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オズのトト

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第四幕その二

「オズの国の色々な自然を見てきたけれど」
「プラスされていっているのをですか」
「見てきたわ」
 実際にというのです。
「これまでね」
「それじゃあ余計に」
「ええ、知ってるわ」
 その目で変遷を見てきただけにというのです。
「オズの国に入って長いけれど」
「そうなの」
「そう、それにね」
「それに?」
「日本人の心の中にある自然なら」
 それならというのです。
「面白い生きものもいるわよ」
「面白いって」
「あの蛇を知ってるわよね」
 ドロシーはここで前を指差しました、するとそこにはビール瓶みたいに太い身体に短い尾の蛇がいました。
 その蛇を見てです、恵梨香は思わず声をあげました。
「あの蛇は」
「知ってるわよね」
「ツチノコです」
「あの日本で噂の」
「いるとかいないとか噂の」
「あの蛇だよね」
「オズの国にはいるのね」 
 恵梨香以外の四人も言います、その蛇を見て。
「そういえば恐竜もいるし」
「絶滅した生きものも」
「それでなんだ」
「ああした生きものもいるんだ」
「あの蛇は面白い蛇でね」 
 トトがここで言うことはといいますと。
「お酒が好きだしいびきもかくんだ」
「寝てる時に」
「そうするんだ」
「外の世界じゃ蛇はいびきかかないのに」
「それでもなのね」
「そうだよ、いびきもかくんだ」 
 実際にというのです。
「面白いよね」
「蛇がお酒を飲むのは」
 恵梨香はこのことから言いました、ツチノコは皆の前を平然として横切っています。何でもない様に。
「うわばみもそうで」
「大蛇だね」
「ええ、そうした妖怪で」
 大蛇の妖怪でというのです。
「お酒が大好きであったらあるだけ飲むの」
「そうした妖怪もいるんだ」
「ただ、それは大蛇で」
 それでというのです。
「ツチノコも飲むのね」
「そうなんだ」
「そうなのね」
「それもかなり好きで樽を置いていたら」 
 お酒を一杯入れたそれをとです。
「集まって来てあっという間にね」
「樽が空になるのね」
「そこまで好きなんだ」
 ツチノコ達はお酒がというのです。
「無類の酒好きなんだ」
「何ていうか」
 ここまで聞いてこうも言った恵梨香でした。
「外の世界では実在するのかしらって思ってたけれど」
「いるんじゃない?外の世界でも」
「普通にね」
「見た人多いし」
「私もそう思うけれど」
「どうなのかしら」
 四人に言われても確信を持てない恵梨香でした。
「見間違いってこともあるし」
「見間違いは誰でもあるね」
 カエルマンが応えました。
「それは」
「そうですよね」
「私も一度流木と恐竜を見間違えたよ」
「オズの国は恐竜もいますからね」
「二匹並んで泳いでいると思ったらね」
 それがというのです。 
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