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儚き想い、されど永遠の想い

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133部分:第十一話 断ち切る剣その七


第十一話 断ち切る剣その七

 そしてだ。あらためてだった。
 二人に顔を向けた。二人にである。
「君達はそれぞれ見事な父上を持っておられる」
「はい、確かに」
「そう思います」
「素晴しい親は素晴しい子を育てる」
 話をだ。次第にだった。
 義正と真理に移してだ。そうして話を進めていくのだった。
「その君達もまた実に素晴しい」
「いえ、私達は」
「その様な」
 二人は伊上の言葉に謙遜で返そうとする。しかしだった。
 その二人にだ。伊上は言うのだった。
「そこだ」
「そこだと」
「そこだというのですか」
「そうして謙遜するところがよいのだ」
「謙遜ですか」
「それがですか」
「謙遜は過ぎると目につく」
 伊上はそのことを付け加えるのも忘れない。
 しかしそのうえでだ。こうも話した。
「しかし君達の謙遜は違う」
「違うのですか」
「私達の謙遜は」
「過ぎてもなく軽くもない」
 つまりだ。適度だというのだ。
 そしてそれだけではなくともだとだ。伊上はさらに話した。
「そのうえで心がある」
「心がですか」
「私達にはありますか」
「そうした意味でまことの謙遜だ」
 確かな顔で二人を見てだ。そのうえで話すのだ。
「それができるというのはやはりだ」
「私達の親がですか」
「よいからですか」
「卑屈も尊大もよくはない」
 伊上は長い人生の経験、しかも政界や財界、官界といった世界で生きていってだ。そのことを知ったのである。人生からの言葉であるのだ。
「中庸が大事なのだ」
「中庸がですか」
「それは中々身に着けられるものではない」
 義正に応えての言葉だ。
「そしてそれを自身の子に身に着けさせられるのは」
「それだけの親だからこそですか」
「父君だけではない」
 さらにだった。
「母君もだ」
 もう一方の親もだというのだ。素晴しいのはだ。
「やはりそれだけの方だからこそだ」
「今の私達がある」
「そうだというのですね」
「左様。君達の親御さん達は実に素晴しい」
 四人共だというのだ。
「それで今の君達があるのだ」
「そうなのですね」
 真理が伊上の言葉に応えて述べた。
「今の私達が」
「人はただ一人では存在しないものだ」
 そしてだ。伊上はこうも話した。
「そのご両親もあってこそだ」
「私が今あるのも」
「そう。しかしだ」
 ここまで話したうえで、だった。
 伊上は一呼吸置いてからだ。また二人に話すのだった。
 
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