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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第七章 C.D.の計略
  フォルテッシモ♪運命の鎖



真っ赤に染まる結界。

滅多打ちにされた少年少女たちの前に、魔界の王が立ち上がる。


「ごめん。僕がちゃんとしなかったから」


そう言って、実に申し訳なさそうに紅渡は頭を下げる。



そして、轟音のする方向へと目を向けた。
イクサに変身した名護が、強引にこの場から闘牙を引き離そうとしているのだ。


だが、相手もまた豪腕。

闘牙が抵抗するのは腕一本でのみ。
それに対し、イクサは最終形態であるライジングにまでなり全身で押し込んでいる。


ならば、その結果はどうなるかなどは明白だ。


「邪魔だ退け」

「ガッ!?」

ズガン!とでも言わんばかりに、押し込んでくるイクサの後頭部に拳が振り下ろされた。

とにかく押せ押せの姿勢であったイクサは、真上から背中を叩かれ、俯せになって大地に叩き付けられる。


そう、力の差は歴然だ。
対峙した瞬間に、敵には敗北しかありえない。


テクニックではない。
属性でもない。

ただ単純に、そのパワー、スペックの高さのみで、この男はイクサもキバも凌駕する。
だが、この男の強さを支えるモノはそれではない。


「諦めろ。この戦いにこれ以上の流血は必要ない」

倒れるイクサを蹴飛ばして、闘牙は悠々と言い放つ。

その言葉を聞き、渡は闘牙の視線に応えて焦点を合わせる。

その表情は倒れる美鈴からは見えない。
ただその顔が、どんなものかは想像が難くない。




その闘牙の言葉には、絶対の自信が込められていた。
曰く、俺には勝利しかない。自分自身の敗北の未来などありえない。

その闘牙の言葉には、微塵の油断もありはしなかった。
曰く、それは決まったことだから。俺という存在はそういうものだから。

その闘牙の言葉には、一切の疑いがなかった。
曰く、それ以外の結果があるのかと疑問に思うほど。この男は、本気でそれ以外の結果が思いつかない。


この赤嵜紅矢・仮面ライダー闘牙の力を支えるモノはただ一つ。


すべてはそうあるべくしてあると。
自分自身の起こす行動結果に、自分の不利になるものは一つたりと手ありえないと。

99%ではない。
まず間違いなく、でもない。


それ以外の結果が完膚なきまで存在しない、絶対結果の未来。

100%の成功を引き寄せるほどの、運命を引き摺り出すほどの絶対的な自信。
否、それはまるで「自分こそが運命だ」と信じ込む、狂信とも思えるほどの、自分に対する圧倒的な思い込み――――!!!



「キバよ。ファンガイアの王。貴様が挑むのは運命だ」

「キバット」



「たとえそれがどんな存在であろうとも、貴様は運命(オレ)には勝てないさだめにある!」

「変身だ!!」

「おっしゃ!!行くぜ渡!!」


駆けだす渡。
その身体に溶け込むように、キバットが飛び込んでいき、その姿がキバの鎧に包まれる。


お前は決して運命じゃない。
決まり切った結果などない。


「お前がすべてなんてことは、僕は絶対に認めない!!」


腕を広げて駆けだすキバ。
闘牙の顔面に向けて拳を振り上げ、飛び掛かるように殴りかかる。


そして、その結果は―――――――



------------------------------------------------------------


「ドぎつぅ~」

赤き夜の結界内。
その結果以内で、キバと闘牙の戦いを遥か彼方のビルの屋上に座り込んで眺める男がいた。



そこから見える光景は、まさしく蹂躙の一言に尽きる。

すでにキバが展開しているフォームは三つめ。

最初のキバフォーム。
距離をとってのバッシャーフォーム。
俊敏さで攻めたガルルフォーム。

だが今、ガルルセイバーが吹き飛ばされて大地を転がる。

武器形態の姿が解けてしまい、地面に倒れるガルル。そして同じように倒れ伏すバッシャー。

もう残っているのはドッガのみ。
しかし、闘牙はすでに一回見たフォームだからと、他の二つと違い楽しむことなく即刻で終わらせた。


鬣を更に砕いて発動させる、闘牙のウェイクアップ。
とはいえ、それは特殊な効果を持ったりするようなものではなく、「闘牙蹂躙」と名付けた、ただのエネルギーを纏った爪による連続攻撃だ。

しかし、シンプルなものほど強力だ。
キバは最も機動性を持つバッシャーでも、最も機敏な動きをするガルルでも、最も堅牢な身体を持つドッガの力でも、それに耐えることができずに吹き飛ばされてるのだ。


「あーらら。これ、こっちさん終わるんじゃないスかね?」

『ふん・・・その程度で終わる奴らであるならば・・・これまで何度でも世界は終わっておるわ』

「そーですかね?」

『で、なくば。吾輩がいったいどうしてかのような面倒な手順を踏まねばならぬ』

「はいはい。で?俺手出ししなくていーのですかい?」

片膝立てて座り込んでそう言う男の掌の上では、今にも発射されそうな水塊がチャージされてクルクルと弄ばれている。
彼が腕を振るえば、それは水の砲撃となって闘牙を襲うことになるだろう。

ただ、そのエネルギーは水とは限らなかった。
男の掌の動きに合わせて、それは炎だったり雷だったり土だったりと属性をコロコロと変えているのだ。


『いらぬ。あの戦斗は力によるものではなく、互いの心持ち一つ』

「諦めなきゃ勝てるって?んな幻想・・・わーりましたよ。あんたには逆らいませんて」

『吾輩も貴様を失えぬ。まだな。見物もいいが、見透かされぬうちに消えよ』

声の主の気配が消える。
それを感じ、見物をしていた男もよっこいしょと立ち上がる。


「ま、ここは旦那を信じて見ますか」

疑いなく信じれば、それは現実に引き出せる?
なーるほど、確かにそれはあるかもな。

なんてったって、いまのとこ。
ぜーんぶ旦那の思い通りだもの。


そして男はビルから飛び降りる。
空間に穴をあけて飛び出してきたレールと、その上を走る長い長い車両に飛び込んでその場を去った。

その列車の姿は、ビル陰に隠れてだれの目にもとまらなかった。


------------------------------------------------------------


「諦めろ。お前は死んで、ファンガイアは駆逐される。そういう運命だ」

「ぐ、ぉぉおおお!!!」

淡々と告げる闘牙。
まるで、もうすでに起こったことを説明しているかのような口調。

例えばそれは、現代人が過去に飛んで「恐竜は絶滅するんだよ」と説明しているかのようなもの。
彼の言葉に疑いも、陰りも、不安もない。

もしも渡がこちら側の人間でなければ「そうなのか」と納得してしまうほどの断言。


彼にとってみれば、それは決して変わらぬ―――ではない。
それの未来しか考えられないのだ。そのほかの未来が見えないのだ。

彼のその精神は、すでに神の領域と言ってもいいかもしれない。

そう

疑いなき行動は、疑問のない自信は、揺るぎない精神は、時に現実を歪めそれを強引に、たとえ「邪」であろうとも「聖」に変えるほどの力を持つ。



「ふざ、けるな――――」

ならば、それを打ち破るには?


それを超える正論で論破するか?
相手より強い力でねじ伏せるか?
自信を砕くような光景を見せつけるか?

違う。まったく違う。


覚えておいてほしい。
それが正しい方法か、間違った方法かはこの際捨て置き、相手が言い張り主張するそれを砕く方法はあまりにも簡単で、そして根性論だ。


「そんなことはさせない―――そんな運命はない!!!」

認めない。
来させない。
そんな運命はあり得ない。


ただひたすらに叫ぶのだ。
相手がどんなことを言ってきても、馬鹿の一つ覚えのように吠えるのだ。


それは違う。
それは間違いだ。
そんなことがあるわけない。

お前は違う。
お前は間違いだ。
そんな考えはお門違いだ。



それは「否定」
ただひたすらに相手の言葉を否定する。

それが正しかろうと何だろうと関係ない。
相手の意思を押しつぶすつもりで、一切の手抜きもなく否定せよ。


指摘など必要ない。
訂正など求めない。
正解なんていらない。


ただそんなことはいやだと、違うと、ありえないと。
最後まで叫び続けるのだ。


そして、相手がほんの欠片でもぐらつくのを待て。


つまるところ、先ほど眺めていた男が言ったことは正しい。

――諦めなければいい。根負けしたほうが、本当に負ける――


「喧しいぞ、お前はガキか!!!」

「うるさい!僕は絶対に認めない。そんな未来なんて来させない!!」

「来させないんじゃない。もう決まってるんだよ!!運命とはそういうモノだ。これから決まるんじゃあないんだ。もう決定されてるんだ。貴様がいくら叫ぼうと――――運命の鎖から、貴様は逃れられないんだ」


ビクンと
立ち上がろうとするキバのキバの身体が揺れる。


運命の鎖からは逃れられない。


そう。
自分の父・紅乙矢は死んでいた。

それは時間を超えて出会ったとしても変えることはできなかった。

自分の誕生。
兄との戦い。
王の宿命。

かつてこの青年は、それらを回避しよう過去に飛び尽力した。

だがダメだった。彼の今は変わらない。
結局のところ、決まった運命を変えることはできない。


「そうだ。貴様も誰も、運命の鎖に縛りつけられた捕らわれ人。それを俺が示してやる。貴様の運命を、間違いようのなく!!」

バキリと、闘牙の鬣がより一層砕かれる。
そして溢れ出た魔力がそのまま両手に充填され、真っ赤に燃え盛るかのような拳を形成した。


「終われ、キバよ。運命に従って!!!」

唸る拳。
ゴゥッ!という音は、その場にいる全員が耳にした。

あの拳が命中すれば、キバの装甲はあっけなく砕けるだろう。


だが、キバは

「―――――なに?」

「そんなんじゃ・・・ない」

その拳を、受け止めていた。
燃え盛るような魔力を宿した闘牙の拳を右掌で受け、それを左手で支え、さらに右肩に付けて、しゃがみ込んだ両足で踏ん張った。


「運命の鎖が・・・僕をしばりつけるモノだとか・・・未来を閉ざすモノだなんてことは・・・絶対にない!!」

バシッ!!

「運命の鎖は、そんなものじゃない。絶対にだ!!!」

「な・・・・!?」

揺らぐ。そして立つ。
それがそれぞれどちらのことを指しているのかは、一目瞭然。


「タツロット!!!」

「よっし!!テンションフォルテッシモ!!」

その声に呼応して、一匹の小竜が飛来する。

「変身!!!」


眩いばかりの輝き。
その光の中で、キバは真の姿へと変貌する。



腰のベルトにキバットが。
左の腕にはタツロットが。

見よ、魔物の牙たる愚かな獣よ。

これこそが王の姿。
黄金の輝きを放つこの姿こそ、真の闇の世界の王たる証。

この煌めきが真の変身。
血生臭い貴様のものと、天と地ほども違うと悟れ。



揺らいだ貴様にはすでにない。

今度はこちらが―――――


「ハッ!!!」

「ゴッ!?」

「攻める番だ!!!」


仮面ライダーキバ エンペラーフォーム
黄金の牙と呼ばれたその拳に炎が灯り、振り上げられたその一撃が闘牙の腹部を深く抉った。

身体をくの字にして交代する闘牙のマスクの隙間から、真っ赤な鮮血が飛び散った。


「ガッハァ・・・なに・・・バカな・・・これは・・・・!!!」

効いた。
キバの攻撃が、あれほど圧倒的であった闘牙の装甲を超えて肉体へとダメージを与えたのだ。


「な、ぜ・・・・だァっ!!」

ゴゴン、という轟音が大気を揺さぶり、強風が周囲を襲う。

それが数回。
連撃である「紅牙蹂躙」は、連続してキバの身体に叩き込まれていく。


「ゴッ、あ、がぁっ!!?」

「ハッ!!今の一発は効いたぞ!!だがこれで、貴様もおわ(ドゥッ!!)――――ハァッ!?」

闘牙の言葉が、吐息に消える。
連撃の一瞬のスキを突いて、キバの拳が闘牙にめり込んだのだ。


ヨロリと交代する闘牙。

何故だ。
パワーはいまだこちらの方が上。

一切の疑いもなく、こちらが勝つほかないはずだ。

だがなぜ、なぜだ。



「なぜお前の攻撃が俺に効いている!!」

「知るか!!」

叫び、蹴る。
キバの回し蹴りが、闘牙の横っ腹に突き刺さり再びその身体が飛ぶ。



キバは知らない。
自覚していない。

なぜこのようなことになっているのか。


エンペラーフォームになったとしても相手の方が力は上だ。
にもかかわらず、闘牙を圧倒しているのは、なぜか。



簡単な話。

紅渡は、赤嵜紅矢の自信に屈しなかった。
そして相手の言葉の中に、彼自身が絶対にそれは違うと、赤嵜の自信以上の確信をもって立ち上がったからだ。



一方、赤嵜の方は揺らいでいた。

この結果なんて知らない。
どうしてこうなっているのかわからない。

たった一つの小さな揺らぎが、彼の確固たる自信にヒビを入れて広がっている。


相対的に、キバが闘牙を追い詰めるのは当然のこと。

力の強弱ではない。
ただ、揺るがぬ思いと崩れた自信では、どちらが強いかは明確だ。



「行くぞ!!」

キバが手を上げ、握られるのは魔皇剣ザンバットソード。
これこそが、ファンガイアの王のみに許された魔剣。

その刀身に噛みついたザンバットバットを上下させ、刀身に真っ赤なエネルギーが充填されていく。



「グッ!?」

「ハァッ!!」

シュー・・・ガチン!

「ハッ!!」

シュー・・・ガチン!

「ゼァッ!!」

シュー・・・ガチン!

「おぉおお!!」

シュー・・・・・・ガチン!!!


一太刀ごとに上下されるザンバットバット。
その度に切れ味は増し、刀身は赤い輝きを増す。

「な・・・めるな!!!」

だが闘牙も黙ってはいない。
全身から血を流しながら、も、些かも衰えぬ万力を以ってその剣を掴み取った。


しかし


「フゥ―――――!!」

トンっ、と
キバがザンバットソードの刀身を叩く。

すると、真っ赤に染まった刀身に溜まるエネルギーが、斬撃波となって闘牙に襲い掛かっていった。


「ご、フゥッ!!?」

両腕、胴体とに斬撃波をまともに喰らい、ズタボロになりながら地面を転がる闘牙。


その闘牙に、やはり先ほどの攻撃でボロボロになっている仮面ライダーキバエンペラーフォームが歩み寄る。


ダメージにしてみれば、両者ともに同程度。
力量にしてみれば、闘牙の方がやはり高い。

だが心持一つで、ここまで状況は一変する。


それに対して、闘牙は叫んだ。


「何故だ!!何がお前にその力を与える。何がお前をそこまで支える!!!」

なぜおまえは揺るがない!!
なぜおまえは諦めない!!

ここまで―――否


あれほど絶対的な確信を持って事に当たった自分が、一体何の言葉でこいつにここまでの確信を与えた!?
こいつは一体、何の言葉に対しての否定でここまでの――――――!!!


それに対して、キバの返答は一言だった。

「運命だ」

「なに?」

「ウェイクアップ、フィーバー!!」


闘牙の言葉には答えずに、タツロットのレバーを引く。
発動するのは、ウェイクアップフィーバー。


その瞬間、ここから一切自分の世界だと言わんばかりに、周囲を夜の闇が覆い尽くした。

虚空の天空には、煌々と輝く満月が。
周囲に霧が立ち込み始め、紅渡の、ファンガイアの夜が訪れた。



「ちぃっっ!!!」

跳び上がる闘牙。

今はまずい。
彼にはどういった原理がわかっていないが、今のキバはヤバい。それはわかる。

とにかく、あの一撃だけは回避しなければ!!!!

しかし!


「逃がしません!!」

「お縄についてもらいますよッと!!」


復活した雪子と菊理の連携により、空中の闘牙にアブラクサスの鎖が巻き付いていく。
絡み合う鎖はその体を縛り上げ、先ほどは容易く千切れたはずの鎖が全身を締め上げた。

「な、バカな、これはさっきは・・・・」

「ハァッ!!!」

跳び上がるキバ。
その瞬間、地上にキバの紋章が浮かび上がり、足に纏ったエネルギーは、その名の通りに牙を剥く。



「今です!!!」

「了解した!!」

そのキバに、駆と彼の声に合わせた美鈴が鎖を巻き付いていく。
鎖はやはり、菊理のアブラクサスによるもの。


そして

「みなさん、私に力を!!!」

賢久を除く全員の力が、菊理に宿る。
そして魔石の力がアブラクサスを、デミウルゴスへと変貌させた。

キバの全身が、巻き付いていく鎖に覆われていく。
闘牙を覆う鎖は、さらに力を増していく。


「なんだそれは・・・何をしている!?」

『お前には、わからないだろう』

鎖の中から声がする。
その鎖は螺旋を描き、キバの進行に合わせて円錐状に伸びていく。


闘牙に向かって、まっすぐと。



『運命の鎖を、人を縛りつける者としてみるお前には、絶対にわからない』

「バカな・・・運命とは絡み合う鎖だ!!他に揺れることを許さず、ただ決まった未来を映す強固な――――」


「違う!!!」

バカァッッ!!

鎖が砕ける。その瞬間、思い切り引かれた退鎖によってキバの身体が回転して突き進む。
大気をかき混ぜて、さらには鎖を通して送られたデミウルゴスのエネルギーによって周囲の空気がねじれるかのよう。

さらにそこに賢久の炎が追加され、名付けるならばエンペラームーンブレイク月下灼火螺旋が闘牙の身体にぶち当たった!!

ドォッッ!!!

「グバ―――ォ!?」

強烈な一撃が叩き込まれる。

凄まじい発光は、しかしそれでも月の光というのがピッタリだった。

そして、その光の中で砕けていく闘牙の装甲。

その破滅の音の中、闘牙は確かに聞いた。
灼熱と螺旋による黄金の破壊の中から、ファンガイアの王の言葉を。



「運命の鎖っていうのは、未来を閉ざすような、拘束するものじゃない」

その通り。
運命の鎖は、綿密に絡み合っている。

だがそれは決して未来を閉ざしたり、前に進むのを引き留めるモノではなく



「それは、ずっと昔から今の僕たちに続く、仲間や家族との、絆の鎖だ!!!」

ビギッ!!!

「僕の鎖は、決して千切れることのない。父さんや母さんたちから受け継いだ、この想いだ!!!」

「お・・・おおぉぉぉおお!?」


「運命の鎖がお前の言う通りだとするならば!!それに縛られているのは―――――」

「キ――ば――――」

「たった一つの未来しか見えない、お前自身だ!!!」

「おのれキバぁぁァアアア!!この俺が何かに縛られているなどそんな現実」


「アぁああッッ!!!」

「認めn」

ドォンッッッ!!!!



闘牙は―――赤嵜紅矢は、最後まで言い切ることは出来なかった。
キバのキックが身体を貫き、漆黒の闇の中に消えていった。


もともとの身体の成分か、それともその装甲の欠片か。

バラバラと散りながら一体に散るその破片は、砕けたステンドグラスのように煌いていた。


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報告書

本件は、綾女ヶ丘における紅渡・仮面ライダーキバによる交戦の結果報告である。

対象:赤嵜紅矢なる仮面ライダー闘牙

状況
 対象は隔離結界「赤い夜」を使用し皐月駆をはじめとする「魔石所有者」から、その魔石を奪取せんとしたものである。
 交戦の末、キバにより対象は撃破された。

備考
 交戦内容、対象についての報告は別紙を参照されたい。
 なお、本件は連続する「仮面ライダー襲撃事件」の一件と認定する。

以上


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綾女ヶ丘に、「EARTH」の調査隊が入る。

数か月前から始まった擬似ライダーともいえる存在による襲撃。

オーズに対するトーチ

響鬼に対する絶鬼

カブトに対するマンティス

ファイズに対するスクエア

龍騎に対するスパイズ

アギトに対するオルタ

そして、今回のキバに対する闘牙だ。
しかも、これだけではなく更にもう一件。

これだけあっては、調査が入らないわけではない。

何かがある。
そのため、この調査には蒔風自らが現地に立って指揮をしていた。


その中で、現実世界までついてきたいくつかの闘牙の装甲の欠片が採取された。
そしてその中で、ほんのひと欠片を握りポケットにしまう男。

それはポケットの中で小瓶に入れられ、保存された。
その後、その小瓶がどこに送られたのか――――




「これ、どう思うよ。お前響鬼さんのほう見てきたんだろ?」

「・・・わからないな。あまりにも関連性がない」

「ほぼ同時期、そして仮面ライダー。関係するのはこれだけ。何かわからないか?」

「わからんって。お前がわからないのになぜおれがわかる」

「各世界をめぐった俺やお前なら、何かわかると思ったんだけどな」

確かに、仮面ライダーという代名詞があっているだけでありその各個の本質や属性はまったく異なる。
調査とは言っても、見通しは立っていないのだ。


「で?このあともう一件のほう見に行くんだろ?」

「ああ。この足で向かう」

「確か場所は・・・・」

「風都だ」




to be continued
 
 

 
後書き


後書きに代わりまして

おまけ

「にしても、調査にも元気に参加とは名護さんタフだよな。渡だってまだ本調子じゃないから見るだけなのに」

「いや、あれは――――」




「ない・・・どこかにないか!?」

「いや、名護さん」

「赤嵜紅矢のボタン!!どこかに落ちてないかッ!?」

「えと・・・何かごめんなさい」



「――――ハァ」

「フリーダム名護、だな」




ホントにto be continued
 
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