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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第七章 C.D.の計略
  Mの襲撃/目論む男


これまでの、仮面ライダーWは――――


最近活性化しつつあったガイアメモリ犯罪のグループを追っていた俺、左翔太郎は、偶然にもそのアジトを見つけてそこを壊滅させた。

その報告をしに風都警察署の照井竜・仮面ライダーアクセルに会いに行った帰り、その警察署の目の前で、謎の敵・仮面ライダーマキシに襲われた。

何とか撃退したものの、敵の去り際の攻撃に、照井は重傷を負ってしまった。


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「撃退?相手の方から引いたんじゃないかい?」

「うっせー」

「とにかくそのマキシという男、気になるね」


外はもう暗い。
いくら夏の残滓が残ったこの季節でも、さすがに午後8時になれば完全に夜だ。

そんな時間に、フィリップと二人、照井の病室から出てきながら左翔太郎は議論を交わしていく。


照井に関して命に別状はない。
だが、今回の戦いには不参加するしかないだろう。

『竜君は絶対安静させます!!まかせんしゃい~!!』

とはいえ彼の事、きっと無理やり抜け出して参加するだろうから、病室に亜樹子一人残してきた。
嫁さんの前では無理はしないだろうし、それ以上に鎖で縛りつけられてはさすがのあの男も抜け出せまい。


『や、ヤメロショチョー!!俺をどうするつもりだー!?』

『あーっはっはっは!!これで逃げられまい!!』

パシパシと、スリッパ(私に質問するな!と書かれている)を手に当てながら照井を見張ってくれている。
身体を大の字にして鎖で四肢をとらえるほどだから、大丈夫だろう。



「でもあれ、まるで1ごu」

「そんなことより翔太郎」

照井の状況を思い浮かべて何かを言いだそうとする翔太郎を、フィリップが本題に引き戻す。


「敵の仮面ライダー、マキシとかいう奴の手掛かりはあるのかい?」

「ああ、こっちはとりあえず調べる伝手はあるぜ。そっちはどうだ?」

「それなんだが――――翔太郎、相手のメモリは本当に「マキシ」メモリだったんだね?」

「んだよ、疑ってんのか?」

「いや・・・まあいい、先にこっちの結果を言おう」


フィリップの検索結果。
検索したのは、ズバリ「マキシメモリ」についてだ。


マキシメモリ
「最大」の記憶を秘めたガイアメモリだ。

その能力は「使用者の肉体を最大レベルに上げる」こと。


「なるほどな。それがあの変身しての姿ってことか」

性質としては、ジョーカーメモリに近いかもしれない。
ジョーカーは戦闘能力に、という制限付きだが、あっちはとにかく強化するらしい。


「納得だぜ。それならあの強さがわかる」

「だが、奇妙なんだよ翔太郎。マキシメモリは確かに肉体を最大限に強化する。だがそれはあくまで「人間」というレベルの範疇でなんだ」

「・・・どういうことだ?」

「つまりだね・・・例えば、誰かがガイアメモリを使ってドーパントに変身する。それはどんなにガイアメモリの中で低レベルでも、一般人よりもはるかに強力だ」


ガイアメモリを使ってドーパントとなる。
その時点で、どんなものであろうと「超人」となることができ、その力は当然人間を超える。

対処を心得た人間ならその場を少しやり過ごす程度はできるし、使用者自身の素質も多少関係するので絶対に人間では勝てないとは言い切れないが、今回のマキシメモリでそのようなことはないだろう。


「だけどね、マキシメモリで手に入る「肉体」というのは「極限まで鍛え上げられた人間」レベルなんだ」

つまり「人間」という種族にできないことは、どんなに頑張ってもできない、ということだ。
「人間」という枠の中では最高レベルのパフォーマンスはできるが、逆にいえばその枠を超えることはできない―――


「それがマキシメモリだ」

「おいちょっと待ってくれよ。でもアイツは俺の攻撃と張り合ったんだぜ?」

「そうなんだ。たとえマキシマムドライブで高出力を出したとしても、ジョーカーメモリと相殺し合うなんてことはできないはずなんだよ。それと、もう一つ」

「まだあんのか?」


エレベーターに乗り、目的階のボタンを押して箱が揺れる。
そこでフィリップが取り出したのは、ダブルドライバーだ。

「ベルト?」

「彼が使っていたベルト、君は便宜上「マキシドライバー」と呼んでいたが」

「ああ」

「あれの正式名称は「異種メモリ濃圧縮出力装置」。通称を「ツインシステム」と言われたものだよ」

「ツインシステム?」

「ま、現時点でドライバー進化の系譜は、姉さんたちの使っていたガイアドライバーを試作改良機でゼロとして、ダブル、アクセルと来ているからね。つけるとすれば「第3のドライバー」なんだが」

「おい、話が逸れてる上に見えねえぞ、どういうことだ?」



「ガイアメモリは一回に一つの物しか使えない。しかし、2つの記憶を同時に使えればより強力なものになる」

「ああ」

それを実現したのが「ダブルドライバー」だ。
変身者と別の人間の人格を取り込むことで疑似的に二人となり、半身ずつに一つの記憶を起動させて結果、一人でありながら2つの記憶を使用する。

「僕の母さん―――シュラウドが研究していた分野だ。だが母さんがミュージアムを脱したので、研究はとん挫した」

とはいえ、元々が半身を担うフィリップがデータ人間でなければ成り立たないので、どちらにしろ凡庸性が低く、とん挫したかもしれないが。



「やはりガイアメモリは一人一つという理念のもと、一つの適合メモリの力を圧縮して、高出力運用を可能にした」

それを実現したのが、「アクセルドライバー」。
使用メモリのパワーを、一つだからこそ限界まで高めることができ、単純なパワーで言えばダブルドライバーを上回ることすら可能だ。

「だが、これはメモリの適合率が高くないと変身者の体に負担が掛かりすぎてしまうのが難点なんだけど」

逆にいえば照井竜とアクセルメモリのように適合率が高ければ、強力なパワーを得ることができる。
だからこそ、彼が別のメモリであるトライアルメモリをつかうのに苦労した、ともいえる。



「で?このツインってのはどんなのなんだ?」

「この際、君の「マキシドライバー」を採用させてもらおう。このマキシドライバーはね、ダブルとアクセル、2つのドライバーの子供みたいなものなんだ」

「・・・は?」


ダブルドライバーは、二つのメモリの同時運用。
アクセルドライバーは、一つのメモリの高圧縮高出力。

ここまで来れば、人はさらに次の段階を求める。

即ち、二つのメモリを高圧縮、高出力で運用するというものだ。


「おいだけど」

「そう。一つのメモリですら、適合率が高くなければアクセルのような運用はできない。それが二つ?ありえないね。でも」

「マキシはそれをやった・・・?」


エレベーターの中に静寂が訪れる。
そして、フィリップがひらひらと手を振って「ありえないね」と口にする。


「翔太郎。君はあくまでも彼が二つ目のメモリを「マキシマムドライブ」したところまでしか見ていないだろう?」

「ん?」

「つまり、彼はドライバーにあるもう一方のポケットにその「ミストメモリ」を入れていない」

「そうか。奴は厳密にいえばマキシメモリしか使っていない!!」

「そういうこと。ま、散々怖がらせたみたいだけどね。僕が言いたいのは、ベルトの出どころに心当たりがあるってことさ」

「なるほどな・・・って、誰も怖がってねーよ!!!」

「はは、悪い悪い。で?翔太郎の方は?このエレベーター、下には向かってないだろう?」

と、そこでふとフィリップが視線を上げる。
エレベーターが止まった。階を示す数字は、隣のエリアマップによると「被疑者収容病室」と書いてあった。


「ああ。こないだとっ捕まえた坊主に合いにな」

エレベーターが開き、病室に向かう。
翔太郎はズカズカと進んでいくが、その後ろを歩くフィリップにはまだ疑問があった。



翔太郎、マキシメモリについては、ドライバーで強化されたからかもしれない。
でもね・・・ミストメモリに「毒」なんて効果は、付属されていないんだよ?



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「よっし!手がかりはそろったな」

「ああ」

今朝がた捕まえた、ガイアメモリ犯罪の青年。
ベッドで横になってマンガを読んでいた彼からの話により、マキシの大まかな素性が割れてきた。


なんでもマキシの男は、数か月前に彼のグループに接触し、いくつかのガイアメモリを「プレゼント」していったらしい。
そのおかげで、落書きだとか万引きだとかの犯罪程度だった彼のグループは暴走し今回、翔太郎の捜査の手が伸びたわけだが。


最初に三つ程のガイアメモリが送られ、今後も欲しければ口座に送金しろとのことだったらしい。
本来ならば封筒いっぱいの札束で買うようなガイアメモリが、紙幣2、3枚という破格の値段がつけられていた。

その口座番号を、フィリップが検索しどこの誰のものかを明らかにする。
ここまでくればあとはトントン拍子だ。



仮面ライダーマキシ
本名:神月 羽馬真(かみつき はばま)



その名前が判明した時点で、フィリップは次の行き先へと足を延ばした。
何も言わずについていく翔太郎だが、その行き先がわかったところで思わず驚きの声を上げた。


「おい、フィリップここは」

「そう、元ガイアメモリ製造プラント。僕と君が初めて出会った場所であり、ビギンズナイトの地さ」


夜の闇の中、風都港からハードスプラッシャーを走らせ、たどり着いたのは沖合の島。
仮面ライダーWが始まった、爆発跡の残る工場跡地だ。


「神月ってのはあれか?ミュージアムの人間だったのか?」

「いや、もっと上の組織さ」

「・・・財団X?」

「ま、本団員ではなく、出資者という立ち位置だったけどね」


この島はもともと、神月家の所有する土地だったらしいが、財団Xのガイアメモリ投資が決定した時、出資者の一人であった神月羽馬真がこの土地を提供したのだ。
そして彼は、当然「あの夜」もここにいた。


「彼は単なる出資者以上にガイアメモリという物に惹かれていてね。準職員として研究も行っていたくらいだ」

どれくらいかというと、自分で研究室の一つを持つくらいだったらしい。
まあ自分の土地に建てる工場なのだから、それくらいは簡単に作れて当然だが、実際にガイアメモリをいくつか開発していたらしい。


「なるほどな」

「だが、神月は―――――」



「神月羽馬真は、鳴海宗吉なる探偵の襲撃時におけるプラント爆発事件において、行方不明となった。財団もミュージアムも、遺体未発見であるがプラントの爆発状況からみて「神月羽馬真は死亡した」として処理し、彼はこの世界から姿を消した」


「「!!」」

岩山の上から聞こえてきた。
フィリップと翔太郎がその声がした方を見上げると、そこにいたのは


「そして、今ここに至る」

「神月羽馬真・・・」

「来たということは、わかっているのだろう?」


取り出されるマキシドライバー。
対して、翔太郎もダブルドライバーを腰に装着しメモリを取り出す。


「一つ聞きてぇ!何故オレ達を狙った!!」

翔太郎が叫ぶ。
だがそんなことは関係ないと言わんばかりに、神月はマキシメモリを取り出して起動させた。


「理由?そんなものは一つしかない」

そしてメモリを挿し込み

「仮面ライダーを倒す。そうすれば、最高の評価につながると思わないか!!――――変身」

《マキシ!!》

ドライバーを引いた。
夜の闇の中光が灯り、装甲が展開され、その姿を仮面ライダーマキシへと変貌させる。

そして飛び降り、これからメモリを取り出そうとするフィリップの方へと襲い掛かった。



「フィリップ!!」

「大丈夫」

「ん?・・・んおっ!!」


飛び掛かるマキシ。
だが、その攻撃は間に割って入ってきたファングメモリによって阻まれた。

距離をとるマキシ。
ファングメモリを変形させ、二人ともがガイアメモリを挿し込み変身の準備を整える。


「いくら君が頑張ろうとも、財団Xはすでにガイアメモリ事業から手を引いている」

「しかもあいつら、自分たちで作れるようになってっから、いくらこんなことしても無駄だぞ」

フィリップ、そして続けて翔太郎が告げる。


確かに、財団Xはガイアメモリやコアメダル、アストロスイッチに至るまでを独自に入手し、その製造を可能としている。
今更手を貸したりする必要がないのだ。


しかしそんなこと、当然神月はさも当然のごとく――――

「財団Xが・・・・・ガイアメモリ事業から手を引いた?」

知らなかった。


「「いや知らなかったんかい!!!」」

説明しておいてなんだが、まさか本当に知らないとは思わなかった。
え、どうしよう?とマキシが顎に手を当てる。

本当に知らなかったようだ。
だが、ポンと手を打ち再び向き直る。


「お前らを倒せば、彼らの耳にも入るだろう」

《ミスト!》

ミストメモリを取出し構える。
また毒霧か。


(対処がわかっていれば脅威ではない)

(ああ。ま、いきなり来るとは思わなかったけどな)

翔太郎がメタル、フィリップがヒートメモリを隠すように取り出し握る。
最初こそファングジョーカーで圧倒しようかと思ったが、いきなりそれで来るならこの組み合わせがいい。


「ガイアメモリに興味はなくとも、仮面ライダーを排除したという功績があれば財団Xへの手土産には十分だろう!!」

バッ!!と、マキシが腕を下げる。
ベルトに挿し込む。

それに応じて、即座にベルトを抜いて再装填する二人。

ヒートメタルの変身音が鳴り、そこに銀と赤の装甲を纏った仮面ライダーWが、メタルシャフトを手にして構えた。
が、ダブルの動きがそこで止まった。


マキシはベルトを引き開き、ミストを起動させた。
そう、マキシはマキシマムポケットにミストを挿していなかった。

もう一度言おう。


マキシがミストメモリを手にして腕を下げ、ベルトに、挿し込んだのだ。


「無理だと思ったか?二つのメモリの圧縮同時運用」

「ま」『さか・・・』


「真新しいものでなければならないだろう?何せ、仮面ライダーを倒したという実績がいるのだから、それに応じたプレゼン材料がなくてはな!!」

《マキシ―――ミスト!!》


紫のラインが、輝きながらマキシの全身を走っていく。
まるで煙のような意匠のそのラインが全身を走り終え、ミストマキシへとその姿を変貌させた。


『バカな!!そんなことができるはずが!!』

「フィリップ君。星の本棚なんて便利なものがあるから、君は一回検索しただけですべてを知ったつもりになる」

『な・・・』

「もう一度深く検索してみろ。その慢心を捨ててな!!!」

マキシが襲い掛かる。
迎え撃つ、W。


疾走し近づいてくるマキシに対し、メタルシャフトを振るうW。
だが、それはむなしく空を切り、マキシの身体をすり抜けた。


「な!?」

「霧を相手に何をしているんだ?」

「ヤロウ!!」

メタルシャフトの先端に炎が灯る。
それを高速回転させ、炎の竜巻をマキシへと投げつけた。

だがマキシはそれを身体を霧状にして割り回避。
同時に飛ばした拳でWの左肩をブッ飛ばした。


「グッ!」

「いってぇ!?」

だが痛かったのはマキシの方だ。
メタルの方を殴ったら、それはそうなる。



手を思わずひっこめ、プラプラと振るマキシ。
そこに向かって、Wのマキシマムドライブが炸裂する。

「『メタルブランディング!!!』」

メタルシャフトに炎を纏わせ、それを振るい突撃する。
ただ行くだけでは回避されるだろうから、炎の渦を差し向けながら。

逃げる先を用意させず、例え霧になっても焼き尽くす。


「取った!!」

ブゴォオオ!!と、炎と風の吹き荒れる音がしてWが駆け抜けた。
回転させたメタルシャフトを停め、ビタッ!と構える。

だがしかし、その手に手応えはなく


「ばかな・・・」

『あそこから・・・霧散したというのか・・・?』


「おいおいこの程度か仮面ライダー」

声がした。
マキシの声だ。

だがその姿はない。


「あれだけの上昇気流と風があれば――――」

シュウシュウと周りから音がする。
粒子のようなものが集まっていき、それが形を成していく。

そしてそれらはすべて同じような形であり


「こうなることは、簡単にわかりそうだけどな」

仮面ライダーWは、先ほど放った炎の包囲網のように、マキシの手足に包囲されていた。



『翔太郎、回避だ!!!』

「させないって!!」

《ヒート!ジョーカー!!》


相手がこうやって攻めてくるのなら、ここはジョーカーだ。
火力と戦闘力で、この攻撃、しのぎ切る!!!


「『おおぉぉぉぉおおおお!!!』」

襲い来る手足。
まるでミサイルのように飛んでくるそれらを、ヒートジョーカーはその持ち前の戦闘技術とパワーですべて受けていた。

直撃はない。
一つたりとも。

総てを的確に受け、流し、捌く。


そして、最後に

《ミスト!マキシマムドライブ!!》

霧だけが残った。



「ぐ・・・ァ・・・・」

『翔太郎!!』

受け、弾いた拳は霧に砕けた。
流し、躱した脚は霧に溶けた。
捌き、逸らした攻撃が霧となった。

そう、あの手足はそれによる攻撃をしたのではない。


ただただ、Wを霧に包むため、そこに殺到しただけだった――――



紫の霧がWを包み、中から聞こえるのは苦しそうな声と弾ける火花の音のみ。
戦いと呼ぶには余りに不気味な光景だった。

そしてそれが解けると、Wが崩れてその場に膝を着いた。



「ち・・・くしょ・・・」

『翔太郎、エクストリームだ!!』

「――――あぁ!!」

《サイクロン、ジョーカー!エクストリーム!!》


ミストマキシが元の形に戻る間に、フィリップがサイクロンメモリを取り出して、さらにエクストリームへと強化変身を遂げる。
ミストによる毒素はそれにより消え、応急ではあるがその場を乗り切った。

一方、姿を戻したマキシはそれを見て拍手を送る。


「なるほどそうやって克服するか。だけど、それって次はないってことだよね?」


その通り。
強化変身で全身に迸るエネルギーで毒素を消滅させただけで、全く無効にできるわけではない。


「余計な心配だ」

「ま、確かに」

それに対し、Wは五月蠅いと一蹴する。
そして両者ともに数秒睨み合い、そしてマキシが踵を返した。


「止めようか」

「は?」

「そもそも、ここには必要なものを取りに来ただけで、君らと戦うのはもっと人の目があるところじゃないと意味がない」

そういって、その取りに来たものを手にして岩山の向こうに消えてしまう。
それを追ってWが駆けるが、一瞬早くマキシは新たなメモリを装填しその場から去っていってしまった。



「・・・あれ、何のメモリだ?」

「さあね。起動音も聞こえなかったし」

去っていくマキシを尻目に変身を解くW。
見ると、足元に封筒が落ちていた。




『拝啓、仮面ライダーWのお二人様。
 残暑の続くお日柄の中、段々と秋の様子も見え隠れしていた今日この頃でありますが、いかがお過ごしでしょうか?

 つきましては明日(みょうじつ)の午後3時頃、この街の象徴たる風車にてお待ちしております。

 お二人の最後になると思われますので、後悔の残らぬよう、服装や装備、身辺整理に勤しみ下さいませ。

            敬具
             神月家当主 神月羽馬真』


「―――だってさ」

「ふざけやがって」


手紙を破り捨て、踏みつける翔太郎。



風が吹いてきた。
残暑のこる、すでに日付は変わっている時間。


風都の街から、ネットリとした肌触りをした潮風が吹いてきた。

まるで、それは混沌と危険の香りを孕んでいるかのような。
人を誘い出す悪魔のような不気味な風。

嵐が来る。


だがいいだろう。
受けて立つ。

嵐が来るなら好都合。

オレ達の身体は嵐の中で猛り
オレ達の魂は嵐の風で奮い立つ



決着をつけるのはあと、15時間後だ。





to be continued
 
 

 
後書き

仮面ライダーマキシ!
え?なんであんな運用できるの?

っていうのは、まあ次回で明らかに。

しかもミスト以外にももう二つ手に入れているし!!

ちなみにW編ではWやアクセルの以外、メモリは全部「M」です。
最初から最後までな!!


マキシの案は、マキシから思いついたのではなく「M」からでした。
Wをひっくり返してMだよね!からです。

あれ、それどっかの配管工・・・・

フィリップ
「立ち位置逆だけどね」


まあそっからなんか面白そうなの出来ないかな、ってことで。


マキシメモリの本来の能力は作中の説明通り。
まあ簡単にいうと「キャプテンアメリカ簡単製造機」です

あくまでも人間レベルの「最高」ですからね。

ちなみに本当だったらマキシの起動音は「マキシマム!!」なんですが、神月が勝手に起動音を変えてしまったという裏設定があります。




裏設定っていう響きに興奮するのは私だけでしょうかぁァァアアアアああ!!!!




翔太郎
「次回。そういうことか、テメーがメモリを使える理由!!!」


ではまた次回 
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