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歌集「春雪花」

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 交わしたる

  言の葉心に

   留め置きて

 わが想ふ人は

    音づれもせず



 彼と交わした言葉…他愛ない話し…。

 彼が忘れようとも、私は忘れることもなく…ただ、在りし日を心の中へ留めるだけ…。

 どうしているだろう…思うことの侘しさは、どうしたら消えるのか…。

 彼に会えも出来ない…彼の状況を知る術もない…。


 絶えることのない寂しさだけが…こだまする…。



 流れたる

  涙の行方は

   知らねども

 憂きに堪えなむ

    夜半の月かな



 寂しさに流れた涙…拭うこともなく、静かに夜空を眺める…。

 この世界…私一人いなくなろうと、何一つ変わることもなく…。

 それなのに…何故、苦しみや辛さ、悲しみや寂しさに耐えて生きねばならないのだろう…。


 月さえも雲に隠れ…幽かに浮かんでいる…。

 あぁ…会いたい…。

 月よ…願わくは顔を見せ、私の心を慰めてはくれまいか…。



 
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