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儚き想い、されど永遠の想い

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137部分:第十一話 断ち切る剣その十一


第十一話 断ち切る剣その十一

「君達が結ばれることによってじゃ」
「だからなのですね」
「そうじゃ、非常によいことじゃ」
 伊上は顔を綻ばせて話す。
「無論君達二人が結ばれることもじゃ」
「それもですか」
「よいことじゃ」
 そのことについてもだ。彼はいいとした。
 そして真理の顔を見てだ。こんなことも言った。
「白杜家のご令嬢も」
「はい」
「実によい顔をしておる」
 真理のだ。整った顔を見ての言葉だった。
「肌は紙の様に白い」
「どうも近頃」
「近頃?」
「顔色が白くなりました」
 そうだとだ。真理は伊上に話すのだった。
「以前はこうではなかったのですが」
「顔が白くなったのか」
「化粧はしていません」
 だがそれでもだ。今の真理の顔は。
 確かに白い。まるで白粉を塗ったかの様に。そうした白さであった。
「ですが近頃」
「ふむ。そうなのか」
「ですから」
「しかしよいことじゃ」
 伊上はその白いことはだ。そのままよしとした。
 そうしてだ。こう言うのであった。
「色が白いのはじゃ」
「それはなのですか」
「奇麗なものを際立たせる」
 つまりだ。真理のその美貌をだというのだ。
「だからよいのじゃ」
「左様ですか」
「うむ、よい」
 微笑んでだ。実際に真理に話した。
「まさに美男美女の二人じゃな」
「あの、それは」
「少し」
「よいのじゃ。事実じゃからな」
 二人には今はあえて言わせなかった。先手を取った。
 そして先手を取ってだ。さらに話す彼だった。
「幸せは手に入れるものじゃ」
「手にですか」
「自分達の手で」
「そうじゃ、そうするものじゃ」
 微笑みでだ。話すのだった。
「ではそうしてくれ」
「わかりました」
 二人は同時に頷いた。そうしてだった。
 二人は伊上の協力も約束してもらえた。そして伊上もだ。
 笑顔になっていた。その笑顔での言葉だった。
「よいことだ」
「いいことですか」
「そうだ、これはとてもいいことだ」
 こう言うのであった。
「長年の無益な争いが幸せに終わるのだからな」
「それでなのですか」
「それで、ですか」
「そう、終わるのなら幸せにだ」
 見ればだ。伊上の顔が綻んでいた。
 そしてその綻びでだ。彼は言うのである。
「そして幸せにはじめるべきなのだ」
「幸せに終わり幸せにはじめる」
「そうあるべきなのですか」
「そう。結ばれて和解して終わりではない」
 それで終わりではないとだ。彼は話すのだった。
 
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