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地上の楽園

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第二章

「そうでしょ」
「だからインパクトあるから」
「それで面白いから?」
「これにしたのよ」
「全く、クラスの子供達もあの国の真似するし」
 桜子はビールを飲み続けつつ不満を口にした。
「あの行進真似てユリちゃんの着信のおばさんみたいに言ったり」
「あんたが担任してる?」
「あとテポドンパンチとかノドンキックとかやったりね」
「子供も皆知ってるのね」
「独裁だ粛清だとか言ったり」 
 意味はよくわかっていないがだ。
「将軍様の真似とかね」
「本当に馴染んでるわね」
「何で子供まで知ってるのよ」
 桜子は飲みつつまた言った。
「そもそも」
「だっていつもテレビに出てるじゃない」
 ユリカはゲームをしながら答えた。
「だからよ」
「それで?」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「だからね」
「あんなになのね」
「皆真似をしてね」
「ユリちゃんみたいなこともなの」
「するのよ」
 そうだというのだ。
「皆知ってるしインパクトあるし」
「インパクトあるなら自衛隊の真似をした方がいいでしょ」
 自国の軍事組織ならというのだ。
「行進だって制服だってずっと恰好いいのに」
「確かに自衛隊の方がずっと恰好いいわよ、きりっとしてて近代的でね」
「ユリちゃんもそう思うでしょ」
「けれどインパクトはね」
 この場合に肝心なそれはというのだ。
「あっちの方がずっと上だから」
「皆真似してネタにするの」
「だって非常識じゃない」
 北朝鮮の何もかもがというのだ。
「あの国って全部がね」
「究極の独裁国家だしね」
 このことを知らない人間はまず日本にはいない、世界規模でも周知の事実と言っていいことだ。
「世襲制の」
「共産主義のね」
「共産主義で世襲って」
「普通はね」
「ないわよね」
 二人で話すのだった。それで桜子はユリカにこうも言った。
「何でそんな国あるの?」
「何でって?」
「だから世襲制の共産主義よ」
 共産主義を考えると有り得ないことだというのだ。
「それってないでしょ」
「それ私も思うけれどね」
 ユリカも同じ考えだった。
「というか私もそう言ったらね」
「有り得ないってでしょ」
「思うけれど」
 彼女にしてもというのだ。
「ヘンテコな話よ」
「ヘンテコ過ぎるわよね」
「けれど実際にあるから」
 その有り得ない状況がというのだ。
「お隣にね」
「そうよね」
「しかもああした状況だから」
「軍隊ばかり多くて」
 その変な行進の軍隊だ。
「軍服も変で」
「あの軍服確かにセンスないわね」
 ユリカが見てもだ。
「確かにね」
「そうでしょ」
「しかもその軍隊と将軍様の贅沢にだけお金使って」
 尚悪いことにだ。 
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