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空に星が輝く様に

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29部分:第三話 入学その五


第三話 入学その五

「それでな」
「それで?今度は?」
「あれだよな。御前高校でも部活は」
「バスケするつもりよ」
 もう決まっているという口調で返した星華だった。
「やっぱりね」
「そうか、バスケか」
「私には一番合ってるから」
 だからだというのである。
「中学でもそうだったし」
「高校でもか」
「それで斉宮はやっぱり剣道よね」
「ああ、そのつもりだけれどな」
 彼もまた決まっているという口調だった。
「それでな」
「いいんじゃない、それで」
 星華は彼に微笑んで告げた。
「剣道でね」
「そう思うんだな」
「思うわ。じゃあ」
「ああ」
「お互い頑張ろう」
 笑みがにこりとしたものになった。
「お互いにね。頑張ってやってこう」
「部活も勉強もな」
「まあ私はあれだけれど」
 勉強という言葉が出てだ。今度は苦笑いになったのである。
「体力馬鹿だから」
「何言ってんだよ。合格したじゃないか」
「まぐれよ」
 謙遜ではなく半分以上そう思っている。
「受かったのは」
「けれど御前かなり勉強したんだよな」
「それはまあ」
 それは事実であったので否定できなかった。やはり嘘をつけない彼女だった。
「そうだけれど」
「じゃあ実力だよ」
「実力って言ってくれるの?」
「言ってくれるじゃなくてそうだろ?」
 笑顔で話すのであった。
「勉強して受かったんだからまぐれじゃないよ」
「そうなの」
「だからさ。自信持って頑張ろうな」
 微笑んでまた星華に話したのだった。
「それでいいよな」
「うん、じゃあ」
 星華とはいつも通りの話だった。その間彼は時々その隣の席だった彼女をちらちらと見ていた。そして入学式が終わり自分のクラスを見る。陽太郎のクラスはというと。
「三組か」
「私四組だったわ」
 陽太郎が三組で星華が四組だった。
「何だよ、離れ離れかよ」
「高校でもって訳にはいかなかったわね」
「まあ仕方ないよな」
 陽太郎は苦笑いの中でこの現実を受け入れた。
「それじゃあな」
「そうね。それじゃあ」
「クラスに入るからな」
「私も」
 あれこれ言っても仕方なかった。二人はそれぞれの教室に向かうのであった。そして陽太郎が入ったそのクラスでは。男女二人があれこれと話をしていた。
 一人は紺のブレザーに灰色系統のスラックスだった。ネクタイは赤だ。こちらが男だ。
 女の方は男と同じ配色のブレザーとミニスカート、そしてネクタイであった。二人の色は同じだったがその外見は全く違っていた。男は自分の席でうんざりとした顔で右手で頬杖をついている。女はその前に立っている。そのうえで話をしているのであった。
「何で高校でも御前と同じクラスなんだ?」
「嫌なの?」
「っていうか飽きた」
 飽きたというのである。
 
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