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オズのトト

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第四幕その七

「その度に喧嘩になってな」
「それで大変なんだよ」
「向こうも引かないしね」
「じゃあ何処に住むんだって話になって」
「駝鳥やペンギンが文句を言って」
「ドードーもね」
「あれっ、駝鳥にペンギン?」
 トトはそうした鳥達の名前を聞いて言いました。
「駝鳥は暑い場所、ペンギンは寒い場所にいるのに一緒にいるの?」
「ペンギンといっても色々だよ」
 教授が首を傾げさせたトトに言いました。
「ガラパゴスペンギンもいてね」
「寒い南極だけじゃなくて」
「そう、それにオズの国では暖かい場所に住んでいるペンギンも多いから」
「だからなんだ」
「そうしたペンギンもいるんだ」
「成程ね」
「あとドードーもいるんだ」
 オジョはこの鳥に注目しました。
「外の世界にはもういないっていうけれど」
「あとオオウミガラスもいるぞ」
 長老さんはこの鳥の名前も出しました。
「その鳥もな」
「ああ、オオウミガラスもいるんだ」
「何でも水が多くある場所が好きでな」
「お池とか湖の方にだね」
「いたがる、オオウミガラスといっても川や湖でも平気らしい」
「オズの国はそうしたオオウミガラスもいるのよね」
 ドロシーはこのことを知っていました。
「私冒険で何度か見たわ」
「あれっ、そうだったんだ」
「ええ、トトは気付かなかったの?」
「そういえば変わった水鳥見たかな、飛ばないね」
「それがオオウミガラスで多分ペンギンも見ていたのよ」
「そうだったんだ」
「オズの国は生きものも不思議だから」
 つまり外の世界とは違うのです。
「だからね」
「そうしたペンギンやオオウミガラスもいるんだね」
「そうなの」
「成程ね、僕もしっかり見ていかないとね」
「ええ、気付くものもね」
「気付かないね」
「そうなるから」
 だからだというのです。
「気をつけてね」
「わかったよ」 
 トトはドロシーのそのお話に頷きました。
「このこともね」
「これからはね、それでだけれど」
 ドロシーはトトとのお話の後で長老さんにお顔を戻してあらためて尋ねました。
「森の皆としては移住はして欲しくないのね」
「そうじゃ」
 その通りとです、長老さんははっきりと答えました。
「やはり森は生きものが多くてな」
「しかも生活習慣が違うから」
「一緒には住めん」
「そうなのね」
「他の場所に住んで欲しい」
「他の場所ね」
「まことにな」 
 長老さんがこう言うとです、他の森の生きものの皆も言います。
「そうして欲しいよ」
「住む場所がないし」
「僕達だってこれ以上増えたら南の山にも住もうって言ってるし」
「南は生きものがいない山も多いし」
「だからね」
「そんな状況だから」
「もうこの山には住めないよ」
 移住は無理だというのです。
「どうしてもね」
「だから他の場所に住んで欲しいし」
「ここは無理だから」
「しかも生活習慣も違うのに」
「駝鳥さんに森の中で駆け回られたら」
 栗鼠が言います。 
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