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何がいいのか

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第四章

「振られたりしたら」
「肝心なところで臆病なんだから」
「いつも見てるのに」
「それで何で土壇場でそうなのよ」
「理彩絶対に断らないわよ」
「それはないから」
 こう言うのだった、だが。
 藤太は中々そうした動きはしなかった、それで周囲はわざとだった。藤太と理彩を二人だけにすることにした。
 校外学習の時にだ、クラスの違う二人をわざと二人だけにして自分達は離れてみせた。するとだ。
 藤太は硬直してしまった、それは理彩も同じでだ。
 お互いに動けない、喋られずだった。
 二人で一緒にいるだけだった、だが。
 理彩の方からだ。藤太に顔を向けて勇気を振り絞って尋ねた。丁度二人でお寺の中にいる時にだ。
「あの、田坂君ってね」
「えっ、僕!?」
「うん、私のこと好きよね」
 かなりダイレクトに聞いた。
「そうよね」
「それは」
「わかってるから」
 顔を赤くさせて淘汰に言った。
「そのことは」
「そうだったんだ」
「それでね」
「それで?」
「どうして私のことが好きなの?」
 やはりダイレクトに聞いた。
「私の何処が」
「言っていい?」
「うん、言って。私なんてね」 
 理彩は自分が思う自分自身のことを言った。二人でお寺の庭を一緒に歩きながらそうした。
「小さいしブスだし胸もないし」
「可愛いよ、奥瀬さんは」
「本当に?」
「世界一、いや宇宙一可愛いよ」
 藤太も自分が思っていることを言った。
「本当にね」
「宇宙一って」
「本当にだよ」
 こう言うのだった。
「その辺りのアイドルや女優さんなんて」
「上っていうの?」
「相手にならないよ」
「そうなの?」
「そうだよ、性格だってね」
「悪いわよ」
「悪くないよ、優しいし明るいし」
 藤太はここでも自分が見ている理彩のことを本人に話した。
「公平だしね」
「そうかしら」
「そうだよ、スポーツも出来るし」
「成績悪いわよ」
「赤点取ってないよね」
「ええ」
 その通りだとだ、理彩も答えた。
「そうだけれど」
「じゃあいいじゃない、僕なんてね」
 藤太はここで自分のことを話した。
「いつも成績悪いし」
「私よりいいでしょ、大学行けそうなんでしょ」
「そうだけれど赤点取ったこともあるし」
 理彩はないと言ったがというのだ。 
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