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儚き想い、されど永遠の想い

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49部分:第五話 決意その二


第五話 決意その二

「それはな」
「そこまで言われるのでしたら」
「時が止まることはない」
 義愛の今度の言葉はこうしたものだった。
 それを言ってだ。まただった。
 義愛はだ。また弟に話した。
「だからだ。御前は今はだ」
「今は?」
「一歩ずつ歩んでいくことだ」
 そうしろというのである。
「いいな、一歩ずつだ」
「確かにですか」
「そうすればいい。そうすれば必ず辿り着く」
 こう話すのである。
「わかったな」
「わかりました。それなら」
「そしてだ」
 義愛は今度は義正に顔を向ける。そのうえでだ。
 彼に対しても微笑を向けてだ。こう話した。
「それでなのだが」
「それで?」
「御前も恋について言うのだな」
「はい」
 義正も微笑んでだ。彼に答えた。
「そうです。その通りです」
「わかった。それではな」
 義愛は一旦頷いた。そのうえでまた末弟に述べた。
「義正もな」
「はい」
「恋をするとだ」
 優しい笑顔でだ。彼に話すのである。
「色々とわかる」
「それは聞いていますが」
「聞くのと実際に体験するのとではな」
「違いますか」
「この言葉も聞いているな」
「はい」
 実際にそうだと述べもするのだった。
「それは」
「その通りだ。実際に経験すればだ」
「そうなのですか」
「とにかくだ。恋はすることだ」
 それを是非というのだ。
「私は見合いだったがな」
「それでも恋は」
「した」
 見合いでもだ。恋だというのである。
「見合いでも何でもだ。恋は生じるものなのだ」
「どうした場合でもですか」
「恋は場所を選ばない」
 末弟に対してこうも告げる。
「そして相手もだ」
「相手もですね」
「いい相手なら幸せな恋になる」
 微笑んで話すのであった。
「しかしそうでなければだ」
「不幸になりますか」
「だが不幸でも恋は恋だ」
 それは変わらないというのである。
「道ならぬ恋は駄目だが」
「そうでなければ。その場合は」
「恋は楽しむものだ」
 それが答えだというのだった。
「わかったか」
「わかりました」
「不幸な恋も実際にある」
 このことはまた話すのだった。末弟に対して。
「だがそれを避けることもできる」
「幸せにすることがですか」
「それはできる」
 このことをだ。末弟に確かな声で話すのである。
 
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