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MS Operative Theory

作者:ユリス
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内部図解
  歩行システム②

——脚部ユニットの構造——

 空間重機用マニピュレーターから発展したと考えられるMSの脚部ユニットは、「指」が無いことを除けば人間の足に近い形状を採用している。しかし、多重関節の採用や関節へのモーターの搭載、更にスラスターやジェネレーターの内臓など、可動機構や機能は人間のそれと大きく異なっている。また、モノコックやムーバブル・フレームなど世代による構造の違いがあるほか、人間の脚部構造では不可能な方向に曲がる可変機構などを持つケースも多い。MSの脚部ユニットは複合型デバイスとしての機能も有するのである。

■大腿部

 股間部と脛部を繋ぐ部位で、スカートアーマーの下に隠れていることも多いため、装甲もあまり重視されない。MS-06R(高機動型ザクⅡ)系のように、推進剤タンクが設置されることもある。

■膝関節

 脚部の中核となる関節部分で、多重関節を採用していることが多い。関節自体がフィールド・モーターとなっているケースや、油圧シリンダーなどが設置されている場合もある。

■脛部

 アポジモーターや補助スラスター、武装用ラッチなどが設けられる、脚部のプラットホーム的な部位。脚部を構成するモジュールの中では。もっとも大きな部位である。

■足部

 地面や床に設置する部位で、足裏には保護用/グリップ用の処理が施されるほか、スラスターが内蔵される。足部を分割して関節部を設けることで、駆動性を高めたモデルも多い。


——派生型の脚部ユニット——

 上述のように基本的な構造を持つMSの脚部は、MS-06F(ザクⅡF型)やRX-78(ガンダム)に代表される初期のMS、そしてザンスカール戦争で使用されたリガ・ミリティア系MSなど、機動システムの殆どを胴体に集約したタイプの機体に多く見られる。これ以外にも、フレキシブルな脚部に大推力スラスターを搭載することで、機動性の確保を目的とした試みや、重武装化の中で脚部の兵装プラットホームへの転用が行われた。

■高機動タイプ

 ランドセルへのスラスターの搭載の限界や、偏向型推進器としての可能性を模索する中、MS-06R(高機動型ザクⅡ)の頃から、脚部に大推力スラスターが内蔵されるようになった。この発想はMS-09(ドム)シリーズを通じて技術的に完成し、U.C.0080年代中盤以降、大半のMSに採用されることになった。

▼MS-09(ドム)

 脚部に熱核ハイブリッド・エンジンを搭載することで、ホバー走行を可能とした。脚部への推進器搭載は、MS-14(ゲルググ)にも継承された。

■武装化タイプ

 遮蔽物が多い重力下では射界の確保が困難であるため、脚部への火器の内蔵は一般的でなく、MS黎明期においては、MS-06J(ザクⅡJ型)のフットミサイル・ポッドのような外装式が見られる程度であった。しかし、U.C.0080年代末期からのMS重装化や、U.C.0150年代の飛行型MSの出現によって、脚部の武装化が進んだ。

▼ZM-S19S(シャイターン)

 ベスパの重MS。大腿部と足部にビーム砲を搭載するなど、脚部を兵装プラット・フォームとしていた。


——脚部ユニットの基本的能力/使用目的——

 重力下におけるMSの脚部ユニットは、人間の脚と同じく、歩行や走行、短距離ジャンプなどに用いられる。また、月面などの低重力下における歩行/走行、宇宙艦艇の甲板やデッキ上、宇宙要塞表面/内部での移動にも脚部ユニットが使用される。この際、足部に装備されたマグネットやクローを利用することで、低/無重力環境での走行を可能としている。脚部ユニットの質量が大きいため、キックによる格闘戦を行うこともある。マニピュレーターと比べ、比較的高い耐久性を持つ点も特徴といえる。

■歩行/走行

 重力下における歩行や走行においては脚部自体が長大なため、路面の凹凸や塹壕などは問題なく乗り越えられる。さらに月などの低重力環境下でも、歩行ユニットとして使用される。

■ジャンプ

 脚部のみ、あるいは機体各部に設置されたスラスターを併用したジャンプを行う。大型の障害物を超える場合や、空対地/空対空攻撃時に行われる。MSの脚部はジャンプ後の着地にも耐える。

■攻撃

 キック攻撃でも脚部は利用される。質量とパワーが大きいため、専用の格闘兵装を除くと最大の破壊力を持つ。そのため対MS戦だけでなく、対物や対人を目的とした攻撃にも利用される。

■特殊機構

 宇宙艦艇や基地移設に設置するランディング・ギアとしての機能ももつ。脚部に機体安定用のクローを持つ機体は、小惑星など複雑な形状の物体にも設置可能となっている。



補足事項

——クロー・アームとしての機能を持つ脚部——

 MSの脚部ユニットは、作業重機用マニピュレーターをベースとし、人間の脚を参考に開発されている。脚部にはAMBAC能力と歩行能力が求められていたため、マニピュレーターとしての機能を持たないことが普通である。しかし、可変MSの中には、脚部をMA形態時のクローアームとして転用する機体も存在していた。こうした機能には、脚部の拡張性の高さを証明するものであった。

▼AMX-003(ガザC)

 アクシズの可変機AMX-003(ガザC)。脚部がそのままクローアームとなる。

 
 

 
後書き
次回 コア・ブロック・システム 
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