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儚き想い、されど永遠の想い

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28部分:第三話 再会その三


第三話 再会その三

「一度高柳家にも行ってみようかな」
「高柳家主催のそのパーティーにもね」
「出席させてもらうよ」
「それでは」
「うん。後は」
 義正はさらにだ。言葉を進める。食事を食べながらだ。
 見れば食事はあらかた終わっている。最後のパンを食べている。
 だがそこからだ。彼は話すのだった。
「デザートだけれど」
「それですか」
「何があるかな」
 今回のデザートが何かもだ。彼は尋ねるのだった。
「今日は」
「アイスがありますが」
 それだとだ。佐藤はそれだと話した。
「アイスクリームが」
「アイスクリームがだね」
「それで宜しいでしょうか」
「アイスか。あれはいいものだね」
 目を細めさせてだ。義正はアイスがあると聞いて喜ぶのだった。
 そしてそのうえでだ。彼はまた言った。
「冷たいお菓子なんて。あるものかなと思っていたけれど」
「氷は昔からありますが」
「それとはまた違う。いいものだね」
 またアイスを褒める言葉を述べる彼だった。
「冷たくて甘い。明治帝もお好きだったらしいけれど」
「はい、あの方は甘いものがお好きでした」
「他にお好きだったものは」
「あんパンです」
 まずはそれだと話すのだった。実際に明治帝はあんパンがお好きだった。帝が好まれたから流行り定着したという一面があるのだ。
「それとカステラに羊羹、それにです」
「アイスクリームだね」
「甘いものが全般的にお好きでした」
 そうだったのである。明治帝は甘党だったのだ。
「お酒もお好きでしたが」
「日本酒だったかな」
「はい、どちらもお好きでした」
 甘いものがお好きだったが酒も好まれたのである。
「そのアイスです」
「いいものだね。そうしたものを考えても」
 義正の顔は笑顔になっていた。そのうえでの言葉だった。
「アイスは。いい食べ物だよ」
「これから世に広まりますね」
「いや、これは」
「これは?」
「広めるべきかな」
 こう言うのだった。義正はだ。
「商品として売り出せばこれはね」
「売れますか」
「絶対に人気が出るよ。いい食べ物だよ」
「では。それもまた」
「レストランで出して百貨店でもお店で出して」
 義正も八条家の人間だ。その立場からだ。
 アイスクリームに対してだ。あらためて話すのだった。
「そうしていったらどうかな」
「そうですね。どう冷やしたままにしておくのかが問題ですが」
「その問題は。氷で解決するしかないかな」
「はい、それは」
「その辺りも考えていって」
 パンを食べながら考える顔になってだ。そのうえでの言葉だった。
「売り出していこうか」
「では。今度はそれも」
「話していこう」
 こう話してだった。そのうえでだった。
 義正はアイスを食べてその味を楽しんだ。そうしたのだった。
 そして真理はだ。彼女の屋敷でだ。
 庭先で白い席に座ってだ。庭にある緑を見ながらだ。
 一人佇んでいた。そのうえで物思いに耽る顔になっていた。
 その彼女にだ。ふとだった。
 初老の白髪の、姿勢の正しい厳しい顔の和服の男が来てだ。彼女に声をかけてきた。
 
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