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白き竜の少年 リメイク前

作者:刃牙
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特別Aランク任務
  特別Aランク任務

第6班が任務をこなすようになって、幾日か。Dランクの任務は芋掘り、子守、庭の草むしり、落とし物探しなどのものばかりで、我慢の限界を迎えたのだろう。今日の任務が終わり、火影塔に向かったリンを除く6班のメンバーが野原で休憩し、任務の話をしているとレツが言う

「なんかさ、もっと凄え任務はないのか⁉︎」

今までに溜まった不満が噴き出した様子のレツにハルマは溜め息を吐く。確かにDランク任務のような任務ばかりなのは嫌だが、まだ我慢出来る程度には彼はレツより大人だった

「仕方ないだろ。まだ下忍になったばかりなんだから。そんな任務やりたかったら、早く中忍になるしかないだろ」

それはカナも同様で、レツを諌めるように話す

「もう少し我慢して、実績を積めば出来るようになるわよ」

まあ、と後ろから声がかかる。後ろを振り返るとリンがニコニコとこちらを見ていた

「レツ君の言う凄え任務、出来るんだけどね」





火影塔に行き、ヒルゼンにレツが興奮気味に問い掛ける

「凄え任務って何なんだ⁉︎じいさん‼︎」

「そう慌てるでない。今から任務を説明する」

キセルを口から離し、ゆっくりと話し出す

「今回の任務は火の国の大名の一人娘 アサヒ様の護衛及び名刀・夜桜の奪還じゃ。これはAランク相当の任務。心してかかれ」

大名家の一人娘であるアサヒの護衛と名刀・夜桜の奪還。大名家の娘が出てくる時点でとても大事な物だというのは想像できる。しかし、何故自分達がこの任務に参加するのか。その理由が理解出来なかった

Aランクの任務である以上、上忍クラスの忍が護衛に当たるのが普通である。ハルマにも確かにやりたいという気持ちはあるが、それでも下忍が参加出来るという異常さには首を傾げざるを得ない。その為、ハルマはヒルゼンに問い掛ける

「待てよ。俺らは下忍だぞ。なのにAランク。普通は上忍がやる任務を何故、俺達がやる?」

ただ、里の長に対して失礼な言い方である為に火影の隣に座っていたイルカから注意を受けてしまう

「こら!ハルマ‼︎火影様になんて口の利き方を!」

「よいよい。確かにこの任務は上忍と中忍で構成された班も参加する。じゃが、歳の近い者達がいて欲しいというアサヒ様たっての希望でな。ルーキーの中でも頭が一つ抜け出てるお前さんらにやってもらおうという訳じゃ」

彼らが向かうは里外の光の国〈みつの国〉という小さな国だ。港から出た先にある。アサヒとは光の国に向かう為の船が停泊している港町。そこの宿で落ち合う事になっている



着いてみれば、大名御用達の宿だという大きな宿にハルマ達は目を見張る。規模は最早屋敷だ

「これがそうなのか?リン先生」

「そうだよ。初めてだからビックリしたでしょ?」

知っていたのか平然としているリンにハルマが問い掛けてみれば彼女はニコリとしながら頷く。目の前には黒髪・黒眼の青年 うちはオビトがいて、彼はリンの姿を見ると手を振ってくる

「リン。こっちだ」

「オビト!久しぶり‼︎」

リンとは仲が良いのか、二人共嬉しそうに挨拶を交わす

「ああ!久しぶり。元気そうだな」

「うん!で、この子達が私の班のメンバー」

ハルマを見ると一瞬、驚いたように目を見開いたが、あくまで目を温かい。ただ、純粋に驚いただけのようだ

「お前らがリンの班の・・・・よろしくな!」

「よろしくーっす!で、オレらはどうすればいいんすか?」

ハルマとカナが軽く頭を下げ、レツが軽い挨拶をしてこれからの自分達の動きについて問い掛ける

「ああ。第6班は俺と共にそばで姫を護衛してもらう。今回の任務は失敗は許されないからな。気を引き締めてくれ。もう、出航の準備は整ってるからな。任務の詳しい内容は船で話す」




大名が所持するという豪華な船に乗るとハルマ達は船の中にある部屋に案内された。そこには着物が掛けられていて、案内した人の着替え終わったら大広間においで下さいという言葉から着替えろという事なのだろうと察し、三人は部屋を襖で仕切り、着替える

ハルマは紫を基調とした着物を、レツは紺を基調とした着物を着ている。カナはピンクの女の子らしい着物だ。額当ては外し、クナイや手裏剣などの忍具は巻物にいれてしまっている

「なんか変な感じだな。着物なんて」

襖を開け、ハルマが鏡で自分の姿を確認しながらそう呟く

「そうか?オレは毎回着てるからな」

「一族の会合とかに出てるからだろ?俺は出席する事すら許されないからな」

溜め息混じりにハルマがそう話すとカナも一族内での会合には出れないらしく、目を吊り上げて言う

「それは私も同じよ。父親が本当に碌でもない事をしてくれたせいで、ヒアシ様はともかく、他の方達から猛反対を受けてるもの」

「碌でもない父親なのは俺と同じだな」

苦笑いするハルマ。少し空気が重くなって来たのを感じたレツは話題を変える

「で、どうするんだ?術は。あれとかさ」

「リン先生は多分、大丈夫。完全には信用出来ないけど俺達の事をちゃんと見てくれてるし。オビトさんはまだ何とも言えない」

ハルマは人を心の底から信用するというのが出来ない。必ず裏切るのではないかと思ってしまい、あまり人と関わる事が出来ない。だから会ったばかりのオビトは兎も角、短い間ではあるが毎日一緒にいるリンの事も信用出来ていないのだ

「裏切りか。あの二人がそんな事するとは思えねえけど」

「俺の性格上仕方ないんだ。気にするな」

ただ、それはハルマ自身も自覚しているようだが、変える事は出来ないと諦めに近い感情を抱いている

「とりあえず、行きましょう」





大広間に行き、正座をして上座に座る自分達と歳が近いように見える少女。大名の一人娘 アサヒとそのすぐそばに座る壮年の男 マキトに顔を向ける。忍装束のままでいるオビトとリンも正座をして、五人がこちらを見たのを見計らってマキトが話し出す

「今回の任務はアサヒ様の護衛と名刀・夜桜の奪還だ。お前達にはアサヒ様の護衛をしながら夜桜の奪還をお願いしたい」

彼の言葉に下忍の三人は動揺する。アサヒは大名家の人間だからオビト達が護衛をして、自分達はアサヒのただの話し相手だと思っていたのだ。カナが三人の代表としてマキトに言う。そこには何かの間違いでしょという気持ちが入っていたのだが、簡単に裏切られる

「あの〜私達下忍ですけど」

「うむ。知っている。しかし、アサヒ様に歳が近い優秀な忍はいないかと聞いたらヒルゼン殿がお前達ならアサヒ様を守れると太鼓判を押したので、私がお前達を指名した」

彼らの頭にヒルゼンが笑う姿が見える。瞬間、怒りが沸いてくる。拳を握り締め、頭を下に向けているその姿にプレッシャーを感じているのだと勘違いしたオビトがフォローの言葉を掛ける

「まあ、俺達上忍もサポートするから大丈夫だ」

「お前達には今回、姫様の付き人という形でいてもらう。忍だという事は隠していてくれよ」

とりあえず、失礼な態度を取ってはいけないと考えたハルマが返事を返し、二人も小さく頷く

「分かりました」

「うむ。期待しておるぞ」
 
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