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儚き想い、されど永遠の想い

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120部分:第十話 映画館の中でその十


第十話 映画館の中でその十

「それはとても」
「ですが墺太利ではありました。それにです」
「さらにですね」
「亜米利加では私のお話したことはです」
「普通ですか」
「我が国でもこれからはそうなります」
 義正は強い声でこう真理に話した。
「ですから。ここはです」
「義正さんの言われる様に」
「そうされますか?」
 真理のその目を見て問う言葉だった。
「真理さんも」
「確かに恥ずかしいです」
 真理はまたこうしたことを言った。
「そして勇気が必要ですね」
「その通りです」
「ですが」
 それでもだとだ。真理は言った。
「それがこれから我が国でも普通になり」
「はい」 
 まずはそこから話す。勇気を出す為にだ。
「それに。それによってです」
「私達の愛が成就するなら」
「そうさせてもらいます」
 意を決した顔になって。真理は言った。
「義正さんと共に」
「そうしてくれますか」
「はい、決めました」
 決意をだ。述べるのだった。
「そうさせてもらおうと」
「わかりました。それではです」
「はい。ただ義正さんも」
「私も?」
「やはり。勇気がいりますね」
 こうだ。義正に対して問うたのである。
「このことをされるには」
「ないといえば嘘になります」
 これが義正の返答だった。見れば彼もだ。
 決断している顔になっている。その顔が全てを物語っていた。
「それはそうなります」
「やはり。そうですね」
「自分で言っていても」
「それでもだったのですか」
「半分は自分に言い聞かせている言葉でした」
 真理に言っているだけではなかったのだ。自分に対してもだったのだ。
「それで。納得させて」
「そのうえでだったのですね」
「自分に勇気を出させていました」
「前に出る為に」
「はい、そうです」
 まさにだ。前にだというのだ。
「その為にもです」
「勇気を出して。そのうえで」
「幸せを手に入れるにはここまでしないとならないと思いまして」
 真理に対して言うのである。
「それでなのです」
「では」
「はい、私も決めました」
 真理に決断を促すだけではなかったのだ。彼自身に対してもだった。
 そこまで話してだった。義正はだ。
 真理の目を見て。こう告げた。
「では。その場を設けて」
「そうしましょう。それではです」
「二人で」
「前に」
 こう話してだった。彼等はだ。
 意を決した。もう前には退かないと決めたのだ。
 それを決めた時にだった。丁度その時にだ。
 レコードが終わった。その曲がだ。
「終わりましたね」
「はい、モーツァルトが」
 義正は真理のその言葉に応えて話した。
「今終わりましたね」
「それならですね」
「珈琲を飲んでから」
 義正は己のカップを見た。まだ僅かに残っている。
 
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