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儚き想い、されど永遠の想い

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51部分:第五話 決意その四


第五話 決意その四

 優しい笑みになってだ。弟にこう話した。
「それでだが」
「それで?恋のことですね」
「それを見つけ。楽しみだ」
 さらにだ。先のことも話す。
「実らせることだ」
「実らせるのですね」
「恋はそこまで辿り着いてこそ恋だ」
 こう話すのだ。
「わかったな」
「わかるようになります」
「わからなくてもいいからな」
 末弟の言葉を受けてだ。そうしてなのだった。
「わかるように努力していけばだ」
「それがわかるようになるのですね」
「今の時点でわからなくてもわかろうとすればわかる」
 義愛は今だけを見て話していなかった。未来のこともだ。
 その二つを見ながらだ。今は話すのだった。
「次第にな」
「では」
「それではな。今は」
「今は?」
「食べるとしよう」
 微笑んでだ。話題をそちらにやったのだった。
「この食事をな」
「そうです。早く食べなければ」
 義智も兄の言葉に応えて言う。
「折角の料理が冷めてしまいます」
「冷えてしまった肉は今一つよくないからな」
 義愛は少しばかり困ってしまった様な笑みで述べた。
「だからな。熱いうちにな」
「はい、食べましょう」
 こう話してだ。そうしてだった。
 三人は話を止めてそのうえで昼食を再開したのだった。
 それが終わってからそれぞれの仕事に戻った。それが終わってから。
 義正はだ。佐藤に対してだ。あることを尋ねた。
「今度の宴だけれど」
「パーティーですか」
「それの予定はどうなっていたかな」
「一週間後ですね」
 その時にだ。あるというのだ。
「その時になります」
「夕方だね」
「はい、夕方です」
 その夕方にだというのだ。
「あります」
「今度の主催者は」
「首相の縁者の方です」
「そう、首相の」
「政府も気にかけているようです」
 佐藤は話す。その首相のことをだ。
「その八条家と白杜家のことをです」
「我々のことをかい」
「何とか和解させたいとのことです」
「関西を代表する、いや我が国を代表する」
 その二つの家の話になっていく。両家はだ。
 まさに日本を代表する財閥になっているのだ。それだけにだった。
「その両家のいがみ合いは止めたいんだね」
「それが政府の考えの様です」
「政府も心配性だね」
 ここでこう言った佐藤だった。
「そこまで考えを巡らせるなんて」
「政府も馬鹿ではありませんから」
 少なくともだ。彼等も無能ではないというのだ。
「ですから。両家の対立をです」
「解消したいのだね」
「だからこそのパーティーです」
「宴の。楽しい場所で」
 そうした場でだ。和解をというのだ。
 
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