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ソードアート・オンライン~白銀の侍と翡翠の剣士~

作者:村雲恭夜
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プロローグ

七十四層主住区〈カームデット〉の木の木陰。気象設定はいいものとは言えないが、木の木陰で過ごす分にはいい設定だ。常日頃思うのだ、こんな時は寝るに限ると。
「これでくいもんがありゃ最高なんだがなぁ…」
俺はそう呟きながら立ち上がる。そろそろ時間としては夕暮れ時、起きてもいい時間帯である。
「あ、(おきてた)
装備欄から白いコートと手甲、刀を装備していると、一人の女性が現れる。フードを深くかぶってはいるが、その声質は女性のものだ。
「…ずっと俺のこと見てたのか。よく飽きないなミヤビ」
彼女の名はミヤビ。分けあって第一層から何だかんだパーティーを組んでいる不思議なプレイヤーだ。
フードに隠れてよくは見えないが、金色の髪に翡翠色の目がとてもキレイで、なぜこんな奴が俺と組んでいるのか不思議なくらいだ。体は細いくせに妙に腕も立つし。下手すれば俺より強いんじゃないかとも思う。
「…何か失礼なこと(いった)?」
さらに言えばサトリ妖怪か思うほど人の心を読み、毒舌を言い放つところである。もう慣れたからいいが。
「別になんも思ってないですよーっと」
両手甲を装備した状態で軽くシャドーボクシングをしたところで本題に入る。
「んで、何の用だよ。また迷宮区潜りか?」
「是」
こくりと頷きながら肯定する。会話のキャッチボールをもう少し分かりやすくして欲しいもんだがまぁミヤビにはいって聞くやつじゃないのはわかってるから言わないが。
「あいよ。っても毎度毎度のことだが、別に俺とパーティ組むことはないぞ?」
「…(べつに)。私の勝手」
そっぽ向きながらミヤビは言う。変な奴だ。
すると、不意に腹の虫がなく音がした。
「…ミヤビ」
(ちがう)
即座に否定するが、再びの腹の虫がそれを許さない。
「…」
ミヤビはフードを深く被りながら顔を隠す。
そんなミヤビを見た俺はため息をついて言う。
「迷宮区に潜るのは明日にしとけ。飯ぐらいなら作ってやるからうちに来いよ」
「…」
少し悩んではいたが、やがて分かりにくく首を前に振った。
「決まりだな」
俺はミヤビの手を握ると引っ張って歩く。
「っ…!?サクヤ!?」
「お前いつもおせぇんだよ。俺も腹減ってんだよ、なので悪く思うな」
俺はミヤビの手を固く握りながら帰路へと足を進めた。




無限の蒼穹に浮かぶ巨大な石と鉄の城。
それは約六千ものプレイヤーを拘束する死の世界。
死亡=現実の死。それに抗うためにプレイヤーたちはこの世界で戦う。
現在の最前線は七十四層。
百層に連なり存在している城の名は〈アインクラッド〉。
そして、この世界にはもう一つの名がある。その名を________
〈ソードアート・オンライン〉。剣と戦闘の世界。
 
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