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儚き想い、されど永遠の想い

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383部分:第三十話 運命の一年その三


第三十話 運命の一年その三

 見れば皐達はどれもまだしなびていない。見事に咲き誇っている。
 その咲き誇っているものを見てだ。真理は言うのだった。
「三月は梅、四月は桜で」
「そして五月はですね」
「皐なのですね」
「それぞれの花があります」
 まさにそうだというのだ。
「今こうして前にある様にです」
「そうですね。皐がですね」
「あります」
 また話すのだった。
「春の花の一つです」
「そうですね。それぞれの月に花がある季節ですね」
「それはどの季節でも同じです」
「夏も秋もですね」
「それぞれの季節に花があって」
 そうしてだというのだ。
「咲いていますので」
「ならそれを見て」
「過ごしていきましょう」
 そのだ。次の春までだというのだ。
「この子と共に。そして」
「そして?」
「何か召し上がりますか?」
 こんなこともだ。義正は真理に話した。
「これから」
「そういえばそろそろ」
「はい、お昼です」
 昼食の時間だというのだ。
「ですから召し上がられますか」
「今日は何を」
「洋食はどうでしょうか」
「洋食ですか」
「これから。知っている店に行って」
 彼の知っている店だ。そこに行ってだというのだ。
「そして召し上がられますか」
「はい」
 真理は断ることは考えなかった。そうしてだ。
 背負う我が子を見てからだ。微笑んで答えた。
「そうさせてもらいます」
「メニューはあちらで選んで」
「そうしてですね」
「この子は食べることはできませんが」
 義幸は今は何の憂いのない顔で眠っている。その我が子を見てだ。義正は話す。
「ですがそれでもです」
「飲むものはですね」
「はい、あります」
 それはあるというのだ。
「ミルクでも」
「牛乳をですね」
「飲めなければそれでいいでしょう」
「構わないですか」
「私達と。貴女と共にその店に入った」
 言うことはこのことだった。食事よりもだ。親と共にいることが大事だというのだ。
「そして楽しい笑顔でいる貴女を見た」
「そのことが大事だからですね」
「はい」
 それでだというのだ。
「ですから行きましょう」
「この子と共に」
 こうした話をしてだ。皐を見た後でだ。
 二人は義正の馴染みのそのレストランに入った。そのうえでだ。
 二人はオムレツを食べた。かなり大きなオムレツがメインディッシュでありサラダやスープ、オードブルもある。そのオムレツを食べてだ。
 真理はだ。ケチャップの赤もあるその黄色いオムレツを食べて。共にいる義正にこんなことを話した。
「オムレツがメインにあるのは」
「不思議ですか」
「お肉がメインにあることが多いので」
 彼女が今まで食べてきた洋食はそうだった。
 
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