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オズのトト

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第五幕その十

「アイスなんだね」
「それを出すわ」
「どんな種類にアイスを出してくれるのかな」
「色々よ」
 ドロシーはオジョにもにこりと笑って答えました。
「バニラもチョコレートもストロベリーもレモンもね」
「本当に色々なんだね」
「出すから皆で食べましょう」
「それは楽しみだね」
「何段も乗せたりしてね」
 そのアイスをです。
「そうして食べましょう」
「バーベキューの後は」
「そうしましょう、そしてデザートの後は」
 そのアイスのです。
「晩御飯を出したテーブル掛けをなおして」
「お風呂だね」
「そちらに入りましょう、男の子と女の子に別れて」
 そうしていというのです。
「楽しくね」
「そしてその後は」
「寝ましょう、夜空を見ながら」
 その星達が瞬く夜空をです。
「そうしましょう」
「あっ、あの星は」
 ふとその星達を見てです、恵梨香は気付きました。
「かに座かしら」
「あっ、そうだね」
「あの星座はね」
「かに座だね」
「その星座ね」
 四人もその星座を見て言います。
「間違いないわ」
「星座はオズの国のお空でも同じだね」
「そうだね、夜空は同じだね」
「そうなんだね」
「お空は同じよ」
 ドロシーはにこりと笑って五人にお話しました。
「オズの国もね」
「雲の上の星達はですね」
「それはですね」
「同じなんですね」
「それじゃあお日様もお月様も」
「全部同じですか」
「同じ地球にあるから」
 だからだというのです。
「同じよ」
「地球にあって誰も知らない国ですね」
 ドロシーの言葉を受けて恵梨香は言いました。
「つまりは」
「ええ、そうよ」
「だからですね」
「星座やお日様、お月様は同じなの」
 そうしたものはというのです。
「全部ね」
「そうなんですね」
「ええ、違うことは一杯あるけれど」
 外の世界とオズの国ではです。
「同じものもあるのよ」
「そうなんですね」
「世の中全部が違うことはないの」
 恵梨香ににこりと笑ってお話しました。
「それで全部違うこともね」
「ないんですね」
「そうよ」
 こうお話するのでした。
「だから恵梨香達が外の国にいてもね」
「お星様はですね」
「お日様もお月様もね」
 そうしたものはというのです。
「同じものよ」
「同じお空も見ていて」
「そうよ、だからね」
「そうしたことはですね」
「ええ、覚えておいてね」
 恵梨香ににこりとしてお話しました。
「このことも」
「わかりました」
 恵梨香も他の子達もドロシーの言葉にこくりと頷きました、そしてここでトトがこんなことを言いました。
「僕ドロシーが最初の何度かの冒険の時は一緒じゃなくてね」
「そうだったわね、私がオズの国に定住するまでは」
「そうした時は離れ離れで寂しかったけれど」
 それでもというのです。
「同じお空を見ていたんだね」
「同じお星様もね」
「そうだったんだね」
「ええ、そうよ」
「そう思うと寂しくなかったかな」
 確かにドロシーと一緒でないことは寂しいことですが。
「その分だけね」
「そう言ってくれるのね」
「うん、実際にね」
「そう言ってくれると私も嬉しいわ」
「そうなんだ」
「ええ、そうよ」
 トトに笑顔で言うのでした。
「離れ離れでも同じものを見ていてね」
「それだけ寂しくないのなら」
「嬉しいわ」
「僕もそう思ったし」
「それでなのね」
「ええ、今もね」
「寂しくないね」
「そう思うわ」
 こうしたことをお話してでした。
 ドロシー達はこの夜は飛行船の中でゆっくりと休みました、そして次の日また冒険を楽しむのでした。 
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