宜しく」
「ああ、椎名さんっていうんだ」
「椎名でいい」
 呼び捨てでいいというのだ。
「気軽に呼んでくれていいから」
「じゃあ俺も斉宮でいいから」
 椎名のその言葉を受けて彼もこう返した。
 
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