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儚き想い、されど永遠の想い

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105部分:第九話 知られたものその十一


第九話 知られたものその十一

「そうしたいです」
「ずっとですか」
「流石にそれは無理ですよね」
 真理は言ってからだ。すぐに苦笑いになった。
 そしてそのうえでだ。すぐにこうも言うのだった。
「森の中にずっといるのは」
「森の中に家を設ければできますが」
「家をですか」
「別荘になりますが」
 この時代からだ。資産があればそうしたものを持つようにもなってきていた。かつての公卿や大名の別邸とはだ。また違うものである。
「それですが」
「そちらですか」
「はい、別荘を建てればです」
 森の中にずっといることもできる。義正はこう話すのである。
「それもできるようになります」
「それもいいでしょうか」
「そうですね。今の森もいいですが」
「季節それぞれの森がありますね」
「春夏秋冬の」
 義正はそれぞれの季節を話した。さらにだった。
「十二月それぞれのです」
「森がありますね」
「そのそれぞれの森がありますから」
 こう話すのだった。
「その中でこうしているのもです」
「いいものですね」
「実はです」
 義正は考える顔になり己の右の拳を唇に当てた。その姿で話すのだった。
「私は今だけを考えていました」
「今だけをですか」
「はい、今の森をです」
 そこで森林浴をする。そのことだけを考えていたというのだ。
 だがそれはどうか。そのことを真理に話すのだった。
「それだけを考えていましたが」
「変わられましたか」
「他の季節の、月の森もまた見るものですね」
「はい、そうですね」
「そう思うようになりました」
 またこうしたことを言う義正だった。
「そしてそれは海も同じですね」
「前に行ったあの須磨の」
「そこも同じですね」
 微笑みになった。そうしてだ。
 真理に顔を向けてだ。それで話すのだった。
「海もまた十二月ありますね」
「大きく分けて春夏秋冬に」
「季節がありますね」
「そしてですね」
 さらにあるというのだ。二人で話していく。
「街もですね」
「自然だけでなく」
「いえ、街と自然は対立するものではないでしょう」
「違いますか」
「西洋ではそういう考えの様ですが」
 義正は違うと考えていた。確かにだ。
 そしてそのうえでだ。真理にさらに話すのだった。
「私はそれは違うと思います」
「そうなのですか」
「はい、そう思います」
 また言うのだった。
「自然とは地球から生まれたものという意味での言葉ですね」
「そうなりますか」
「はい、それならです」
「人間もですね」
「自然になります」
 人間もだ。そうなるというのだ。
 
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