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儚き想い、されど永遠の想い

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393部分:第三十話 運命の一年その十三


第三十話 運命の一年その十三

「朝顔という花は」
「朝早く起きなければ出会えない花は」
「その朝に挨拶してくれる花なのですね」
「挨拶ですか」
「朝顔の花言葉は御存知でしょうか」
「確か」
 義正の言葉を聞いてだ。真理は言った。
「明日も爽やかにですね」
「はい、それが朝顔の花言葉です」
「それでは」
「明日にも心をつなぐ為には」
 その為にはだというのだ。
「朝に会いに来て欲しいと」
「朝顔は言いたいのでしょうか」
「朝は。挨拶をする時間です」
 人は朝に起きるものだからだ。それでだというのだ。
「それも早ければ早い程です」
「いいというのはあれですね」
「早寝早起きは美徳とされています」
 独特的な話も入ってきた。朝からだ。
「そしてその朝に」
「朝顔に会ってですね」
「明日にも想いを託すことでしょうか」 
 義正はまた朝顔の花言葉から考えて言った。
「だからこそ朝早く起きて」
「朝顔に挨拶をですか」
「そして明日にも」
 即ちだ。未来にもだというのだ。
「向かう為にも」
「明日にも」
「そうした花なのではないでしょうか」
 義正は話していく。
「朝顔というのは」
「朝だけではなくですか」
「明日にもです」
 続いているのではないかというのだ。
「そうした花ではないでしょうか」
「確かに。言われてみれば」
「そう思われますか」
「はい」
 真理もだ。義正のその言葉に頷いて答える。
「朝咲いてそれで終わりではなく」
「明日に。未来への」
「挨拶もしてくれるのですね」
「それが朝顔でしょう」
 だからだ。その花言葉だというのだ。
「それを考えると非常にです」
「素晴らしいお花ですね」
「私も今思ったことですが」
 朝顔のだ。そうした意味にだというのだ。
「ですが考えてみるとです」
「そうなりますね」
「はい、ではそろそろ」
「そろそろ?」
「朝食にしましょう」
 真理と義幸をだ。それに誘うのだった。
「その時間になりました」
「そうですね。それでは」
 こうしてだった。真理は我が子と共に屋敷に戻りだ。義正と共にだ。
 朝食を食べる。この日は果物の盛り合わせが朝食だった。林檎や無花果、オレンジ、パイナップルの中にだ。それもあったのである。
「西瓜もですね」
「夏ですね」
「夏に西瓜というのは」
「最高の贅沢の一つだと思いますが」
「確かに」
 目を細めさせてだ。真理はその赤い西瓜、三角に小さく、片手で軽く持てるそれを見ながらだ。答えたのだった。
「夏はまず西瓜を食べられることが」
「素晴らしいですね」
「夏の味です」
 まさにそれだとだ。真理は言った。
「そして朝にですか」
「食べられます」
 その朝にだ。西瓜を食べると話してだ。
 西瓜を口の中に入れる。その爽やかな、だがそれでいて濃厚な甘さが口の中を覆いだ。その甘さを確かめながら義正に話すのだった。
 
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