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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか

作者:海戦型
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続々とお蔵入りネタ集

 
 最終回を前にしてまだ没ネタを思い出すスタイル。



 EX①ミックスポーション動乱

 ミアハの独占状態だったミックスポーションを、それとは知らず、しかもミアハのよりはるかに低コストで開発に成功したアズ。これを知ったディアンケヒト・ファミリアと独占が崩れるとマズイと焦ったミアハ・ファミリアが入り乱れて大変なことになる……というショートストーリー。ギャグ系。



 EX②幻覚の破り方一覧

 昔よくあった感じに、「不自由ない理想の世界」の幻影に入り込まされたゴースト・ファミリアみたいな話。あんまり細かい所は決めてなかったんだけど、オーネストだけは「理想の世界」に存在する森羅万象を偽者と断定して破壊しつくすことで解決しようとして、友達とか母親とかを一切躊躇なくバラバラ惨殺死体に変え続けてる途中でアズが助けに来て、オーネストの狂気を垣間見たアズが流石にドン引きするというのを考えてました。
 ちなみにこれはアフラ・マズダがアズの「あちら側」との繋がりを調べる為に術者をけしかけたものです。



 EX③異世界オーネスト

 黒竜討伐からアズとの再会までの間に存在した外伝ストーリー。黒竜の呪いの解除に伴う神力の暴走によって並行世界に行ってしまったオーネストがひたすら首を傾げるお話な気がします。
オーネストのいない(原作寄り)世界のロキ・ファミリアは微妙に弱く、特にオーネストの記憶と照らし合わせるとベートがかなり弱くて「お前弱いな」と言ってしまいブチギレさせたりします。他、ティオナが普通に友好的で「え、何こいつキモッ」と言ってブチギレさせたりもします。特にオチなしお遊びストーリーです。



EX④オラリオゴッドファーザーズ

 オーネストとアズが赤ん坊を拾ってファミリアと一緒に親を探す話です。オーネストが誰お前と思うぐらい赤ん坊に優しく、逆にオーネスト以下他の面子がオーネスト不在時にものすごく困るという珍しい光景を繰り広げます。
 何故オーネストが赤ん坊に優しいのか、それはオーネストなりの「大人観」が影響していて、最終的に母親を見つけて彼女が赤ん坊を捨てた事を知ると、彼にしては珍しく感情剥き出しで激怒してガチ説教をかます……そんなストーリーです。



 EX⑤結成!ヘスティア・ファミリア!

 外伝と大分違う方向に向かっているベル以下数名がなんやかんやあってヘスティア・ファミリアに集結してチームになるお話です。原作とは違う流れながら同じ面子がゴースト・ファミリアの影響を受けながら強くなっていきます。
 なお、この話でははて迷の更に外伝としてちょびっと書いた(没ストーリー倉庫にまだ残ってる)オリファミリアのキャラがライバルポジとして登場したりとかいろいろする短いストーリーにするつもりでした。



 話し忘れ設定:メリージアがメイドになるまで

 オラリオにはメイド育成学校(オリジナル設定)がありまして、ファミリアとはまた違った独立組織として勢力を持っています。アズはそこの校長を務める謎のメイド「ケロケロ仮面」とミアさん経由で知っていて、とりあえず当時女性として色々終わってたメリージアを更生させようとそこに預けました。
 そこでメリージアは野良猫みたいに暴れてはケロケロ仮面校長にしつけを受けてメイドとしての技能を習得していき、しかし物覚えが良かったために接客態度以外の全ての技能を見事習得しました。

 ケロケロ仮面は可愛らしいカエルのお面をかぶったスタイル抜群色白メイドですが、その正体は天界の激務に耐えかねてこっそり天界と外界を行き来する冥府の女神ヘカテー。死は永遠の停滞であるため、ヘカテーは自分の時間を停滞させることで疑似的に神力を封じ、更に停滞の力を利用して天界と外界の時間の流れをズラすことで天界にバレずに地上で休暇を取りつつ、眷属ではなく教え子としてメイドを育成しています。

Q.冥途とメイド、かけてるの?
A.この世界のヘカテー様はしょうもないギャグがお好きです。

Q2.何でケロケロ仮面やねん?
A2.へカテーと名前が似たエジプトの女神「ヘケト」がカエル顔なため、他の神へのカムフラージュもかねて態とカエルの仮面をかぶっています。なお、当人はカエルの仮面をお気に入りの模様。




 前回の続き。


 アフラ・マズダ率いる軍勢の本拠地は、なんとオラリオ世界では概念さえ碌に知られていない宇宙だったのです。しかしながら、宇宙ってどゆこと?宇宙は極寒という言葉が生易しく思える程寒かったり真空だったり宇宙放射線やら何やらが荒れ狂っていたりと、とてもオラリオ世界の技術力で恒常的にいられる場所ではありません。ではアフラ・マズダはどうやってそれを用意したのか?

 その答えは、ダンジョンにありました。

「そもそも、ダンジョンで取れる素材、生まれる魔物、その全ては魔王の力を基にダンジョンという機能そのものが作り出している物だ。誰も気にしちゃいないようだが、壁から魔物が出てくるってのは『壁の組成が魔物に変わってる』んだ。貴重な素材を取り尽くしてもしばらくすれば再生するのは『ダンジョンから原料を取り込んで再生させている』からだ。有機物とか無機物とか原子だとか、そんな問題を超越してる不確定物質………詰まるところ、ダンジョンを構成する岩盤や地面ってのは、その操作方法さえ解明出来れば『万能のマテリアル』なんだよ」
 
 これはオーネストの為に命を賭し、散ったラッターの情報を基にオーネストが推理した内容でした。今は亡き彼はアフラ・マズダを探るうちに不自然な煉瓦屋の存在に気付き、そこを起点に敵の居場所や移動手段を掴みました。
 実はこの煉瓦屋、ちらっとですがアルガード編で登場してます。新聞連合のパラベラムが道を聞いた人です。そもそも粗方開発の終わったオラリオで煉瓦屋なんてそうそう儲かるものじゃないので怪しかったみたいです。この煉瓦屋には転送魔方陣に加えて地下直通のトンネルが存在していて、それを調べた結果、ユグーとキャロラインがダンジョンで偶然発見したビスマス結晶的な穴が採掘後であったことも判明しました。そこまで分かれば後はオーネスト特有の何でそんな事断定できるんだよって聞きたくなるのに最終的にはど正解な直感推理で判明する訳です。


 ここからオラリオはアフラ・マズダの眷属を結界で物理的に遮断し、迎撃態勢に移ります。

 まずオーネストは、術者として異端手前のガンダールや術に造詣の深い神々を集めてバベルを改造。大気圏外からの攻撃を想定した様々な仕掛けや術をフル動員で挑みます。これに関しては天界から神の知恵を使うなと文句が来ますが、オーネストは「これが失敗すればオラリオは滅び、次の標的は天界だ。守られている分際で文句を言うな」と文句を一蹴。天界は渋々ながら人類文明に損害を与えない範囲で神の力の開放を許可します。

 街は避難したい人間は避難させ、戦力にならない下位冒険者や一般人は次々に疎開。アフラ・マズダの作る世界はあくまで人間の為の世界であるため、無理にオラリオに残って死地に身を投じる必要はないという判断です。これによって去る者もいれば、残る者も多く出ます。

 各ファミリアはファミリアの利害の枠を超えてダンジョンでのレベリング、素材集め、各々の鍛錬などでギリギリまで鍛錬。ガウルや浄蓮、ベル達もそれに加わります。リリはそれに付き合いながらもオーネストに変身魔法の教えを請い、めきめきと実力を伸ばします。

 ココはオラリオを出て一度スキタイの魔地とされる「タルギタオスの断崖」へ赴きます。ダンジョンの魔物に匹敵する「何か」が蠢くが故に存在そのものがスキタイに秘匿された地で、ここに踏み入って生きて帰れた者はなく、しかし最深部にたどり着いた者はスキタイの王の資格を得るとされています。
 黒竜戦から力不足を感じていたココは、今一度自分の戦う理由を再確認するために一人でここへ向かいます。一応連絡役兼移動用テイムモンスターを連れたガネーシャ・ファミリアの人が近くまで同行しましたが、彼女は果たしてアフラ・マズダ襲来までに生きてオラリオに戻れるのか……。

 ヴェルトールは重症から回復しましたが、彼は他の誰よりもアズとオーネストの助力が出来なかった自分を責め、そしてオーネストが腹をくくった事を知って自分も本気になる必要があると思います。彼は病み上がりの体を起こし、もうずっと帰っていなかったアルル・ファミリアのホームへ向かい――そして、完成人形(フィニート)の開放を決意します。

 リージュは黒竜戦で契約した精霊と意識を交わすことで氷の力を極限まで高め、どんどん人外染みた力を発揮するようになっていきます。精霊も世の理そのものを変えようというアフラ・マズダに思うところがあるらしく、その力はレベル7の領域さえ超えようとしていました。

 ユグーは、自分が何者なのかを知るために動いていました。そして偶然にもガウルの伝手で「ラプラスの一族」と呼ばれる特殊なエルフの一族と接触します。ちなみにこのエルフは没ストーリーにあるはて迷外伝に登場した少女だったりしますが。この一族は人類史の監視、記録者で、Dグレで言えばブックマンみたいな連中です。
 彼女の言によると、ユグー・ルゥナという名前と性格の人間は人類史でその存在が確認されて以来常に世界のどこかに自然発生的に存在し、常に「結果的には人類存続に貢献」してきた存在だといいます。その歴史は古く、初めてその存在が特別な存在だと認知されたのはダンジョン発生時だといいいます。また、そのすべてのユグー・ルゥナが出自の知れない存在だったといいます。
 ラプラスの一族の見解によると、ユグー・ルゥナは人類が続くことを願う思い、神に頼らず生き続ける人間の希望が注ぎ込まれた「器」であると考えられています。そしてユグーがゴースト・ファミリアにいる理由は恐らく、オーネストとアズという二つの存在が人類の今後を大きく左右するからだろうとエルフは言いました。
 
 ユグーはそれが納得できませんでした。自分の意志だと思っていたのが自分の意志ではない。なまじ「集合無意識の声」を聞いているが故に、余計に受け入れがたかったのです。ユグーはユグーで、オーネストを気に入りその傍にいたのはユグーがそう思ったからです。
 端的に言うと、ユグーはイライラしていました。何で自分がそんな事にかかずらわなければいけないのか心底理解できませんでした。そんな折、ユグーは本業の冒険者補助の帰りのキャロラインに会います。ユグーが浮かない顔をしていることに気付いた彼女と二人で酒を呷り、ユグーはキャロラインの身の上話を聞かされます。
 曰く、彼女は混血の里に生まれた様々な種族の混血児であり、あらゆる種族の特性を遺伝子に持っている代償に極めて子供の出来にくい体らしい。だからこそ彼女は余計に肉体関係を欲し、快楽によって生きる実感を得たいのだという。後世に残すものがないのは、ユグーも同じ。見つめ合う二人。そして……。

「いや、でもやっぱりアンタはないわ。ぜんっぜん好みじゃないし」
「俺にモ人ヲ選ぶ権利ガあるぞ」

 人類の大半にとって美しく実際に男女問わず様々な人を魅了したキャロラインに性欲も恋愛感情も抱かないのは、誰の意志なのか。それはきっと今、ここで酒を飲んでいるユグー・ルゥナに違いないのだ。そう思ったユグーは、翌日にオーネストに眷属化を頼んだ。
 背に刻まれた「Cogito, ergo sum(我思う、故に我在り)」の文字と共に、ユグーは一人の人間として改めてオーネストについてゆくことを決めた。
  
 

 
後書き
あとはフーの物語を通して最終決戦。何故今回フーを入れなかったのかというと、長くなりそうだったからです。 
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