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星河の覇皇

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第六十三部第四章 閣議決定その三十四

「不思議なことだ」
「そうですね、国家元首と閣僚ではやはり格が違います」
 どうしてもそうなることだ、国家元首はその国の代表である。それに対して閣僚は要職であることは間違いないがその下にいる。その間にあるものは限りなく大きい。
 その国家元首がだ、自分からだからなのだ。
「相当なことですね」
「大統領とお会いしてな」
「閣下ともです」
「何故そこまでなのだ」
「それだけ閣下を高く評価されているのですね
「私をか」
「はい、ですから」
 その為だというのだ。
「お会いしたいとです」
「こう要請して来ておられるか」
「どちらの方も」
「それも公式だけでなくだな」
「私的にも」
「私は将校だったが軍を率いたことはない」
 このことは一度もだ、軍人であったがその経験はない。
「そうした戦ったことはな」
「艦艇の補給長でしたね」
「それで終わった」
 日本軍にいてそこから日本政界に入ったのである。
「残念ながら軍にいた期間は僅かだった」
「より軍にいたかったのでしたね」
「好きだったからな」
 軍隊、それ自体がだ。
「しかしそうもいかなかった」
「ご一族の事情で」
「そうだった、八条家は政治家も必要としているが」
「国家、連合の為に働く為に」
「奉公、八条家の家訓だ」
 この家訓に従いだ、政治家が必要であり政治家としての適性が最も豊かだった八条義統が政治家になったのだ。
「それで政治家となった」
「軍を率いられたことはなく」
「それで政治家となってだ」
 そして、なのだった。
「軍を率いたことはないからな」
「しかしお二人は」
「戦術家としても優秀だ、では」
「閣下の戦略や軍政を御覧になられてでしょうか」
「そうだな、それではな」
 ここまで話してだ、そしてだった。
 八条は木口にだ、こう言った。
「その私的な会見の用意もな」
「されますね」
「頼めるか」
「はい」
 木口は微笑んで八条の願いに応えた。 
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