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黄金バット 第二十話 フーマンチュー博士奈良での死闘

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第二章

「キョンシー達も大勢います」
「若し十二時になれば」
「キョンシー達を暴れさせて本堂を破壊してしまうのでしょう」
「勿論本堂の中の大仏さんも」
「そして四天王の像も」
「大変だ、あんなに大勢のキョンシーがいれば」
 それこそとです、知事さんもキョンシー達を見て思いました。
「本堂なんてあっという間にだ」
「破壊されてしまいますね」
「それも何も残らないまでに」
「キョンシーには普通の銃や武器は通じないですし」
「どうすれば」
「我々が何とか」
 ここで東大寺のお坊さん達が言ってきました、他ならぬこの人達のお寺のことなので一番心配しています。
「キョンシー達を退けます」
「では」
「はい、キョンシーは魔物です」
 言うならば吸血鬼です、キョンシーは人の血を吸う中国の妖怪なのです。死者からなるのでアンデットの中に入ります。
「ですからここはです」
「貴方達がですか」
「これから我々全員でお経を唱えます」
 東大寺のお坊さん全員でというのです。
「そうします、そうしてです」
「キョンシー達をですか」
「退けます、お任せ下さい」
「しかしです」
 知事さんは真剣な顔でお坊さん達に言いました。
「キョンシー達の数はあまりにも多いですが」
「しかしやらないとどうにもなりません」
 お坊さんの中で一番お年寄りの人が答えました。
「ですから」
「お経を唱えてですか」
「キョンシー達を退け御仏をお護りします」
 東大寺の大仏さんをというのです、こう言って東大寺のお坊さん皆でお経を唱えてキョンシー達を退けようとしましたが。
 そこにです、何と春日大社や奈良市の神社仏閣から多くの宮司さんやお坊さんが集まってきました。巫女さんや尼僧さんそれに天理教の人達に奈良市にあるキリスト教の教会の神父さんや牧師さん達まで来ています。
 その人達がです、東大寺のお坊さん達に言いました。
「及ばずながら助力します」
「皆で祈り唱えましょう」
「神仏の言葉を」
「そうしてキョンシー達を退けてです」
「本堂も大仏さんも護りましょう」
 こう言うのでした。
「皆で力を合わせればです」
「それは大きな力になる筈です」
「ですからここはです」
「宗派や宗教の違いなぞありません」
「皆でキョンシー達を退けましょう」
「おお、いいのですか」
 東大寺の一番年配のお坊さんも他のお坊さん達も驚いて集まってきた人達に応えました。
「貴方達は直接関係ないというのに」
「そうした問題ではありません」
「奈良の大仏は奈良ひいては日本を護ってくれています」
「その大仏さんを護らずしてどうするのですか」
「日本を護ってくれている大仏さんは我々が護りましょう」
「そうあるべきです」
「そうですか、では」
 東大寺のお坊さん達も感激して頷きました、そしてでした。
 奈良のあらゆる宗派、宗教の人達が思いを一つにして祈り唱えました、するとキョンシー達は次々と崩れ落ちていき灰となって消えていきました。邪悪なキョンシー達が神仏の力で浄化されたのでしょうか。 
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