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地上の楽園

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第三章

「国民は餓えている」
「しかも言論弾圧や粛清も酷くて」
「核開発、ミサイル、化学兵器、拉致ってね」
「数え役満じゃない」 
 ユリカはこうまで言った。
「そんな国だから」
「ネタにされるのね」
「桜子ちゃんの受け持ちの子達もそうして」
「ユリちゃんもなのね」
「そうよ」
 ビールを飲んでいる桜子に答えた。
「そういうことよ」
「あんまりにも悪いことばかりだから」
「しかも将軍様は贅沢三昧の中でハーレムまで持っていて」
 喜び組とかいう、そうしたものまであるのだ。
「メロン、お寿司、ワインでしょ」
「前の将軍様はね」
「それじゃあ皆ネタにするわよ」
「悪目立ちもいいとこだから」
「だから桜子ちゃんもね」
「私も?」
「子供達に言ってもね」
 あの国の真似なぞするなとだ。
「仕方ないわよ」
「真似する子は真似するの」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「そうなるわよ」
「やれやれね」
「まあ飽きたららね」 
 ユリカはゲームをしつつこうも言った。
「止めるでしょ」
「じゃあ飽きるまで待てっていうの」
「そんなものよ、人間って」
 ユリカの今の言葉は実にいい具合に冷めていた。ゲームの進行状況は実に順調なのでそちらに注意がいっていた。
「飽きたら止めるから」
「それで次の方に行くのね」
「そうよ、私だってね」
 他ならぬユリカもというのだ。
「飽きたら変えるから」
「ピンクのチマチョゴリのおばさんの絶叫からなのね」
「別のにするわ」
「だといいけれど」
「まあね、じゃあ桜子ちゃんが飲み終わったら」
 その缶ビールをだ。
「お料理作るわね」
「今日ユリちゃんの番だしね」
「野菜炒め作るわね」
「今晩はそれなの」
「それと玉葱のコンソメスープよ」
「それも作るの」
「お野菜安かったのよ」
 仕事帰りに寄ったスーパーではだ。
「だからね」
「その二つのね」
「待ってね、もうすぐはじめるから」
「待つわ、しかしね」
 ビールを飲みつつだ、桜子はこうも言った。
「お腹空いてる時にビール飲むと酔いが回るわ」
「というか何で食べる時に飲まないの?普段そうしてるのに」
「いや、喉が渇いてね」
「それでなの」
「飲んだけれど」
 そうすればというのだ。
「酔いが回るわ」
「あまり身体によくないから」
「しない方がいいいのね」
「そうよ、それはね」
 こんな話をしてだ、ユリカは実際に料理も作った。携帯の着信は彼女が楽しんでいるツイッターの新しいフォロアーが来たという連絡のメールだった。
 桜子はユリカの言った通り子供達と彼女が北朝鮮に飽きるのを待つことにした、だがだった。
 北朝鮮はとかく悪目立ちしている国家だ、だからだ。
 子供達は次から次にこの国の真似をしたりネタにしたりする、彼等は今度はクラスであの将軍様の真似をしてだった。 
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