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古戦場火

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第二章

「そうしたら」
「何時に出るの?」
 桜子は千奈津に怪訝な顔で尋ねた。
「それで」
「そうよね、それが問題よね」
 椛も桜子の言葉に応えて言った。
「やっぱり」
「ええ、そうしたのが出るのってどうせ真夜中でしょうけれど」
「ええ、二時位らしいわ」
 千奈津は桜子に応えて言ってきた。
「夜のね」
「やっぱりね」
「だからね、夜の二時位にね」
「家を出てなの」
「見に行かない?出るのはね」
 千奈津はさらに話した。
「美章園駅の近く、大体桑津天神社の近くらしいわ」
「それってすぐ近くじゃない」
「私達のお家があるね」
 桜子も椛もその話を聞いてすぐに言った。
「三人のそれぞれのお家のね」
「すぐ近くよね」
「もう歩いてすぐの」
「そんな場所じゃない」
「だからね」
 それでと言う千奈津だった。
「今日の二時にでもね」
「ちょっと起きてお外に出て」
「それでなの」
「その鬼火を見に行く」
「そうしようっていうのね」
「そうしない?」
 千奈津は二人にあらためて提案した。
「本当に今日にでも」
「ううん、遅いけれどね」
「夜の二時なんてね」
 完全な真夜中だ、だから桜子も椛も最初はどうかと思った。
 だがそれでもだ、二人共好奇心がむくむくと湧き立ってそうしてだった。共に千奈津に対して言った。
「まあ睡眠不足になるのは我慢して」
「それでもいいわよね」
「それじゃあね」
「見に行きましょう」
「それじゃあね、今日の二時位に美章園駅前に集合しましょう」
 千奈津はここでやっと紅茶を手に取って言った。
「それでね」
「桑津天神社までね」
「歩いていってなのね」
「本当に鬼火が出るか確かめましょう」
 こう二人の友人に言うのだった、桜子と椛もここで頷いてようやくお茶を飲んだ。それからは普通のお茶の時間となり三人でお茶だけでなくお菓子と世間話も楽しんだ。
 そしてこの夜の二時だった、三人はそれぞれの夫や子供達が寝て二時近くになるのを粘り強く待ってだった。
 そのうえで三人でまずは美章園駅前に集まった、三人共暖かい格好をしている。
「じゃあ今からね」
「ええ、鬼火が本当に出るか」
「見に行くのね」
 桜子と椛は千奈津に応えた、二人は千奈津にリードされているがこのことは高校時代でもそうであった。
「桑津天神社の方まで行って」
「そうして」
「確かめましょう」
 千奈津は二人に言った、こうしてだった。
 三人の主婦は駅前から神社の方に歩いていった、するとすぐにだった。 
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