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古戦場火

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第一章

                古戦場火
 八神桜子、夏樹椛、仙谷千奈津の三人の主婦はそれぞれの家族と共に大阪市東住吉区に住んでいる。三人共実は八条高校で同級生で同じクラスだったこともある友人関係にある。丁度三人共夫が大阪市の中に職場があり大阪に引っ越すと近所同士だったので交流が再開したのだ。
 桜子は茶色の長い髪の毛を後ろで束ねた優しい顔立ちで見事な胸を持っている、着ている服はいつも穏やかな露出の少ない感じのものだ。
 椛は黒髪を長く伸ばしていて儚げで楚々とした外見をしている。服装も城系統でお嬢様然としているが胸はむしろ桜子より大きい。ただし背は三人の中で一番小柄だ。
 千奈津はきりっとした目鼻立ちで眼鏡がよく似合う顔立ちだ、黒髪は長いが後ろで団子にしてまとめている、学校の先生の様なしっかりとした服装で三人の中で一番胸が目立っていて背も一番高い。桜子はコンビニ、椛は本屋、千奈津は塾でそれぞれ働いている。三人共所謂兼業主婦である。その三人が今自分達が住んでいる東住吉区での怪しい噂を聞いていた。
「えっ、夜道になの」
「急になの」
「そうらしいわ」
 千奈津は自分の家に遊びに来た桜子と椛に紅茶とお菓子を出しつつその噂のことを真面目な顔で話した。
「鬼火が出るらしいのよ」
「そうなの」
「私達のお家の近くに」
「そうらしいわ、人魂じゃなくてね」
 千奈津はこのことを断った。
「もうね」
「鬼火なのね」
「それなの」
「そうみたいよ、燃えてるらしいのよ」
 その出て来るものはというのだ。
「人魂は燃えないっていうし」
「あっ、そういえば」 
 桜子は今も知られているとある妖怪漫画で得た知識から千奈津に応えた。
「人魂って青白くてね」
「ふわふわと浮かんで飛んでるでしょ」
「先が丸くて尻尾みたいなのが付いていて」
「そんな風じゃない」
 千奈津も言う。
「別に燃えてないでしょ」
「そうよね」
「それで、よね」
 今度は椛が言ってきた。
「食べると美味しそうな」
「そんな感じよね」
 桜子は椛のその言葉に漫画で得た知識から応えた。
「確かに」
「蒟蒻みたいな」
「私の知ってる漫画で食べる場面あったわよ」
「ええと、ゲゲゲの」
「そう、その漫画でね。それでね」
「実際に美味しくなのね」
「漫画の中で食べてたわよ」
 桜子は椛に漫画の話をあえて真剣に話した。
「そうだったわ」
「そうなのね」
「まあとにかく人魂はね」
「燃えてないわよね」
「そうよね」
「だからよ。今近所に出て来るのはね」
 千奈津は二人にあらためて話した。
「鬼火みたいよ」
「そうなの」
「鬼火が出るの」
「それでどんな感じなのかね」
 千奈津は二人にさらに話した。
「興味ない?」
「私達で見に行く」
「そうしようっていうの」
「ええ、どうかしら」
 こう二人に提案するのだった、見れば三人共会話に夢中で紅茶にもお菓子にもまだ手をつけていない。 
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